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全試合出場を続ける小園海斗
新たな領域に足を踏み入れた。今季チームでただ1人、全試合出場を続ける小園海斗が、9月16日DeNA戦に「4番サード」でスタメン出場した。今季チーム128試合目は、自身のキャリアハイとなるシーズン出場試合数となった。
今季、定位置だったショートのポジションを矢野に奪われ、主戦場をサードに移した。ただ、慣れないサードで22年に並ぶ自己最多13失策を記録するなど、苦戦が続く。
「守備では迷惑ばかりかけているので、バッティングで何とか返せるようにとしか思っていない。今はそれしかできないですから」
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守備では悪戦苦闘しながらも、打席では切り替えを心がける。調子には浮き沈みがあり、試合数を重ねればコンディションも日によって変わってくる。それでも5月以降は2試合以上の連続無安打試合は5度しかなく、最長でも3試合連続無安打が1度あったのみ。打率2割後半を維持し、打率ランキングではリーグ5位(9月15日時点)につける。
携帯電話に残る「過去の自分」が、安定した打撃を支えている。打撃の調子が落ちる傾向やコンディションを落とした詳細をメモに残し、それぞれに対策やどう乗り越えてきたのか方法論を記録している。ノートや手帳でない理由は「たぶんなくしてしまうので」と笑う。一軍での出場が増えた21年から続けてきたメモが、「今の自分」の助けとなっている。
「周りの人から見たら分からないと思いますけど、いろんな引き出しがあって、変えています。構えもあるし、意識(の向け方)もあるし、いっぱいあります」
全体練習前の個人練習で感じたその日の状態や感覚から、どのアプローチで行くのか選択し、練習と試合に臨んでいる。
精神的な成長もある。今季、全試合で中軸を任される。3番48試合、4番63試合(チーム最多)、5番17試合。首脳陣は次代の中心選手と期待する。打撃の状態が守備に影響する姿も見られたが、8月28日中日戦の試合前には矢野とともに新井監督から「失敗してもいい。こっちは気にしてない。失敗しても、切り替えてプレーしよう」と言葉をかけられた。
広島のシーズン全試合出場は3連覇中では田中や丸(巨人)が複数回達成しているが、19年以降では5年間で22年の坂倉ただ1人しかいない。全試合出場は主力選手の証しでもある。
「強さは大事。ケガをしないようにやっていますし、それが自分の持ち味でもあると思っている」
上位争いを繰り広げる中で、25歳がもうひとつの新たな領域を目指し戦っている。
文:前原淳
前原淳
カープ取材歴18年。03年に地元福岡の大学を卒業後、上京。編集プロダクションで4年間の下積みをへて、07年に広島の出版社に入社。14年12月にフリー転身。現在は日刊スポーツの契約ライターとして広島担当。日刊スポーツだけでなく、NumberWebにて「一筆入魂」を隔週連載するなど幅広いメディアに原稿を執筆するカープライター。X → @mae_junjun
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