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WBC期間、若手投手と積極的にコミュニケーションをとったダルビッシュ
信頼関係があったからこそ実現した継投だった。侍ジャパンの優勝で最高のフィナーレを飾ったワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。米国との決勝戦で3-1の八回にマウンドにあがったのはダルビッシュ有投手(36)=パドレス=だった。
栗山監督は次のように優勝会見で明かしている。
「僕の方からはそこ(投げてほしいということ)は一切アプローチしない。彼らが逆に勝ちたいと思ったときに何かアプローチしてきてくれると思っていた」
ダルビッシュは、メジャーのレギュラーシーズンを見据え、難しい調整を強いられていた。パドレスには当然、重要で貴重な投手。しかし、ダルビッシュは日本代表に決勝戦でリリーフ登板ができる旨を伝えた。
「当日ですね、決勝当日。昼ぐらい。決勝の登板をしてしまうとその前の(準々決勝で)2イニング投げているので(決勝で)登板してしまうとどうしても開幕にマックスでいくのには正直、難しくなる。でも『パドレスとして、ここはパドレスのことは考えなくても大丈夫だから』っていうことを最後の最後に言ってもらったので、それで僕は(決勝戦の救援登板に)いけますということは言いました」
パドレスとしては、開幕投手としての期待をかけていた。ただ、ダルビッシュ本人の体調などクリアすべき問題があった。それでも、勝利を目指したとき、宮崎合宿がスタートした2月19日から一緒に戦う仲間と優勝したい、貢献できるなら投げる、と決断した。
「コーチにきょうは何回にブルペンに行けばいいですか?って。向こう(日本代表の首脳陣)は投げると思ってなかったと思う。その前までの話から。僕も投げると思ってなかった。でもそれで行くって話に」
パドレスはダルビッシュの日本代表への思いを理解して送り出した。WBC後の調整も信頼している。今大会、例えば米国がオールスタークラス&タイトルホルダーをそろえた打線を編成できたのに対し、スーパーエースの招集に難色を示す球団もあった。どれだけ、チームのエースを供出することが“怖いこと”か、選手も球団も重々承知だ。
例年と違う環境や侍ジャパン投手陣のアニキ分としてかなり気を遣った1カ月間だったことだろう。アリゾナ州のキャンプ地に戻ってからは、ゆっくりと睡眠を取ることもでき、体力も回復しているようす。シーズンでは4月4日(日本時間5日)、ホームのサンディエゴでのダイヤモンドバックス戦でシーズン初先発が決まっている。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。
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