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サイクル ロードレース コラム 2025年4月25日

勢いかリベンジか!? 真の“クラシック女王”はリエージュで輝く【Cycle*2025 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム:プレビュー】

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム

森や丘を駆け抜けるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム

ウィメンズワールドツアーも男子と同様に、春のクラシックシーズンの集大成を迎える。オランダやベルギー南部の丘陵地帯が舞台のアルデンヌクラシック3連戦の最後、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファムが4月27日に開催。いよいよ、大一番がやってくる。

男性版リエージュ〜バストーニュ〜リエージュは“ラ・ドワイエンヌ”(最古参)との別名を持つように1892年の初開催から続く伝統を誇るが、ウィメンズエディションは正反対で新興イベントに数えられる。初開催は2017年。今年で9回目と、少しずつ歴史を重ねている。

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リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム

高低差図

とはいえ、レースとしての趣きやエッセンスは男女に差はない。152.9kmのレース距離に詰め込まれた10カ所の登坂区間を越え、大観衆の待つリエージュへ。主催者にして「贅沢すぎるルーティング」は、スタートから15.8kmで上るコート・ド・サン・ロッシュに始まり、以降立て続けに大小の急坂をクリアしていくことになる。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム

ルートマップ

天候やレースペース次第ではあるが、上りをこなすごとに集団の人数は絞られていくとみられる。74.5km地点が頂上のコート・ド・ストクー(登坂距離1.1km、平均勾配11.9%)、同じく78.7km地点コート・ド・ラ・オート・ルヴェ(2.2km、7.5%)、92.9km地点コル・デュ・ロジエ(4.5km、12.8%)の3カ所が中盤の難所。これらを越えた時点で集団の人数は大幅に減り、状況次第では各チームのエースクラスの直接対決の様相となるかもしれない。

早めの仕掛けを試みる選手たちは、119km地点にあるコート・ド・ラ・ルドゥット(1.6km、9.5%)、129.7km地点コート・デ・フォルジュ(1.3km、7.8%)できっと動くことだろう。最後の登坂区間である139.6km地点コート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(1.4km、11.5%)は、頂上通過からフィニッシュまで約13kmの下り基調とあり、仕掛けるには遅すぎると見る選手も一定数存在する。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム

昨年は6人のスプリントで決着だった、勝者は前列左のグレース・ブラウン

コート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコンをやり過ごして最終局面での勝負を選択するか、早くに集団を崩して逃げ切りを図るかは、選手それぞれの脚質や得意パターンで大きく変わってくる。昨年は6人のスプリントで決着しグレース・ブラウン(昨シーズン限りで引退)が勝っているが、今回はどんな展開が待っているだろうか。

スタート地・バストーニュには、リベンジのムードが色濃く漂うことだろう。このレースの4日前(4月23日)に行われたラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌでは、プック・ピーテルセ(フェニックス・ドゥクーニンク)がユイの壁を一番登頂。デミ・フォレリング(FDJ・スエズ)やエリーザ・ロンゴボルギーニ(UAEチーム・ADQ)を下し、ワンデークラシック初優勝を果たした。いま一番勢いに乗る若きオールラウンダーのピーテルセと、復権誓うフォレリングやロンゴボルギーニらとの直接対決は、今大会のハイライトになることは間違いない。

オフロードで高い能力を示し、この数シーズンでロードでも台頭するピーテルセは、まだまだ未知数の部分が多い。先のユイの壁でもどれだけ上れるか誰もが予測できずにいた中で勝利し、今度はリエージュの起伏にどれだけ耐えられるかを証明する機会となる。初出場だが、力通り走れば優勝争いには加わるはず。

過去2回優勝しているフォレリングは、今回勝てば2年ぶりの頂点。2年前にはアルデンヌクラシックで3連勝しているように、プロトン随一のスペシャリストであることは誰もが認めるところ。セオリーとしては終盤の急坂でライバルを引き離すことになるが、とにかくスプリント力の高い選手を切り離して勝機を膨らませたいと考えていることだろう。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム

イタリアナショナルチャンピオンジャージ着用のエリーザ・ロンゴボルギーニ

その点においては、ロンゴボルギーニも同様。前述したコート・ド・ラ・ルドゥットやコート・デ・フォルジュでの先制攻撃を考えていると公言している。周りのチェックも厳しくなるが、早くから口にするあたり相当な自信があるのだろう。好調のままリエージュに乗り込む。

昨年のツール・ド・フランス ファム女王、カタジナ・ニエウィアドマ(キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)も調子を上げてきた。ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌでは最後まで優勝争いに加わった。リエージュのコースにも十分適応するが、問題はスプリント。展開次第では、クロエ・ダイガートのスピードに賭けてチーム戦術を組み替えることも考えられる。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ファム

コート・ド・サン・ロッシュをのぼるプロトン

戦力では随一のチーム SDワークス・プロタイムは、4年ぶりに戻ってきたアンナ・ファンデルブレッヘンの動向で状勢が変わってくる。リエージュでは2017年・2018年と連覇。監督業を経て今季レースに復帰し、上々の走りを見せてきたが、風邪の影響でラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌの出走を取りやめた。リエージュ出走も不透明で、走ったとしてもベストコンディションからは程遠いことが見込まれる。世界女王ロッテ・コペッキーを軸にレースを構築していくことになるか。最終局面まで前線に残れば、スプリント力が絶対的な武器になる。また、アムステル・ゴールドレースで逃げ勝ったミーシャ・ブレーデウォルツも控える。

パリ〜ルーベ ファムを制したポーリーヌ・フェランプレヴォ(チーム ヴィスマ・リースアバイク)、ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌで優勝争いに加わったリアヌ・リッパート(モビスター チーム)にも可能性は大いにあり。

このレースが終わると、すぐにグランツール戦線へと移っていく。“真のクラシック女王決定戦”は、優勝候補のオールラウンダーたちにとってグランツールへとつながる重要な道標にもなる。

執筆日時:2025/4/25
※出場予定選手は執筆時の情報を元に作成しています
※※変更になる場合がございますのでご了承ください

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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