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MLBはようやく7月23日に開幕する。難航を極めた労使交渉はなんとか片付いたが、ここに来て選手や関係者に感染者が多く出ており、健康管理の観点から今季のプレーを見送る選手も少なくない(正当な権利として認められている)。カナダのトロントに本拠を置くブルージェイズは、公式戦開催の許可が政府からまだ下りていない。不安を数え上げるとキリがないが、それでも今季は始まる。そこで、今シーズンの特異な運営フォーマットについて確認しておこう。
イレギュラーだらけの60試合制
移動に費やす時間をできるだけ少なくするため、今季は同地区としか戦わない。例えば、ア・リーグ東地区の5球団は、同リーグ同地区の4球団とそれぞれ10度対戦し計40試合、そして異リーグ同地区のナ・リーグ東地区5球団と計20試合を戦う。かと言って、こちらは4試合ずつではない。ヤンキース対メッツのサブウェイシリーズ、ドジャース対エンジェルスのフリーウェイシリーズなどのご当地対決がホーム&アウェイ各3試合で計6試合と優遇されている反面、3試合のみの対戦もある。やはり、公平を期すよりビジネスの旨みを手放さないことの方が優先なのだ。
ご存知の通り、メジャーの地区分けは便宜上の部分もあり、東地区と中地区は地理的には一部クロスオーバーしている(*1)。したがって、今回の形式で全ての球団の移動が最小化されている訳ではないが、そこは致し方ないと考えるべきだろう。
もうひとつユニークなことに、同リーグ同士のマッチアップであっても、計10試合がホーム5試合、アウェイ5試合という組み合わせは皆無で、6試合&4試合(またはその逆)か、7試合&3試合(またはその逆)なのだ。地元開催の優位性の大部分は地元ファンの応援・歓声による後押しなのだけれど、当面は無観客開催なのでこれも関係ないということだろうか。最終的には同リーグとはホームで20試合、アウェイで20試合と同数で、これは対異リーグ球団でも同様だが、個別の対戦内訳の違いが明暗を分けるかもしれない。
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ワイルドカードは中地区有利?
今季のポストシーズンのフォーマットに関しては、公式戦試合数や選手サラリーの支払い基準に関する労使交渉の中で、拡大運営が盛んに論じられた。公式戦での収益不足を本来ドル箱のポストシーズン拡大で補おうというものだった。しかし、紆余曲折を経て、結局従来通りの各リーグ5球団の計10球団制に落ち着いた。したがって、ワイルドカードも各リーグ2球団で、地区の垣根を越えて、地区優勝球団を除く勝率上位2球団がその資格を得る。そうなると、今季は同地区球団としか対戦しないため、両リーグとも東地区球団は苦しい。ア・リーグ東地区は伝統的に強豪がひしめくし、ナ・リーグ東地区もマーリンズ以外は全て優勝候補と言えるからだ。
その点、中地区は絶対的な強豪がなく、タイガース、ロイヤルズ、パイレーツなど再建過程で戦力的に大きく劣る球団が存在する。東地区のコンテンダーが星の潰し合いを繰り広げる中で、ちゃっかり?勝率を稼いだ意外な中地区球団がワイルドカードをさらう展開は十分考えられる。これを60試合の短期決戦の今季限定運営と割り切れば、ファンとしては意外な展開も期待でき、楽しみではある。しかし、全く異なったチームとしか対戦していない異なる地区の球団同士を勝率で比較し、ワイルドカードを決定する矛盾は指摘しておかねばならないだろう。
野球の将来を変える?新ルール
今季は重要なルール変更が適用される。新型コロナ禍の下でのシーズンならではのものもあれば、そうでないものもある。しかし、いずれも近未来の野球の姿に大きな影響を与えるものだ。
1)全試合でDH制採用
ナ・リーグでのDH制採用は長く議論されており、2021年オフの労使協定更新を経て正式に採用される可能性はかなり高いと見なされていた。それに加え、今季は全試合の1/3がインターリーグ戦となる。これで、全試合でのDH制採用に反対する理由はなくなった。
2)延長戦は無死走者二塁から
この試みの必要性は議論の余地がある。もともと時短を求める声は多く、球場での感染拡大防止には試合時間は短い方が良い。しかし、これは野球の在り方に関する哲学の問題でもある。このルールは新たな魅力をもたらすのか、それとも野球の歴史への冒涜か、注目したい。延長戦で同点のままの裏の攻撃が、まず送りバントから始まるようだと興味を削ぐ、と言わざるを得ない。アメリカではこのような場面でも積極策が好まれるし、彼らはあまりバントは上手ではない?ので、そうならない可能性が高いと思うが。とりあえず、今季限定ルールだ。
3)投手交代はイニング終了か最低打者3人と対戦してから
これはもともと今季からの採用が決まっていた。時短策ではあるが、新型コロナ禍とは直接関係ない。
その他運営上の変更
ロースター枠は開幕時は30人で、2週間後に28人、4週間後に26人になる(9月のロースター枠拡大はない)。通常7月31日のトレード期限は8月31日へ。故障者リスト(IL)の最少日数は野手が10日、投手が15日間となっていたが、すべて10日間に。60日ILは45日に変更される。さらには、唾吐きや乱闘は禁止され、選手の球場滞在時間に関する制限も導入される。個人的な最大の関心事はいつから観客を入れての開催に移行できるかだが、これは現在のアメリカでの感染拡大状況を考慮すると、悲観的にならざるを得ない。
参考:
*1:https://twitter.com/darenw/status/1280275452406489088/photo/1
文:豊浦彰太郎
豊浦 彰太郎
1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]
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