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壮絶な逃げバトル!プラップが45.5km独走で初のグランツール区間制覇|ジロ・デ・イタリア2025 レースレポート:第8ステージ
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「ユイの壁」攻略合戦!すべての道もあらゆる駆け引きも、激坂でのスプリント勝負へと続いている【Cycle*2025 ラ・フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか永遠のマンネリズムと思えるほど勝負ポイントはユイの壁
普遍の伝統か、永遠のマンネリズムか。ラ・フレーシュ・ワロンヌの勝負を決めるのは、いつだってフィニッシュ手前の加速一発。平均勾配9.6%、ところにより最大勾配は26%にも達する「ユイの壁」攻略合戦が、この春も、4月23日(水)に勃発する!
日曜日開催のアムステル・ゴールドレースと、翌日曜日開催のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュの間の、いわゆるアルデンヌ3連戦の週の真ん中に行われるクラシックは、少々特異な立ち位置を保っている。1985年大会にフィニッシュ地が現在地に定まって以来、ミュール・ド・ユイ……いわゆるユイの壁の突入前に勝負がついたのはたったの6回だけ。1993年大会での独走勝利を最後に、ただ全長1.3kmの激坂だけが最終審判役を担ってきた。
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高低差図
ユイ以外に難所が存在しないわけではない。ベルギーのフランス語圏ワロン地域に引かれた全長205.1kmのコースには、計11ヶ所もの起伏が散りばめられている。
特にレースの折り返し地点に差し掛かり、37.2kmの周回 × 3に入ると、ひたすらアップダウンの繰り返し。おなじみのコート・デレフ(フィニッシュライン手前18.4km地点、全長2.1km、平均勾配5%、最大10%)、コート・ド・シュラヴ(5.6km地点、1.3km、8.1%、13%)、そしてミュール・ド・ユイ(1.3km、9.6%、26%)を、それぞれ3度ずつ攻略せねばならない。ちなみに昨年はシュラヴ坂が工事で迂回を余儀なくされ、エレフ→ユイ→エレフ→ユイ……の単調な繰り返しだったから、データの上では、今年はより活発なレース展開が期待されるのだ。
そうは言っても、やはり最大にして最高の勝負地は、「Huy Huy Huy」のペイントで埋め尽くされたユイの壁。すべての道も、あらゆる駆け引きも、激坂でのスプリント勝負へと続いている。
てっぺんにそびえるノートルダム・ド・ラ・サルト教会へと誘う巡礼道「チャペルの小径」は、勾配がとびきり厳しいだけではなく、道幅も驚くほど狭い。つまり単に登坂力に優れているだけでは、おそらく十分ではない。麓までエースを好位置で連れて行ける強大なチーム力を有していること、その後はできる限り最前列ポジションで上り続けられることこそが、勝負の鍵となる。
ルートマップ
我慢強さも求められる。焦って早く飛び出しすぎて、息切れや減速してしまう失敗は後を絶たない。1985年大会の勝者クロード・クリケリオンの名を冠する「クリケリオン・コーナー」は、たしかに最難関勾配を誇るが、フィニッシュまでいまだ450mと遠く、腰を上げるには早すぎる。。道の左側に大きなレンガ造りの建物が現れたら、そろそろ発射準備に入りつつも、もう少し辛抱したい。
もちろん選手によって最適距離は異なる。たとえば2023年に初優勝を飾ったタデイ・ポガチャルは、ラスト200mの鮮やかな加速一発で決めた。一方で大会史上最多5勝を誇るアレハンドロ・バルベルデは、じわじわと速度を上げていき、ついにはラスト100mの急加速ですべてを蹴散らすのが常だった。現役最多3勝ジュリアン・アラフィリップは、むしろライバルの後輪をギリギリまで利用する術に長けていた。
ほんのわずかなタイミングを正確に突くためには、間違いなく、経験値も必要になってくる。初出場・初優勝のマルク・ヒルシのような例外もいるけれど……アラフィリップは2年連続2位でハンドルを叩いて悔しがった後に、輝かしい3連覇を達成している。あのポガチャルだって5回目の出場でようやく、正解を見つけ出したのだ。
最大勾配26%を誇るクリケリオン・コーナー
怪我からの復帰戦ブラバンツ・ペイルでは、一騎打ちスプリントでワウト・ファンアールトを蹴散らし、日曜日のアムステル・ゴールドレースでは独走状態のポガチャルへのブリッジを成功させたレムコ・エヴェネプールにとっては、人生2度目のラ・フレーシュ・ワロンヌ挑戦(2022年大会43位)。4日後のリエージュで、ポガチャルと本気のモニュメント争奪戦を繰り広げる前に、ユイの壁でにらみ合いを繰り広げる。
アムステルでそのポガチャルとエヴェネプールにスプリントで競り勝ち、絶好調で大会入りするのがマティアス・スケルモース。2年前のフレーシュではポガチャルに続く2位に食い込み、脚質も経験も申し分ない。ただ肝心の本人は、フレーシュ初出場の22歳ティボー・ネイスを、「ユイでポガチャルに勝てるのは彼しかいない」と大いに推しているとのこと。
ラ・フレーシュ・ワロンヌ
2人合わせて優勝4回のアラフィリップとヒルシは、初めてチームメートとしてラ・フレーシュ・ワロンヌを戦うし、ディラン・トゥーンスやスティーヴン・ウィリアムズは2度目の栄光を追い求める。完走した2度は、常に好位置につけながらも、あとひと伸びが足りなかったトム・ピドコックは、3度目の正直なるか。
勇敢にアタックを打ったり、歯を食いしばってチャンピオンたちにくらいつく若手たちの姿も、絶対に見逃してはならない。激坂は嘘をつかない。ユイの壁は、必ずや大きなキャリアへの発射台となる。昨大会3位のマキシム・ファンヒルスが、約2週間後に自身初のワールドツアーワンデー勝利に歓喜し、昨大会2位のケヴィン・ヴォークランが、夏のツール2日目に区間勝利をもぎ取ったように!
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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