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野球 コラム 2022年1月27日

ボンズ、クレメンス、シリングはこれで一巻の終わりではない、今後は時代委員会で殿堂入り資格が議論される

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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しかし、殿堂入り投票はケシカラン輩を懲らしめる行為ではない。真に優れた野球人を祀り上げるためのものだ。したがって、疑わしきは弾き出しても一向に構わないと思う。それに、後述するが、BBWAA投票で資格を失っても、時代委員会選出ルートで敗者復活となる可能性はある。しかし、一度殿堂に入れてしまった者を、その後引き摺り出すことはできない。「入れる」方にはくれぐれも慎重になるべきだ。

個人的には、薬物疑惑者に対するスタンス同様に、野球とは関係ない問題行動をどこまで考慮すべきかも大きな課題だと思う。殿堂入りの基準には「人格」や「高潔さ」があるのだけれど、シリングにはもちろん、DVや少年への性的虐待が報じられたオマー・ビスケイルへの投票回避傾向も気になる。ゴールドグラブ11度受賞の名遊撃手だった彼は、2020年には52.6%を得て数年先の選出が大いに期待された。しかし、前回は投票締め切り寸前にDVがすっぱ抜かれたため49.1%と若干票を落とし、今回に至っては23.9%だ。あくまで野球を基準に考えるなら、薬物使用はフェアプレイの原点に抵触する冒涜行為だ。しかし、差別的言動やDVは社会的にはともかく、フィールド上のパフォーマンスとは何の関連もない。「コンプラ」は大事だが、近年はややヒステリックに過ぎるようにも感じられる。

今回資格を失ったボンズ、クレメンス、ソーサ、シリングに話を戻すと、彼らは時代委員会での選出という敗者復活戦がある。このルートは、BBWAA投票で殿堂入りがならなかったプレーヤーと、監督、審判、経営者を対象にしている。こちらには時間切れはない。時の流れとともに、歴史観の変化や、新しい評価指標の誕生は十分あり得る。しっかり時間を掛けて検証して欲しい。

それに、時代委員会は近年安易にBBWAAでの資格喪失組を拾い上げすぎている印象もある。2018年選出の元タイガースの名遊撃手アラン・トランメルや2019年選出でかつては通算セーブ歴代1位だった(現3位)のリー・スミスは、ともにBBWAAでタイムアウトになって間もなく時代委員会にあっさり掬い上げられた。これでは、BBWAA投票での長年の精査は何だったのか?ということになる。

その意味でも、薬物疑惑や問題言動をどう評価すべきか?という極めて重い課題を時代委員会に課すのは大いに意義がある、と言えるだろう。

文:豊浦彰太郎

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豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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