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右肘の状態が案じられるダルビッシュ
「歯切れが悪くて、すみません」
8月25日、ミルウォーキーでのブルワーズ戦での先発後、パドレスのダルビッシュ有投手(37)はテレビカメラ前でのインタビューを終えると何かしらの“異変”があることをうかがわせた。いいたいことがあるけど、今はいえない。そんなふうに受け取った。
クラブハウス内で行われた試合後の囲み取材。通常は監督会見の後、すぐに行われるが、この日は珍しく約40分も待った。
取材に応答中、ダルビッシュは、腕を体の後ろで組んでいた。爪や指先にけがでもしたのだろうか、と気がかりだった。本人は試合前のウオーミングアップ時から調子が悪いことは自覚していた。「いやあ、もうブルペンからよくなかったですね、全体的に。球自体というよりは、体的によくなかった」。制球が定まらない球もあり、投球練習終了時には投手陣、コーチらとハイタッチをしながら、右手を握ったり、開いたりグー、パーの仕草をしていたのが、気がかりだった。
右肘の炎症で負傷者リスト(IL)入りがパドレスから発表されたのは、ブルワーズ戦で4イニング、76球で10敗目を喫した3日後の同28日。そして、同29日には遠征中のセントルイスを離れ、テキサス州ダラスに向かった。2015年にトミー・ジョン手術を執刀した「肘の権威」といわれる、マイスター医師の診断を仰ぐため、と米メディアなどは伝えている。ちなみにツインズの前田健太投手(35)もダルビッシュの助言でマイスター医師のセカンドオピニオンを受け、手術を決断し、執刀を任せている。
地元メディアの取材には「今の話だと帰ってくるつもりでスケジュールを組んでいるので、Done For The Year(今季終わり)とかは全く思っていない」と今季中の復帰に意欲を示していた。それも、マイスター医師の診断次第、ということになりそうだ。少なくとも8月25日のミルウォーキーの登板後の診断は「炎症」にとどまっている。
あと4勝に迫っている日米通算200勝(MLB103勝、NPB93勝)は来季に持ち越し。今はただ、新たな精密検査の結果を待ち、症状が軽度であることを願うばかりだ。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。
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