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サイクル ロードレース コラム 2025年5月21日

【輪生相談】全日本選手権に出るため、トレーニングでしっかり走り込みつつ、トラック競技でスピードを磨くことで力をつけていくことが必要かなと考えてます。努力の方向性として合っているのか等含めて、栗村さんの考えを頂きたく、ご質問させていただきました。

輪生相談 by 栗村 修
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はじめまして。大阪府で社会人として働いてます。私には全日本自転車競技選手権に出場するという目標があります。現在年齢は30歳で、これまでの競技歴として野球、陸上中長距離、社会人なってからトライアスロンをしています。自転車競技は去年あたりからレースに出てますが、結果はなかなか出ません。長い距離を走ることは得意ですが、スピード持久力に課題があるので、自転車トラック競技にチャレンジしてみたりしています。全日本選手権に出るため、ロードバイクでのトレーニングでしっかり走り込みつつ、トラック競技でスピードを磨くことで力をつけていくことが必要かなと考えてます。努力の方向性として合っているのか等含めて、栗村さんの考えを頂きたく、ご質問させていただきました。お忙しいところかと思いますが、ご回答のほどよろしくお願いします。

(男性 その他)

■栗村さんからの回答

栗村さん

他競技や自転車競技の他種目からの転向組が目立つ近年のサイクルロードレース界では、質問者さんが取り組んできた陸上中距離やトライアスロン、トラック競技をバックボーンに持つ選手もたくさん活躍していますので、方向性としてはとてもいいと思います。

ただし、これらの競技では高強度でもペースが一定に保たれる傾向があるので、スピードの緩急が激しいロードレースとは、有酸素運動であってもその中身に違いがあります。ご存じのとおり、ロードレースでは勝負どころで短時間・高強度のアタックが繰り返されますから、これに耐えうるインターバル耐性が不可欠なのです。パワーデータではFTPばかりが注目されがちですが、ロードレースではFTPだけでは測れないインターバル耐性が鍵を握っています。

もちろん、陸上中距離やトライアスロン、トラック競技にもインターバルは存在しますが、その内容はロードレースとは異なります。できるだけ実戦に近い形でリアルなインターバルを経験することが大切なんです。

その点では、質問者さんの今の取り組みはとてもいいと思うのですが、加えて国内レースで頻出する短い上りでのインターバルなどを加えると、より効果的でしょう。単に時間や強度だけに着目するのではなく、ダンシングを取り入れたり、あえて長距離を走って脚に来ている状態でインターバルを行ったりと、リアルさを追求することがとても重要です。

具体的には、ロードレースの負荷として典型的なのは、ブレーキで大きく減速した直後にフル加速(600W以上)を繰り返すようなパターンです。とくに日本のテクニカルなサーキットコースでは、集団内のポジション取りの関係で「ブレーキング → ダッシュ(400W以上)」を何度も強いられます。アベレージ系の高強度のトレーニングを積んでいるだけでは、この数十秒の高強度耐性はなかなか身に付きません。コーナーひとつで脚を削られ続け、結果的に本来持つFTP能力を発揮できなくなってしまうことすらあるでしょう。急勾配の上り坂で一度アタックに反応しただけで脚が終わるのも、体がその負荷に慣れていないからですよね。

したがって、まずは、レースで脚を削られる具体的なシチュエーションを洗い出し、それをトレーニングの中で再現して慣れていくことが改善への近道です。昔から「レースが最高のトレーニング」と言われるのは、まさにこの実戦レベルに順応する作業が大きな意味を持つからです。

ロードレースに出はじめたのが去年からということですと、まだご自身の強み・弱みをそれほど厳密には把握していないと思います。ですので、さまざまなレースに出場し、どういう局面に強く、どういう場面に弱いのかをよく分析してください。そして、それらの分析に基づき、実際のレースに近い状況をトレーニングでも再現し、弱みをつぶしたり、得意分野を伸ばしていけば、きっと質問者さんの目標は好成績という形で実現すると思いますよ。

トライアスリートでもあり昨シーズンまでイネオスで走ったキャメロン・ワーフ(写真左)。近年のロードレース界は他競技・種目からの転向組も目立つ。

文:栗村 修・佐藤 喬

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栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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