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サイクル ロードレース コラム 2025年3月24日

グランツール優勝経験者が8人参戦! ワールドツアー指折りの山岳ステージレースでビッグネームがいまの立ち位置を測る【Cycle*2025 ボルタ・ア・カタルーニャ:プレビュー】

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ボルタ・ア・カタルーニャ

昨年出場したポガチャルは総合優勝&区間4勝の大暴れ

ワンデークラシックが活況となる一方で、ステージレース戦線もスペインへ移ってタフな山々を駆ける。地中海に面した同国北中部・カタルーニャ州を舞台とする「ボルタ・ア・カタルーニャ」。今回は3月24日から30日の日程で、全7ステージで争われる。

ステージレースとしては、ツール・ド・フランス、ツール・ド・ベルギー、ジロ・デ・イタリアに次ぐ歴史を誇る。3月下旬開催が定着しているイベントは、今年で104回目。カタルーニャの丘陵地帯やピレネー山脈をめぐり、ステージ構成は全体的に山がちである。

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ボルタ・ア・カタルーニャ

ボルタ・ア・カタルーニャ 全体図

もっとも、先に行われたパリ〜ニースティレーノ〜アドリアティコが、ミラノ〜サンレモや北のクラシックへと続くシナリオの一部を形成するのに対し、ボルタ・ア・カタルーニャはグランツールを見据える総合系ライダーの“予行演習”の機会。もちろん、パリ〜ニースやティレーノからの連戦となる選手も多くいるけど、レースの位置づけは異なってくる。

そんなカタルーニャでの山岳ウィーク。今回は新たなルートも採用されて、これまで以上にバリエーション豊かなステージ構成になった。

ボルタ・ア・カタルーニャ

ボルタ・ア・カタルーニャ 第1ステージ高低差図

今年もサン・フェリウ・デ・ギホルスで開幕。前半に2つの3級山岳を越えて以降はカテゴリー山岳こそないものの、大小いくつもの上りが待つ丘陵ルート。サン・フェリウ・デ・ギホルスに戻って、同地を基点とする周回ルートを走って初日の勝者を決める。レース距離は178.3km。

177.5kmに設定された第2ステージは、ボルタでは「貴重」な平坦ステージ。とはいっても、コース中間部に待つ2つの上りが関門になっていて、とりわけ1級山岳コル・デ・サン・ペラ・ダ・ローダスはスプリンターにとって一筋縄ではいかないタフな区間。集団でクリアするか、もし遅れてもその後の下りと平坦で前に戻って、フィニッシュ勝負に備えたい。

ボルタ・ア・カタルーニャ

ボルタ・ア・カタルーニャ 第3ステージ高低差図

個人総合をかけた動きは第3ステージから本格化。ここ20年で最長距離となる218.6kmに詰め込まれた4つのカテゴリー山岳が、選手たちの脚を試す。主催者にして「果てしない上り」と称される超級山岳コル・デ・ラ・クレウエタ、山頂にフィニッシュラインが敷かれる1級山岳ラ・モリーナ、この2つの山で覇権争いの形勢が見えてくる。このステージの獲得標高差はなんと5093m!

ボルタ・ア・カタルーニャ

ボルタ・ア・カタルーニャ 第4ステージ高低差図

山岳攻めはまだまだ終わらない。第4ステージ(188.7km)は、2級山岳を含む大小の上りをこなして、最後に1級山岳モントセラートへのアタック。ローラン・ジャラベールが30年前にこの山を制したことを祝う1日は、選手たちにとっては祝福どころではない。

今大会2つ目の平坦ルートとなる第5ステージは、172kmの行程の後半がほぼフラット。スプリンター有利なレイアウトではあるが、終盤にかけて風の影響が出るとの予想も。シンプルなレース展開になるかは未知数である。

ボルタ・ア・カタルーニャ

ボルタ・ア・カタルーニャ 第6ステージ高低差図

主催者が「大会のハイライトになりうる」と期待するのが第6ステージ。159kmと今大会では短めの距離設定だが、中盤から後半にかけてカテゴリー山岳を押し込んで、リーダージャージの行方を混沌とさせる。超級山岳コル・デ・プラデルを越えると、フィニッシュに向けて2つの1級山岳登坂。最後の5.8kmはベルガの街から山頂フィニッシュへ一気に駆け上がる。

ボルタ・ア・カタルーニャ

ボルタ・ア・カタルーニャ 第7ステージ高低差図

そしてクライマックスは、おなじみバルセロナ・モンジュイックの周回コース。2026年ツールのグランデパール(開幕地)に決まり、一層ロードレース熱の高まる街が選手たちを迎える。もし前日を終えた時点で個人総合争いが僅差ならば……モンジュイックが最終決戦の舞台になる。

コースの難易度に合わせるように、カタルーニャに乗り込む選手たちの顔触れも多士済々。観る者にとっては、各選手が目指すグランツールと照らし合わせながら現状をチェックしてみると、より面白みが増すことだろう。

ボルタ・ア・カタルーニャ

山岳では大勢の観客が熱い声援を送る!

