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サイクル ロードレース コラム 2025年3月20日

21歳のデルトロが最古のレース、ミラノ〜トリノ初優勝、次戦ミラノ〜サンレモではポガチャルのアシスト役を担う【Cycle*2025 ミラノ〜トリノ:レビュー】

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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ミラノ〜トリノ

ウイニングポーズを決めるデルトロ

世界最古のロードレース、ミラノ〜トリノが3月19日にイタリア北部で開催され、UAEチームエミレーツ・XRGのイサーク・デルトロ(メキシコ)が初優勝した。3月10日から16日まで行われたティレーノ〜アドリアティコではフアン・アユソ(スペイン)の総合優勝に貢献した21歳。チームは22日に開催されるミラノ〜サンレモにいよいよラスボス、タデイ・ポガチャル(スロベニア)を送り込んでくるが、ここでもアシスト役に起用される予定だ。

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ミラノ〜トリノ

春の日差しがふり注ぐミラノ〜トリノ

ミラノ〜トリノは「世界最古のロードレース」で、106回目の開催となる2025年大会は距離174km。ミラノの中心部から北西に10kmほど行ったところにあるローを3年連続でスタート。トリノ近郊にあるスペルガの丘を2回上ってフィニッシュするコース。瞬発的な登坂力のある選手が優勝にからんでくると予想された。

デルトロはスタート前から大本命だった。上りが得意な21歳のオールラウンダーで、2023年のツール・ド・ラヴニール総合優勝者。2024年に現在のチームでプロデビューして、ブエルタ・アストゥリアスで総合優勝している。わずか3日前に終わったティレーノ〜アドリアティコではアユソの初優勝に大きく貢献。「デルトロに助けられた。彼に恩返しをするためにまた一緒にレースをしたい。ジロ・デ・イタリアでも走ってくれるから頼もしい」とアユソが優勝者会見でコメントしたほどだ。

UAEチームエミレーツ・XRGには、この大会で過去3回表彰台に上りながらまだ優勝のないアダム・イェーツ(英国)がいて、その経験値は若いデルトロにとっては頼もしかったはずだ。

日本登録のJCLチーム右京も主催者推薦で出場。石橋学、鎌田晃輝、ナショナルチャンピオンの小林海、増田成幸が6人構成のメンバーに加わった。

ミラノ〜トリノ

増田成幸(右から2人目)が第1集団に加わった

レースは127選手が参加して、快晴の中でスタートした。ティレーノ〜アドリアティコは悪天候に震える日ばかりだったが、ようやくイタリアに春が訪れる気配がした。パレード区間を走り、0km地点を通過するとペースはすぐに上がり、数選手がアタックするが成功しなかった。25km地点で5人の先頭集団が形成された。ヨナス・ルッチ(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ)、クリスティアン・ズバラーリとダヴィデ・バルダッチーニ(ともにイタリア、チームソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)、マッティア・バイス(イタリア、チームポルティ・ビジットマルタ)と、これに日本の増田が加わった。

J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTubeチャンネル

【ハイライト】ミラノ〜トリノ|Cycle*2025

この5選手を追ってガブリエーレ・カサリーニ(イタリア、MBHバンク・バッラン・CSB)が集団を飛び出した。

先頭の5人は32kmでカサリーニに1分10秒、メイン集団に3分18秒秒差をつけた。レース開始から1時間の平均時速は47.3kmというハイペース。UAEチームエミレーツ・XRGがメイン集団の先頭に立ってその差をコントロールし始めた。

ミラノ〜トリノ

アダム・イェーツ(左)がデルトロ(右)をアシスト

51km地点でカサリーニがメイン集団に吸収されるとともに、先頭の5選手も2分43秒差に詰め寄られる。81km地点ではさらに2分12秒になった。2時間経過時の平均速度は45.9km。107kmで1分55秒、126kmで1分49秒、141kmで1分40秒のリードで走り続ける。150kmにおよぶ平坦コースが終わり、1回目のスペルガの丘の上りに入ってその差は52秒。

そしてこの上り坂で第1集団が分裂し、ルッチとバイスだけが先頭に残った。UAEチームエミレーツ・XRGが先頭に立つメイン集団がじわじわと迫る。バイスは155km地点、1回目のスペルガの丘を過ぎた直後に捕まる。ルッチは単独となったが、集団は数秒後ろまで迫ってきている。167km地点でルッチはまだ集団に対して17秒のリードを持っていたが、169km地点でついに捕らえられた。

ミラノ〜トリノ

勝負はデルトロ、トゥレット、ヨハンネセンの3人に

2回目のスペルガの丘で、攻撃とカウンター攻撃が集団を一気に減少させ始めた。チームヴィスマ・リースアバイクのベン・トゥレット(英国)、デルトロ、ウノエックス・モビリティのトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー)が残り1kmで加速し、数秒のギャップを開いた。最後はデルトロがトゥレットに1秒、ヨハンネセンに9秒の差をつけてフィニッシュ。こうしてデルトロが初優勝した。ウイニングポーズは闘牛士が大観衆に最後に見せるあいさつのように、腕を振って頭を下げるものだった。

「私はまだ若いので、チームの作戦を決定する立場じゃないけど、今日のようなレースでチームが私で勝ちにいくと決めたのなら、とてもうれしい。アダム・イェーツやヴェガールスターケ・ラエンゲン、アレッサンドロ・コーヴィのような選手が私のために働いてくれることが信じられないほどうれしかった」とデルトロ。

ミラノ〜トリノ

左からトゥレット、デルトロ、ヨハンネセン

ミラノ〜トリノでメキシコ勢が優勝したのは史上初。21歳と3カ月20日での勝利は史上5番目に若い記録。2位トゥレットは23歳、3位ヨハンネセンも25歳。

「勝てたのは夢のようだ。イタリアで勝ったのは初めてなんだけど、16歳、17歳でやってきた国での大きな成功だ。私にとって、私の国にとって、私の家族にとっても」とデルトロは続けた。

ミラノ〜トリノ

デルトロがミラノ〜トリノ優勝

「私はメキシコの家から遠くでレースをしているが、それでもイタリア、フランス、スペインなどの人々から多くのサポートを受けていて、そのことにとても感謝している。今日はゴールラインでみんなに感謝の気持ちを表したいと思っていた。今朝、今日はできるという明確な考えを持って目覚めた。脚は準備ができていた。今はミラノ〜サンレモを考えている。タデイ・ポガチャルを助ける責任を果たしたい」

3日後にはいよいよ世界最長距離で争われるクラシックレース、ミラノ〜サンレモが同じイタリア北部で開催される。チームはポガチャルを起用。デルトロもチームメンバーに抜てきされるはずだ。

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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