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サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかしかし30人ほどが密集する塊を、最終的に破壊したのは、衰えを知らぬバルベルデだった。残り1km直前で鮮やかに加速すると、もはや10人程度しかついていけなかった。おかげで背後から飛び出した後輩エンリク・マスは、小さなメイン集団に先んじてフィニッシュラインを越えた。
「バルベルデはいまだに僕らを驚かせ続けてる。最終盤の彼がどれだけ強かったのか、誰もが目にしたはずだ。僕に関しては、ライバルたちから数秒奪うことができた。たしかに大した差ではないかもしれないけど、それでも悪くない」(マス)
その3秒後にやはりモビスターのミゲルアンヘル・ロペスが飛び込み、同タイムでログリッチ、イェーツ、ランダ、ジュリオ・チッコーネ、エガン・ベルナル、バルベルデが続く。さらに7秒後には今大会限りで引退予定のファビオ・アルが入った。
積極果敢な走りを披露したデラクルスはログラ集団から12秒遅れでフィニッシュ。すでに前日38秒失った昨大会3位ヒュー・カーシーは、この日は21秒落とした。ロマン・バルデやアレクサンドル・ウラソフは29秒遅れだった。
ログリッチがフィニッシュしたのが区間勝者タラマエから1分48秒後だったのだとしたら、カラパスは2分48秒後に山頂へたどり着いた。つまり大部分のライバルからペダルで1分遅れた上に、許可されていない場所で補給を行ったとして、20秒のペナルティも課された。この日だけで1分20秒を失ったことになる。
総合首位から3位に後退したログリッチを起点に、5位から7位までマス、ロペス、バルベルデとモビスター勢が続く。7位バルベルデから8位チッコーネ、9位ベルナルまでは首位タラマエから57秒差、ログラから27秒差の同タイム。史上最年少3大ツール全制覇を狙うベルナル24歳は、新人ジャージも身にまとった。
また終盤に凄まじいチーム力を誇示したランダは1分09秒差=39秒差の総合10位。ログリッチから1分圏内は総合16位・1分21秒差のイエーツまで。カーシーは総合24位に、カラパスは27位につける。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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