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大谷翔平は二刀流後継者たちの可能性を広げている
自らの意思と努力で切り開いてきた二刀流の道。エンゼルスの大谷翔平投手(29)の存在は、才能ある米球界の若者に希望の光となっている。さかのぼること約2週間前。シアトルで行われたオールスター前日の7月10日、参加する全選手の会見が行われた。最も多くのメディアに囲まれた大谷には、今季のドラフトで複数の二刀流選手が指名されたことを米メディアから問われ、次のように答えている。
「(二刀流挑戦への扉を)開いたというのはないですけど、やりたいと思った人たちが、やれない環境には、ならないでほしいなと思っていた」
米4大スポーツには、世界で身体能力に優れた才能が集まる。バスケットボール(NBA)でもアメフト(NFL)、アイスホッケー(NHL)など複数からプロ入りの誘いがある選手もいる。それだけ、身体能力や才能レベルで“バケモノ”が集まる。野球では、高校や大学のアマチュア時代には投打の二刀流を続けていた選手も複数いる。だが、そんな才能豊かな選手たちでもプロ入り後は、二刀流を球団から続けさせてもらえない、あるいは自らどちらかの一刀流を選択する。それほど投打両方で一流を目指すことは、技術的、体力的に難しいことだ。そして、どちらか一つに絞ることが“普通のこと”だった。
「(二刀流をメジャーで)最初にやる者としてはある程度(選択や可能性の)幅が広がったことに関しては良かったと思っています。また何か分からないこと、調整の仕方だったりとか、手伝えることがあったら、オープンにしたいなと思っています」
自らの経験と考え方は、二刀流を目指す選手たちに還元したい。プロ・アマ問わず、野球界の発展と選手の夢を応援したい、との思いがあるのかもしれない。大谷自身、二刀流への道は日本ハムからの提案と理解で共に育んできた。メジャー移籍後はエンゼルスの環境が、才能の開花を後押ししてきた。もちろん、本人の努力と鍛錬があってこそ、だ。
アマチュアには、投打の二刀流をできる才能ある選手は存在する。それは、日米球界を問わず、だろう。大谷は、二刀流でメジャーのトップになるために生活をささげている。打撃、投球、走塁。そのすべてで高いレベルアップを目指す根幹には野球が好き、うまくなりたい、というピュアな思いがある。それこそが、他の要素を上回る何にも代えがたい最も優れた才能なのかもしれない。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。
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@YamadaSANSPO
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