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世界最古のミラノ〜トリノはミラノ〜サンレモとは全く異なる要素を秘める、イタリアに春を告げる世界屈指の気まぐれレース【Cycle*2025 ミラノ〜トリノ:プレビュー】
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸アルプス山脈を眺めながらトリノを目指す
世界最古のロードレース、ミラノ〜トリノが3月19日にイタリア北部で開催される。UCIワールドツアーであるティレーノ〜アドリアティコの3日後、同じくミラノ〜サンレモの3日前。水曜日という平日開催のUCIプロシリーズだ。3大会ともにイタリアのRCSスポルトが運営し、自転車をこよなく愛するイタリアにプリマヴェーラ(春)を告げる3連戦として定着している。
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配信期間 : 2025年3月19日午後10:20 ~
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【限定】【スタート~フィニッシュまで】Cycle*2025 ミラノ~サンレモ (英語コメンタリー版)
配信期間 : 2025年3月22日午後5:40 ~
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配信期間 : 2025年3月22日午後10:00 ~
2021年はログリッチがアダム・イェーツを制して優勝
ミラノ〜トリノは「世界最古のロードレース」で、今回で106回目の開催。1876年に8選手が参加して、イタリアのミラノからトリノまで走った。第2回大会は1894年で、その後も数年間開催されなかったりと気まぐれで、おまけにシーズンにおける開催時期がままならなかったりという不安定なレースだった。
そのためなのか、最古のレースという肩書はベルギーのリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに持っていかれた。同大会の第1回は1892年なので、ミラノ〜トリノよりも遅いが、大戦などによる中止を除いて「現在までほぼ定期的に開催されているレースとしては最古である」と定義づけられている。
ミラノ〜トリノは1876年にヴェローチェクラブ・ミラノによって創設された。第一次世界大戦後は主催組織の混乱があって、有名選手は出場せず。第二次世界大戦後にようやくジャンニ・モッタやフランチェスコ・モゼールらイタリアのスター選手が参戦するようになり、イタリアの中で認知された。
さらにジロ・デ・イタリアを国際大会に仕立て上げた統括ディレクター、ヴィンチェンツォ・トリアーニが最高権威に就任して大会にテコ入れ。1965年からはジロ・デ・イタリアと同じラ・ガゼッタデッロスポルトが主催紙になった。
2020年はデマールがカレブ・ユアンらを制して優勝
気まぐれなのは歴代優勝者の顔ぶれも。2020年はアルノー・デマール(フランス)が優勝。2022年はマーク・カヴェンディッシュ(英国)がナセル・ブアニ(フランス)、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)を制して優勝した。ところが2021年はプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が勝っているし、近年ではアルベルト・コンタドール(スペイン)、リゴベルト・ウラン(コロンビア)、ティボー・ピノ(フランス)などの山岳派やパンチャーが優勝者リストに並ぶ。
2025年ミラノ〜トリノのコースプロフィール
歴代優勝者リストにタイプの異なる選手の名前が列挙されるのは理由がある。ミラノ〜トリノはその年によってコースが大きく変わるレースなのである。そういった意味ではほぼ同じコースを走るミラノ〜サンレモとはまた違った見方で楽しむことができる。
2025年大会は距離174kmで、ミラノの中心部から北西に10kmほど行ったところにあるローが3年連続でスタート地になった。スタート後、レースはマジェンタ、ヴェルチェッリを通過。最初の150kmには上りがない。勝負が動くのは終盤のトリノ・サッシ付近から。ここから選手たちは高低差400m弱のスペルガへの最初の登坂を迎える。
2025年ミラノ〜トリノ、コースマップ
その後、リヴォドラを経由するテクニカルな下りを抜け、トリノ・サッシに戻ったのち、再びスペルガへ。この2度目の上りはさらに高いところまで走り最終的にフィニッシュする。平均勾配は9.1%、中盤には14%の急勾配区間があり、長い10%超の上りが続く。最後の600mは8.2%。
2018年は10月開催で、バルベルデがアルカンシエルを初披露した
スペルガの丘にフィニッシュが設定された年はアレハンドロ・バルベルデやヴィンチェンツォ・ニーバリといったレジェンドたちが勝利を修めた。だから今回の優勝者もタイプの似た選手が優勝候補となる。
出場はUCIワールドチームが7(EFエデュケーション・イージーポスト、アンテルマルシェ・ワンティ、モビスターチーム、チームピクニック・ポストNL、チームヴィスマ・リースアバイク、XDS・アスタナチーム、UAEチームエミレーツ・XRG)。UCIプロチームが10(エキポケルンファルマ、イスラエル・プレミアテック、Q36.5プロサイクリングチーム、チームソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、チームポルティ・ビジットマルタ、トタルエネルジー、チューダー・プロサイクリングチーム、ユニベット・ティテマ・ロケッツ、ウノエックス・モビリティ、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)。UCIコンチネンタルチームが2(JCLチーム右京、MBHバンク・バッラン・CSB)。
2021年は秋に開催されたミラノ〜トリノ
チームソリューションテック・ヴィーニファンティーニには新城幸也が所属するが、3月16日に開幕したツール・ド・台湾に出場していて、ミラノ〜トリノには出ない。日本勢はイタリアを欧州拠点とするJCLチーム右京がUCIコンチネンタルチームながら推薦枠をゲット。チーム首脳陣とRCSスポルトとの信頼関係があっての参戦だ。「この招待はボクたちのプロジェクトと、これまでの成果が世界のレース主催者から高く評価されていることを示しています」と片山代表。
有力選手はマルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリングチーム)、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、XDS・アスタナチーム)、クリスティアン・スカローニ(イタリア、XDS・アスタナチーム)、マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)、リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)など。3日後のミラノ〜サンレモとどんな連携がされるのかも欧州ロードレースの奥深い戦略を知るうえで興味深い。だからミラノ〜トリノもチェックしなくちゃ。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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