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サイクル ロードレース コラム 2021年8月17日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第3ステージ】《未来の大物》と言われ続けたレイン・タラマエが涙の勝利「僕は自分自身を信じていた」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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特にドンブロウスキーには、苦杯をなめさせられた記憶がある。今ジロの第4ステージで、共に逃げながら、初めての総合リーダージャージのチャンスを握りつぶされたのだ。あの日のドンブロウスキーは、「他人のジャージ獲りを利用して守備的に走った」と明言しつつ、初めての区間を競り落とした。

この日だって総合3分28秒遅れのドンブロウスキーは、もはやマイヨ・ロホには興味はなかったはずだ。ただスペインでは、1分28秒遅れタラマエと1分11秒遅れエリッソンドの仕事を利用するつもりもなかった。残り6kmで自ら加速に転じた。続いて8年前にアングリルを制したエリッソンドが軽くジャブを繰り出すも、すぐに先頭を奪い返した。とうとうカルメジャーヌが息絶え、アメスケタが脱落していっても、ドンブロウスキーは毅然と前を走り続けた。タラマエがぴたりと後輪に張り付いているのも構わずに。

「もしかしたら僕は攻撃的すぎたのかもしれない。でも僕の狙いは、勾配の最も厳しいゾーンで差をつけることだった」(ドンブロウスキー)

勾配10%を超える山道で、ドンブロウスキーはハイペースを刻み続けた。しかし背後でじっとライバルの走りを見つめていたタラマエが、残り2.8km、ついに攻撃に転じる。必死に追いすがるドンブロウスキーとエリッソンドを、長い長い加速で振り払った。

自分自身を信じ続けた果てに、山頂でタラマエは2本の指を天に突き上げた。ブエルタでは10年ぶり2つ目の、グランツール全体では3つ目の勝利。フィニッシュ直後は涙に暮れた。伝染性単核球症に長らく苦しみ、「未来の大物」との周囲の期待に応えられぬまま複数チームを渡り歩いてきた。なにより5年ぶりに突き上げた拳だった。

今季加入したばかりのアンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオには、チーム史上2つ目のグランツール区間勝利と、初のグランツール総合リーダージャージをもたらした。かつてツール・ド・フランスで3日間だけ新人ジャージを着た経験のあるタラマエにとってもまた、初めてのマイヨ・ロホだった。初めての山岳ジャージさえついてきた。

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