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想像して欲しい。
ア・リーグ東地区でヤンキースが10度に渡って地区優勝し、レッドソックスが同じ回数だけ2位になる「双頭の竜」だった時代、「良くて3位」*のブルージェイズのハラデーが、ロジャー・クレメンスやペドロ・マルティネスと投げ合いながら、強力打線の前に立ちふさがった姿を。
2010年のナ・リーグ地区シリーズの大事な初戦、フィリーズが4対0とレッズをリードして迎えた九回、ポストシーズン史上2度目のノーヒッターを懸けて、ゆっくりとマウンドに上がる背番号34の雄姿を。
思い出すだけで、身震いする。
「通算2,749.1回や通算203勝は少なすぎる」?
いや、その数字を下回りながら殿堂入りした選手は、左腕サンデー・コーファックス(ドジャース)を筆頭にすでに何人もいる。
殿堂入り選手に大事なのは、「How dominant was he?(どれぐらい彼は凄かったのか)」だ。
そう、ハラデーは凄かった。
それだけで充分に、彼は殿堂入り選手だと思う。
*ハラデーは対ヤンキース戦で18勝7敗、7完投。対レッドソックス戦で14勝15敗、6完投しており、チームは2006年だけ2位になっている。ちなみにハラデーと対戦した日本人選手でもっとも高打率を残したのは、わずか5打数ながら2安打で打率4割を記録した黒田博樹である。
ナガオ勝司
1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員
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