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【Cycle*2024 ミラノ~トリノ:レビュー】アルベルト・ベッティオルが30km独走で逃げ切り 最古のワンデーレース、ここに新たな神話が生まれる
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介トリノ県アオスタを走るミラノ〜トリノ
2019年にロンド・ファン・フラーンデレンを制し、ジロ・デ・イタリアでは2021年にステージ1勝。何といっても、一発で流れを引き寄せるパンチ力と、そこからの独走が魅力だ。ロンドもジロも、独走でフィニッシュへと到達している。どんなコースも苦にしない適応力の高さは、2018年に1シーズンだけ所属したBMCレーシングチームでグランツールレーサーとして育成する計画があったことにも表れている。
もっとも、今回のコースが決定した時点で、主催者はベッティオルを本命に挙げていたという。まさに満点回答の独走劇。由緒あるヒストリカルレースに新たな神話を作って、良いイメージで3日後のミラノ~サンレモへ向かう。
歓喜のベッティオルから7秒後、最後まで追走姿勢を崩さなかったクリステンが2番目にフィニッシュへ。昨夏にUAEチームエミレーツに合流した19歳が殊勲の走り。主要レースでは初の表彰台を収めた。
「ベッティオルは間違いなく今日一番強い選手だった。個人的には2位という結果はうれしい。プロでの初勝利が近づいている実感があるので、この先のレースがとても楽しみだよ」(ヤン・クリステン)
UAEチームエミレーツは、このレースでエースを務めていたヒルシが3位、ディエゴ・ウリッシも4位。優勝こそ逃したもののチーム力の高さは揺らいでいない。また、終盤にかけて集団を引っ張ったボーラ・ハンスグローエも19歳のエミル・ヘルツォークをチーム最上位の7位に送り込むなど、ヤングライダーの台頭も感じるレースとなった。
日本勢唯一の参戦で高い期待のもと臨んだ留目夕陽は62位で完走。ベッティオル激走で優勝チームの一員となったことが何より大きな価値といえよう。
ミラノ~トリノを終えて、いよいよシーンはミラノ~サンレモへ集中する。このレースが春の大一番へどのような意味合いをもたらしているのか、その答えはもうすぐ明らかになる。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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