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第13ステージ(個人タイムトライアル)と第15ステージでステージ優勝を遂げたアレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)の血液検査が陽性であったことを受け、チームは今ツール・ド・フランスから撤退することを決定した。
事が表面化したのは、ツールの休息日である7月24日17時頃。サウニエルドゥバルの記者会見中に、ひとりのジャーナリストが「ヴィノクロフの血液検査が陽性だったことをどう思うか」とデーヴィット・ミラーに質問したことから、現場は混乱状態に陥った。
ヴィノクロフの血液検査がおこなわれたのは、第13ステージ個人タイムトライアルのあと。採取された血液から他人の血液が発見され、ヴィノクロフがいわゆる血液ドーピングをしていたことが発覚した。このことをレキップ紙のウェブサイトが伝え、先のジャーナリストが表沙汰にしたというのが混乱に陥るまでの流れだ。
しかし、ツール主催者であるASOは、これを事前に把握していたようで、14時にはチームに連絡を取り、今ツールから撤退することを打診。チームはそれを受け入れた。それでもヴィノクロフは、Bサンプルの検査を要求すると、チーム広報は伝えている。
このことを受け、ASOは即座に公式記者会見を開き、ASO代表のパトリス・クレルク、レースディレクターのクリスチャン・プリュドムが出席して、ツールを続行すること、そしてドーピングと戦うことを力強く語った。
アスタナもホテルでチーム記者会見を開き、撤退までの経緯を語った。その記者会見の間、選手はそれぞれ帰宅。その後、ホテルはドアが閉ざされ、警察のガードの下、マスメディアは一切ホテルに入れない厳戒態勢が続いた。ホテルの中にも警察が行き来し、選手、スタッフすべての荷物、パソコンのメールまでもチェックされていた模様。一部には、アンドレアス・クレーデンだけ残っているという話もあり、午前0時を過ぎてもドアの前に待つメディアの姿、そして警察の監視があった。しかし、その後の動きはなし。
従って、ツール第16ステージは、全アスタナの選手がスタートラインに並ばない。チーム解散も心配されたが、チームのプレスリリースによると、7月25〜29日ドイツで開催されるザクセン・ツアー、7月26〜29日イタリアで開催されるブリクシア・ツアーには予定通り出場すると言う。また、休息日にほとんどのチームが過ごしたポーに留まるアスタナのGMは、カザフスタン自転車連盟の全面協力を受けることを発表した。
今回の事件で、現場は大きなショックを受けていることは確かだ。先述の質問を受けたミラーは、目を大きく見開き「驚いた」と第一声を発した。「ヴィノクロフは僕の好きな選手だ」とショックを隠せなかった。ただ、今後もドーピングと戦っていく姿勢は、主催者、選手共に変わらない。ちょうどこの日午前、7つのプロツアーチームによって結成された団体M.P.C.Cが、アンチ・ドーピングについて会議を開いたばかりだった。しかし午後にヴィノクロフの問題を受け、緊急の監督会議が開かれた。
総合第5位にいたクレーデン、8位にいたアンドレイ・カシェチキンがいなくなったことにより、カルロス・サストレ(チーム CSC)は第5位に、アレハンドロ・バルベルデ(ケースデパーニュ)は第9位に浮上する。第16ステージのスタート前も混乱が予想されるが、自転車レースという“スポーツ”をファンに見てもらおうと、その想いを伝えるレースが展開されることだろう。
J SPORTS 編集部
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