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アユソがティレーノ〜アドリアティコで初の総合優勝、ジロ・デ・イタリアでUAEチームエミレーツ・XRGのエースとなるか?【Cycle*2025 ティレーノ〜アドリアティコ:レビュー】
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸三叉の槍を手中にした総合優勝のアユソ
イタリア半島の西側に広がるティレニア海と東側のアドリア海を結ぶ7日間のステージレース、第60回ティレーノ〜アドリアティコが3月10日から16日まで開催され、UAEチームエミレーツ・XRGのフアン・アユソ(スペイン)が初の総合優勝を手中にした。
アユソは2024年の総合2位。初日から第6ステージまで首位を走ったイネオス・グレナディアーズのフィリッポ・ガンナ(イタリア)を第7ステージで逆転。紺碧のリーダージャージ、マリア・アッズーラを獲得し、最終日も守り切った。22歳のアユソはヤング・ライダー賞も受賞。
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総合2位は35秒遅れでガンナ。総合3位は36秒遅れでバーレーン・ヴィクトリアスのアントニオ・ティベーリ(イタリア)。リドル・トレックのジョナタン・ミラン(イタリア)がステージ2勝を挙げてポイント賞を獲得した。
得意のタイムトライアルでトップタイムを出したガンナ
第1ステージはリド・ディ・カマイオーレで11.5kmの個人タイムトライアルが行われ、イタリアナショナルチャンピオンのガンナが優勝し、まずは首位に。アユソは昨年、初日に行われた個人タイムトライアルで優勝していたが、今回は23秒遅れの2位。
「タイムトライアルの前半はチームが設定した時速を維持することに注力した。トップタイムでいることを途中で伝えてもらい、、特に最後の1kmは全力を尽くした。ティレーノ〜アドリアティコに9年出場してきたので、少し経験がある。終盤には感情も私を押し上げ、昨年ここで勝った強力なライダー、アユソを打ち負かす助けになった」とガンナ。
「2024年は苦しいシーズンだった。2年前のミラノ〜サンレモで2位になったときのコンディションを再現するために、その時と同じトレーニングを繰り返した。明日はスプリンターのステージで、世界最強のスプリンター、ミランが勝ちにくるはずだ。無駄なストレスを避けるためにトラブルを起こさないようにし、うまくやりたいと思っている」
総合優勝の最有力アユソは、「フィリッポ・ガンナは今日素晴らしかったので、彼におめでとうと言いたい。私の方は折り返してからの終盤に少しパワーが足りなかったと思う。期待していたほどの脚力はなかったが、それでも非常にいい結果を得た」と初日を終えてコメントした。
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【ハイライト】ティレーノ〜アドリアティコ 第7ステージ|Cycle*2025
第2ステージでスプリント勝負を制したミラン
第2ステージは大方の予想通りにミランがゴール勝負を制して優勝。「最後のカーブで集団が速すぎると感じて少し怖かった。でも結局は計画通りに進んだ。1年前、ここでは勝てなかったが、時には勝ち、時には教訓を学ぶ。チームは完璧だった。最後のカーブまで一緒にいることが可能な限り最高のスプリントをするために重要だった」とミラン。
「私が最強のスプリンターかどうかは分からない。ティム・メルリール、ディラン・フルーネウェーヘン、オラフ・コーイ、ヤスペル・フィリプセンがいる。私は最強だとは感じていない。それでもミラノ〜サンレモを前にしていい気分だ。このレースはエネルギーを温存することが求められているが、経験も重要。マッズ・ピーダスンを助ける走りもする。このティレーノ〜アドリアティコは毎年、クラシックに向けていいコンディションを整えるのに役立つので、を最大限に活用したいと思っている」(ミラン)
第3ステージでヴェンドラーメが初優勝
続く第3ステージは、首位のガンナがコルフィオリートのゴールに向かう下り坂で攻撃。デカトロン・AG2Rラモンディアールのアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア)がこれに反応した集団の先頭でフィニッシュし、初のステージ勝利を修めた。
「誰も手を貸してくれない長い1日だった。選手たちは厳しい天候条件を考慮し、できるだけ早くゴールに到達するために走った。マチュー・ファンデルプールとステージ勝利を目指して競り合いになり、自分のアクションを完結できなかったことに失望している。勝ちたかった。私のミスかもしれないが、早すぎたかもしれない。しかし調子はよく、それを確かめたかった。いいテストだった。これから数日間、日差しを期待している。ローレンス・デプルスと一緒に総合成績の上位を狙うことも試みていく」(ガンナ)
第4ステージは非常に波乱に満ちたもので、ガンナやアユソといった総合優勝を争う有力選手がブレイクアウェイに加わり、エシェロンと呼ばれる集団の分断が見られたが、最終的には縮小された集団スプリントに。先頭グループに追いついてきたチームヴィスマ・リースアバイクのオラフ・コーイ(オランダ)がゴール勝負を制して優勝。総合成績ではガンナが首位を守った。
第4ステージはエシュロンと呼ばれる集団の分断が発生
