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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第3ステージ】《未来の大物》と言われ続けたレイン・タラマエが涙の勝利「僕は自分自身を信じていた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか残り36.2km地点の中間ポイントは、逃げ選手たちをそれほど興奮させなかった。ボーナスタイムが組み込まれていた2日目とは違い、純粋に緑ジャージ用のポイントだけが配分されていたせいだ。肝心のボーナスタイムが仕掛けられていたのは、残り20kmの3級山岳の山頂。なんと2021年ブエルタでは、日により、地形により、ボーナスタイム収集ポイントが変化する。おかげで山のてっぺんへ向けて、熾烈なスプリントが巻き起こった。逃げ集団内で総合成績が最も上位の3人、つまり33秒遅れバイヤー、29秒差ソト、38秒差カルメジャーヌが、順に山岳ポイント&ボーナスタイムを3、2、1と積み重ねた。
そして3番目に山頂を駆け抜けたカルメジャーヌが、下りで、真っ先にアタックに転じる。最終峠の激勾配と、クライマーの多い逃げ集団の顔ぶれとを眺め、「早めに仕掛けるべきだ」という結論に至ったそうだ。後から「元チームメートのタラマエと共闘すれば良かった」と悔やむことになるのだが……その後さらに2度、カルメジャーヌは加速を切る。顔を見合わせてばかりの7人を振り払うと、約20秒差をつけて、全長7.6kmの1級峠ピコン・ブランコへと上り始めた。
マイヨ・ロホを着たタラマエ
「自分を信じていた。僕自身はすごく調子が良かった。ただ、今日は、すべてがプロトン次第だったんだ。果たして彼らが僕らを追いかけるか、否か」(タラマエ)
プロトンはすでに戦闘モードへと切り替えていたが、それでも最終峠の登坂口でいまだ余裕は4分残っていた。逃げ切れると確信を得たタラマエは、平均9.35%の最終峠に突入すると、猛然とテンポを刻み始めた。すぐにカルメジャーヌを回収した。ボルは真っ先に脱落し、バイヤーとソトも後方へと消えていった。
「気になったのはドンブロウスキーとエリッソンドがどれくらい好調なのかということ。どの選手もみんな強かったけれど、この2人が大きな能力を持っていることを知っていたからね。僕に彼らを倒せるだろうかと考えた。それでも僕は自分を信じた」(タラマエ)
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