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カブス入団会見直後の練習に笑顔で臨む鈴木誠也(撮影2022年3月=アリゾナ州メサ)
ハングリーでギラついた気持ちが再び沸き上がっていた。カブス、鈴木誠也外野手(28)だ。 「久々になんか高ぶってます。マジでやってやろう!と。絶対、こいつらも蹴散らしてやる!って」
このコメントはメジャー1年目も最終盤に差し掛かった昨年2022年10月。メジャー2年目、今季に懸ける思いを聞いたときだった。胸のうちをオブラートに包まず、ありのままに言葉にするのが鈴木らしい性格だ。メジャー移籍の直前、日本での数年は若いころのようながむしゃらにガツガツいく、という気持ちが薄れてしまっていたという。
メジャー1年目の111試合に出場して、打率・262、本塁打14本の成績に「正直いって、みたくもない」と自分への怒りを表現しながらも悔しさを“燃料”にオフに向かった。
「地獄です。(ボクシング映画)ロッキーです。ロッキーの歌を流して毎日練習する。もう死ぬほどやりますよ」
収穫と課題を手にオフシーズンに向かい、自ら厳しい自主トレで追い込む「地獄」を宣言。そのワケは、表面上の成績とは裏腹に本人は危機感があった。4月は週間MVPを獲得するなど絶好のスタートを切ったかにみえた。しかし…。
「最初はもう打てる気しないわ…みたいな。自分の今の技術じゃちょっときついなー、対応できないなと思っていた。投手のレベルが高いので今までやってきたことでは打てない。それで『もうやばいな、ここ(メジャー)』と思った」
日本で首位打者2度、6年連続20本塁打以上をマーク、そして侍ジャパンでは4番も務めた。しかし、メジャーでは1年目。そんなルーキーに対し、歴戦の投手たちに見くびられている、と感じたという。
「めちゃくちゃナメられている気がするんですよね。そういうやつらを、打ってやる、と。マジに、今にみておけ、と。もうメラメラですよ」
シーズン終盤には適応も進んだ。全体的な球速の速さにも慣れ、太刀打ちできる手応えも得た。何より相手投手がガンガン攻めてくるスタイルに誠也も火がついた。
「あっちも向かって来てる。これを求めています、その向上心というか、たぎる感じ。今はたぎりまくっています」
カブス鈴木誠也(撮影2022年3月=アリゾナ州メサ)
米メディアでは今季の「ブレーク候補」にも名前が挙がる。過去、メジャー移籍した日本打者がNPB時代と同等か、それ以上の成績を残すことの難しさを証明している。“ロッキートレーニング”のオフを経て、どんなレベルアップを遂げているのか。あえて「地獄」に飛び込んだ男の逆襲を期待しよう。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。
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@YamadaSANSPO
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