「今日はステージを勝ちたかった。昨日と今日は頑張りどころだと思っていて、首位を守ることができた。最後の上り坂ではファンデルプールに痛めつけられて痙攣してしまったので、勝利のためにスプリントすることができなかった。もしミランのような狡猾さがあれば、他の選手を打ち負かすことができたかもしれない」とガンナ。
「身体が大きいのでティレーノ〜アドリアティコ総合優勝やこの日のレースで勝つのは難しい。おそらく5kgか6kg減量する必要がある。しかし、私たちはここにいて、毎日チームが上位にいることを示している。明日赤信号になったら、すぐにミラノ〜サンレモに向けての回復を考えようと思う」
第5ステージはウノエックス・モビリティのフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー)が独走勝利した。ガンナはゴール手前でチェーンが脱落し、ギアとフレームの間に挟まるというトラブルに見舞われたが、レース後に審判によりトラブル発生時にいた集団のタイムが与えられた。ガンナは首位を守ることになり、総合2位アユソに22秒差をつけて翌ステージの最難関に挑むことになった。
第5ステージ、機材故障したガンナはシマノから渡された予備バイクでフィニッシュ
「車輪が路面の穴に当たってチェーンがリングとフレームの間に挟まってしまった。ギアチェンジに悪影響を及ぼすほど強くペダルを踏んでいた。幸運なことに残り3km地点まで集団にいたので、審判に遅れた原因をアピールした」とガンナ。
「オフシーズン中にこのレベルに達するために多くの努力をしてきた。少なくとももう1週間はこの調子を続けたい。ティレーノ〜アドリアティコには初日のタイムトライアル、第3ステージと第4ステージで結果を出すために参加した。チームとともにに存在感を示すことができている。(チームメートでこの大会には参加していない)ゲラント・トーマスに電話したら、『今の君の状態なら、もう1ステージ全力で走っても問題ないよ。来週に休みを入れたら、次戦ミラノ〜サンレモのコンディションには影響しない』と言っていた。ここまでリーダージャージを持ってきてくれたチームに感謝したい」
アユソが第6ステージでアタック。ピドコックとヒンドレーも突き放される
勝負どころの山岳ステージを前にして22秒遅れと好位置につけているアユソは、「チームは素晴らしい仕事をしてくれている。明日はこれまでとは異なるステージになる。速いペースでテンポのあるレースになるはずで、フィニッシュしたあとにリーダージャージを獲得できることを願っている。それが主な目標」と語る。
その言葉通り、最終日前日の山岳区間、第6ステージでアユソが独走勝利。初日から首位に立っていたガンナを逆転して、紺碧のリーダージャージ、マリア・アッズーラを獲得した。
アユソはフロンティニャーノへの最後の上りの途中で加速。Q36.5プロサイクリングチームのトーマス・ピドコック(英国)とレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)の反撃をかわし、この2選手に13秒差をつけてフィニッシュ。
「この日の戦術はチーム全員で練ったものだ。計画を立て、それぞれがそれにコミットし、完璧に実行することができた。私は非常に速いペースを望んでいた。バーレーン勢がペースアップを始めたが、それが不十分だとわかったのでアタックすることに決めた」とアユソ。
「チームは素晴らしい仕事をした。イサーク・デルトロは私を含む全員を限界まで追い込み、彼の最後の引きで私は攻撃する必要すらなかった。ペースを上げて一人で行くことができた。ティレーノ・アドリアティコはシーズン初めの大きな目標としていた。ジロ・デ・イタリアに向けて、自分を証明したいと思っていた。これは私が取りたかった最初の大きなステップであり、次なる準備ができていると示すことができた。大きな前進だ。今年はこれで3勝目で、これ以上のスタートはない。冬の間に行った改善が効果を発揮し、レースにそれを反映させることが重要だった。ティレーノ〜アドリアティコはジロ・デ・イタリアに向けた最初のチェックポイントなので」と手応えを語るアユソ。
アユソはこのティレーノ〜アドリアティコで精神的にも大きく成長できたと自信をつけた。スペインの地中海に近いバルセロナ生まれで、これまで寒さや雨の経験があまりなかったので、寒さに見舞われるステージが何日かあるはずのジロ・デ・イタリアに向けて経験が必要だったと語る。そして最終ステージでも首位を守ったアユソが総合優勝を飾った。
三叉の槍を手中にした総合優勝のアユソ
「辛い瞬間もあったが、他のライダーも苦しんでいるのを見ると、それは学びの道だと感じた。それを乗り越えて、昨日のステージに集中し続けなければならないことはわかっていた。チームメート、特にジロ・デ・イタリアでも一緒に走ってくれるデルトロには助けられた。彼に恩返しをするためにまた彼と一緒にレースをしたいと思っている。今年はプレッシャーがかかってきて、それが気に入っている」
35秒遅れで総合2位に食い込んだガンナも手応えを感じている。「2位は勝利ではないけど、私のキャリアの中で最高のパフォーマンスの1つとなった。私たちはチームとして素晴らしい仕事をした。仲間たちは表彰台に立つチャンスを与えてくれた。彼らはそれを信じてくれた。ミラノ〜サンレモでもうまくやりたいと思っている」とガンナ。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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