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野球 コラム 2019年11月6日

【ハイライト動画あり】侍ジャパン、1イニングで7四球を選びベネズエラに逆転勝利。WBSCプレミア12

野球好きコラム by 大島 和人
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4年前を思い出すような劇的勝利だった。2015年の第1回WBSCプレミア12でも、日本はベネズエラに苦戦している。

その時は8回裏に逆転、9回表に勝ち越されて9回裏に再逆転というスリリングなものだった。「小久保ジャパン」は6-5のサヨナラで、辛勝をもぎ取っている。

2019年11月5日の桃園国際野球場で行われた「リターンマッチ」も、日本は同じように相手のリードを許して試合の終盤を迎えていた。しかし、そんな展開から緒戦をものにしている。

◆試合結果
ベネ|0 0 0 1 0 3 0 0 0|4
日本|0 0 0 0 2 0 0 6 X|8

◆ベネズエラ戦先発メンバー
1番(遊)坂本勇人(巨人)
2番(二)菊池涼介(広島)
3番(左)近藤健介(日本ハム)
4番(右)鈴木誠也(広島)
5番(指)吉田正尚(オリックス)
6番(一)浅村栄斗(楽天)
7番(中)丸 佳浩(巨人)
8番(三)松田宣浩(ソフトバンク)
9番(捕)小林誠司(巨人)
  (投)山口 俊(巨人)

日本の先発は山口俊。10月31日の強化試合で6失点を喫した彼の調子を不安視する声もあったはずだが、ベネズエラ相手に粘りの投球を見せる。国際球への適応を済ませ、フォークの制球も安定していた。

山口は4イニングで5安打を許し、4回表に1失点は喫した。しかし、短期決戦のスターターとして役割を果たした。

0−1で迎えた5回裏、日本は2番手投手・ソティレットを攻略する。遊ゴロ悪送球で一死1・3塁のチャンスを作ると、2番・菊池涼介が一塁線に流す同点タイムリー二塁打を放つ。

さらに3番・近藤健介が申告敬遠で出塁すると、一死満塁から4番・鈴木誠也がセンター前に勝ち越しのタイムリー安打を放ち逆転を果たした。

エラは5番・ゴドイが放ったボテボテの当たりが三塁内野安打となる幸運もあり、無死1・2塁のチャンス。ここから6番・リベロが左越えのタイムリー安打を放つ。

日本は大竹寛、中川皓太をワンポイントでつぎ込む継投を見せたが、内野ゴロ、内野安打の間に1点ずつを追加され、2-4と2点のビハインドを背負うことになった。

6回裏、日本は6番・浅村栄斗の二塁打、8番・松田宣浩の遊前安打などで一死1・3塁の絶好機。しかし代打・會澤翼、1番・坂本勇人が凡退してしまう。7回裏も無死からの走者を出したが、やはり無得点だった。

4年後の第3回WBSCプレミア12は「7イニング制」で開催される予定だ。もし「2023年のルール」ならば、日本は2-4で敗れていた。

しかし8回裏、日本は粘りの猛攻を見せる。日本は6番・浅村栄斗、7番・丸佳浩が四球を選び、無死1・2塁のチャンス。8番・松田宣浩のバントは小飛球となって一死となるが、9番・會澤翼も四球を選んで一死満塁とチャンスを広げる。

ここでベンチの稲葉篤紀監督は「勝負手」を打った。坂本勇人に変えて、代打に山田哲人を送り出す思い切った器用を見せる。そして山田哲人が押し出し四球を選び1点差。

さらに2番・菊池涼介がレフトに同点タイムリー安打を放ち、代走・源田壮亮が同点のホームを踏む。菊池涼介は4打数3安打2打点で、ベネズエラ戦の立役者となった。

3番・近藤健介もやはり押し出しの四球を選び、代走の周東佑京が勝ち越しのランナーとして生還。近藤健介はこの日4四球。パ・リーグの「四球王」らしい選球眼を発揮した。

ベネズエラは投手を6番手・ビスカヤから7番手・ソコロビッチに交代させるが、日本の勢いは止まらない。4番・鈴木誠也がレフトへに犠牲フライを放って畳み掛ける。

5番・吉田正尚は申告敬遠で出塁し、一死満塁。そして打者一巡。6番・源田壮亮が三塁にタイムリー内野安打を放つ。さらに7番・丸が押し出しの四球を選び、8−4とベネズエラを突き放す。

一見すれば、1イニングで7四死球を出したベネズエラ投手陣の自滅かもしれない。しかし、外角が狭い球審のストライクゾーンに適応した日本打線の、しっかりボールを見極める選球眼が奏功した。

日本は12投手中、6名を送り込む継投。8回を8球で締めた甲斐野央が勝ち投手となり、9回も山崎康晃が3人できっちり締めた。

最終スコアは8-4と4点差だが、展開をふりかえれば薄氷の勝利だった。捕手および野手は外崎修汰以外の全員が出場。まさに「総力戦」で勝利をもぎ取った。

文:大島和人

2019WBSC世界野球 プレミア12 オープニングラウンド

ハイライト】 グループB 日本vs.ベネズエラ

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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