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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第3ステージ】《未来の大物》と言われ続けたレイン・タラマエが涙の勝利「僕は自分自身を信じていた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかレイン・タラマエ
ベテランたちが存在感を示した。若き日に「タラマシーン」とあだ名された34歳レイン・タラマエが、ちょうど10年ぶりに、ブエルタで区間勝利を手に入れた。なによりプロ生活14年目にして、初めて、グランツールの総合リーダージャージを身にまとった。もっともっと年上の41歳アレハンドロ・バルベルデは、激坂の最終盤に、軽やかに集団を引き裂いた。かつての「エル・インバティド(無敵)」は、チームの後輩たちを好位置へと送り出すとともに、幾人かの若造を無残にも後方へと突き放した。
「僕は自分自身を信じていた。調子は良かった。やり遂げることができて本当に幸せだ。ファンタスティック。明日は思いっきり楽しむよ!」(タラマエ)
高速で走り始めたプロトンから、15km地点で、8人が逃げを作り上げた。総合わずか29秒差のアントニオ・ソトがすぐさま暫定マイヨ・ロホの座についた。その4秒差につけるトビアス・バイヤーの姿もあった。イェツセ・ボルとフレン・アメスケタは、招待チームとして勢力的に先頭交代に加わった。なによりグランツールで山頂フィニッシュ制覇経験のあるリリアン・カルメジャーヌ、ケニー・エリッソンド、ジョセフロイド・ドンブロウスキー、タラマエが先頭グループに飛び乗った。
逃げ切れる。それどころかマイヨ・ロホ譲渡劇さえ起こる。多くのチームがこう予測していた。たとえば勝者タラマエが「前夜、監督と話し合い、区間とリーダージャージを獲りに行くことに決めた」と優勝インタビューで明言したように。エリッソンドもまた「2日前、監督に、今ステージ逃げたいと訴えた。総合勢がマイヨ・ロホを手放す可能性があると考えたから」と打ち明けている。
たしかに今区間のスタート前、多くの総合本命は消極的な目標を掲げていた。それは「ライバルたちからタイムを失わないこと」。200km超という長いステージの終わりの、ひどい激勾配を、誰もが警戒していた。そもそも前日フィニッシュ後に、2連覇中のプリモシュ・ログリッチが、「マイヨ・ロホを取られても構わなかったんだけどな」と笑い飛ばしている。だからこそ、ログリッチ率いるユンボ・ヴィスマは、極めて淡々とプロトン制御に乗り出した。最大9分にまで広がったタイム差は、フィニッシュまで残り30kmを切っても、ほとんど減らなかった。
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