一番に名が挙がるのは、2年ぶり参戦のプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)。今季初戦として臨んだボルタ・アオ・アルガルヴェは個人総合8位。本来の力からすると物足りなさを感じる内容だったが、シーズン最初のターゲットをジロ・デ・イタリアに据え、このレースをいかに走るだろうか。2年前はレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)との激しい個人総合優勝争いを制し、2カ月後のジロ制覇につなげている。今回もその再現といきたい。

ログリッチと同様、今年はジロとツール・ド・フランスに焦点を充てるリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)も今大会の動向を注視しておきたいひとり。狙ったレースでの強さは誰もが知るところ。ここまでは目立ったリザルトを残していないが、彼が動き出せば総合戦線が一気に活発になる。

ボルタ・ア・カタルーニャ

地中海を眺めながらレースは進む

総合系ライダーでいま最も勢いがあるのは、フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ・XRG)かもしれない。3月に入りワンデーレースで2勝し、頂点を目指すと公言して臨んだティレーノでも有言実行の個人総合優勝。チームには絶対的な存在のタデイ・ポガチャルがいるが、「彼以外にもグランツールを勝てる選手がいると証明したい」とみずからの価値を高めることに躍起。こちらも今年のジロ制覇に向けて、自国レースで自信を深める姿勢だ。ティレーノに続き、アダム・イェーツとの共闘も心強い。

2023年のグランツール全制覇から一転、昨年は無冠に終わったチーム ヴィスマ・リースアバイク。復権を目指す過程でヨナス・ヴィンゲゴーがこの大会を走る予定だったが、パリ〜ニースでの落車の影響もあり、大事をとって出走回避。セップ・クスサイモン・イェーツのダブルリーダー体制で総合上位進出を目指す。

2月17日のクラシカ・ハエンでの落車負傷から約1カ月、これが復帰戦となるエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)も好コンディションとの噂だ。鎖骨骨折明けでトップ争いとなると観る者を驚かせるばかりだが、実際のところは負傷から3日後にはトレーニングを再開したという。シーズン初戦でコロンビア選手権を勝ったことを思えば、好調を維持していても何ら不思議ではない。2019年にツール、2021年にジロで勝ったあの頃の強さへ戻る過程として、今大会が大きな意味を持つことになるかもしれない。ゲラント・トーマスとの共闘も見ものだ。

ボルタ・ア・カタルーニャ

険しい山々を通り抜ける

3月にシーズンインしたミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ)や、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでの快進撃が記憶に新しいベン・オコーナー(チーム ジェイコ・アルウラー)は、ともにゆっくりと仕上げている印象だが、そろそろ目に見える結果が出せるか。地元の雄・モビスター チームは、もちろんエンリク・マスが総合エースを務める。パリ〜ニースでステージ1勝のレニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス)、次世代オールラウンダーのレナルト・ファンイートヴェルト(ロット)もカタルーニャの山々に適応する脚を持つ。

平坦ステージは、カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)が中心になりそう。カタルーニャではステージ通算3勝。何より、昨年と一昨年はブエルタでポイント賞を獲っており、急峻な山々をこなしながら大事な局面で勝負強さを見せる器用さに長けている。ミラノ〜サンレモでは、チームメートのマチュー・ファンデルプールが優勝争いをする後方で、スプリントに備えて集団に待機し5位。好調であることは間違いない。

グローブスに待ったをかける選手としては、昨年のブエルタで1勝のパヴェル・ビットネル(チーム ピクニック・ポストNL)やマライン・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト)の名が挙がる。

ボルタ・ア・カタルーニャ

美しい風景が眼下に広がる

ちなみに、開幕前日(3月23日)時点での暫定の出走リストには、グランツール総合優勝経験者が8人エントリー。ツール2勝(トーマス、ベルナル)、ジロ5勝(ベルナル、ログリッチ、テイオ・ゲイガンハートナイロ・キンタナ、カラパス)、ブエルタ4勝(ログリッチ、サイモン・イェーツ、キンタナ、クス)。こうして見てみると、改めてボルタ・ア・カタルーニャが持つ重要レースとしての価値と格式を感じることができる。前回圧倒的な強さで制したポガチャルは欠場するが、新たな王者を決めるには十二分なメンバーがそろった。

なお、今大会は18のUCIワールドチーム、7の同プロチーム、合わせて25チームが出場。ツールと同じく、A.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)がレース運営の実務を担っている。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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