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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第9ステージ】2019年ツール・ド・フランス総合覇者が涙のマリア・ローザ「すごく難しい2年間を過ごして来た。メンタル的にも、フィジカル的にも」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかマリア・ローザを着たベルナル
未舗装路を雄々しく駆け上がったエガン・ベルナルが、初めての区間勝利で嬉し涙を流した。豪胆さと繊細さを持ち合わせる2019年ツール・ド・フランス総合覇者が、大会1週目の終わりに、2021年ジロ・デ・イタリアの覇権を掌握した。
「信じられない。ここまで来るまであまりにたくさんのことが起こったし、ジロはこの先もまだ長い。でもこの勝利が、このマリア・ローザが、僕にとってはすでに大きな価値を持つものなんだ」(ベルナル)
クレイジーだったのは、なにもラスト1.6kmの土の道+激坂だけではない。全長158kmのステージの、ほぼ最初の半分で、凄まじい飛び出し合戦が繰り広げられた。逃げても逃げても引きずり下ろされ、飛び出してはその尻尾をぱくりと捕まえられる。
とりわけバーレーン・ヴィクトリアスが執拗に猛攻を試みた。前方に待ち構える4つの山岳を目指し、青ジャージ姿のジーノ・マーダーは幾度も突進し、第6ステージでそのマーダーの区間勝利を後押ししたマテイ・モホリッチも、鋭い加速を切り続けた。しかも、この2人が前方に揃ったタイミングで、つまりスタートから35.6km地点に構える2級峠山頂の手前で……なんとダミアノー・カルーゾがメイン集団から飛び出した!
総合エースのミケル・ランダを第5ステージの落車リタイアで失い、急遽代替リーダーを務めるカルーゾは、39秒差・総合6位という極めて好位置につけていた。こんな危険人物は超攻撃的態度で前方へのブリッジを成功させると、後方メイン集団に30秒ほどの差を開けた。出来上がった25人ほどの集団には、総合12位ダニエル・マルティネスも紛れ込んでいた。
マーダーが山頂で順調に1位通過を果たし、そこから30km続く、長い下りをハイスピードでこなしている最中のことだ。やはりバーレーンがきっちり逃げ集団を先導し、マーダー、モホリッチ、カルーゾの順で下っていた。ところが前から2番目につけていたダウンヒル巧者がバランスを崩すと……自転車ごと大きく前転。空中に投げ出され、頭から地面に落下してしまった。自転車はフロントフォークの付け根から真っ二つになったが、幸いにモホリッチの命に別状はなし。
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