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【ジャパンカップサイクルロードレースを走るスーパースター:クリストファー・フルーム】4度のツール・ド・フランス総合制覇、今は大けがからの復活途上。宇都宮で不死鳥伝説を描けるか
サイクルNEWS by 福光 俊介だが、そんな彼の走りにも陰りがみられるようになる。前述のジロ制覇後に臨んだツールでは、当時チームメートだったゲラント・トーマスに王座を譲った。そして何より、2019年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(毎年6月に開催されるツール・ド・フランス前哨戦)でのタイムトライアル試走中の大事故が彼のキャリアを大きく狂わせた。コーナーでの転倒で、右大腿骨・肘・肋骨を骨折。驚異の回復で、3カ月後にはバイクトレーニングを再開したが、いまだにツールを制した当時の面影は見られない。
あのとき負った怪我が、今もまだ彼の走りに影響していることは間違いない。精力的にトレーニングやレースに臨んでいるが、リザルトに結びついていないのが実情だ。それでも、本人は完全復活を信じて走り続けている。ジャパンカップは、大きなきっかけになるだろうか。
ケニアで生まれ育つもマインドはイングランド人
フルームのレーサーキャリアが大きな浮き沈みも含めて“スーパー”と言うなら、彼の生い立ちもまたユニークである。
1985年5月20日、ケニアの首都ナイロビ生まれ(現在38歳)。両親ともにイギリス人で、父はフィールドホッケーの年代別イングランド代表にも選出された経験の持ち主。フルーム自身はケニアで幼少期を過ごすわけだが、その理由は母の両親が同国で農場を経営していたことにある。
ただ、「当時からマインドは“イングランド人”だった」と、トッププロになったフルームは振り返っている。食卓にはイギリスの伝統的な料理(いうなら母の味)が並び、ステレオからはビートルズの曲が流れていた。ラグビーを志した2人の兄は早くからイングランドに渡ったが、“クリストファー少年”は次第に自転車に傾倒していく。13歳で初めて走ったレースは、母の反対を振り切って出場し優勝。誘われて加入したナイロビのチームでは、協調性に問題があるとの誤解や、反対をし続ける母親とぶつかり合うこともしばしばあったが、それでも走ることは止めなかった。
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