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野球 コラム 2019年4月18日

トランプ政権が新協定を却下、キューバ選手の安全・合法なMLB移籍は暗礁に

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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トランプ政権による却下の理由

MLBとFCBの合意は、ファンとしては諸手を挙げて歓迎すべきことだ。人道的観点からはもちろん、現状のプロセスにおいては、亡命を幇助し利益を貪る非合法組織とのMLB各球団のスカウト部門や代理人業者の間接的関与の可能性も排除できないと思われるからだ。

しかし、トランプ政権はこれを承認しなかった。それはなぜか。

そもそも共和党のトランプ政権は、民主党のオバマ前大統領の政策をことごとく否定している。その中でも「反移民」はトランプ支持層への最大アピール事項となっているため、前政権時代に雪解けフェイズにあった対キューバ政策も完全に逆戻りしてしまったことが挙げられる。

現時点でも、アメリカはキューバへの経済制裁を解除していない。そして、ポスティングでFCBに支払われるカネはこれに抵触する、というのだ。そもそも、昨年12月のMLBとFCBの協定合意の発表時から、今回の事態を懸念する声は挙がっていた。トランプ政権は、前最高指導者の故フィデル・カストロの息子アントニオが副会長として牛耳るFCBは「キューバ政府と同一である」としている(オバマ政権は逆のスタンスだった)。

また、今回このタイミングで米財務省が動いたのは、今月初旬にFCBが新協定により移籍可能とする選手34人のリストを公表したことが影響しているのはほぼ間違いないだろう。

今回の政権の動きに関して、タカ派として知られるジョン・ボルトン大統領補佐官は「キューバは選手を人質として利用しようとしているのだ」とツイートしている。また、この協定に対する批判派の急先鋒と見なされていたマルコ・ルビオ上院議員も「キューバ政府は選手の渡米を認めようとしていたが、それも身代金が手に入る場合だけだ」と手厳しい。

今後の見込みは?

MLBはこの協定の大義名分として「人身売買などの非人道的な行為を排除する」ことを挙げていたが、この制度を享受できるのは一部のエリートであることは事実だ。したがって、政権側の「この協定により人身売買がなくなることはない」というのは正しい。しかし、これを無効としても、それが増えることはあっても減ることはないのも事実だ。

ベースボールは両国にとっての国民的娯楽であるだけに、トランプ政権も「本件に関しては、MLBと広く議論していきたい」としているが、自身の基本政策にも大いに関わることだけに劇的な変化は望めそうにない。2016年3月にはレイズとキューバナショナルチームとのオープン戦がハバナで行われたが、すでに遠い過去の出来事になりつつある。

代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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