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8度目の候補入り、マービン・ミラー
そして、今回はあの腱移植手術にその名を残す(通称名だが)元投手のトミー・ジョン(通算288勝)、通算385本塁打の強打者で、外野手としてゴールドグラブ8度受賞のドワイト・エバンスら9名の元選手とともに、元MLB選手組合専務理事のマービン・ミラーもノミネートされている。彼は、時代委員会の前身のベテランズ委員会時代も含め、通算で8度目のノミネートとなる。その中で殿堂入りにもっとも接近したのが2011年で75%に一票足らない11票を得たが、それ以外は比較的あっさり落選している。
しかし、元ドジャーズの伝説的アナウンサーのレッド・バーバーは1992年に、野球界に最も影響を与えた人物として、あのベーブ・ルース、人種の壁を破ったジャッキー・ロビンソンとともにミラーを挙げている。
2012年11月27日に95歳で逝去したミラーはもちろん「野球人」だが、それ以上に「労働運動家」だった。元鉄鋼労連エコノミストで、1966年にMLB選手組合の理事に就任すると、それまで球団オーナー達にいいようにあしらわれていた選手組合を「アメリカ最強の労働組合」に育て上げた。
1975年には念願のFA制度を導入させ、その後選手の年俸は高騰。そして、それが引き金となってMLB自体がビジネスとして拡大し、結果的に敵対するオーナー達のフトコロにも巨万の富をもたらした。彼は労使関係だけでなく、MLBのビジネスの在り方をも根本的に変えたのだ。
最大の功績?年俸調停制度
一般的には、彼の最大の功績としてはFA制度を勝ち取ったことが挙げられることが多いが、それ以上に重要な成果(選手側から見て)として、年俸調停の導入がある。この制度は、1972年の史上初のストライキ(開幕から86試合がキャンセルされた)を経て導入され、恩恵に浴するのが一部のスター選手に限定されるFA制度以上に、平均年齢額の上昇に寄与した。
FA権の獲得には在籍6年が必要だが、それだけの期間MLBに在籍できるのは限られたエリートだ。それに対し、基本的に在籍3年で獲得できる年俸調停権は、より多くの選手がその恩恵に浴することができる。MLBの調停は、NPBのそれとは異なり中間を取った妥協案を提示しない。労使の主張のうち、より正当と思われる方を勝利と判定する。したがって、双方がリスクを回避すべく、調停を回避し主張の中間で妥結するケースが多い。そして、その妥結ラインは現年俸より上にあるケースが多いため、平均年俸がじわじわ上昇して行くのだ。
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