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バドミントン ジャパンオープン2026 開幕まであと1日
バドミントンの国際大会「ダイハツジャパンオープン」が、7月14日に東京体育館で開幕する。世界ランキング上位者に出場義務が課せられる、BWFワールドツアースーパー750の大会。過去の五輪や世界選手権のメダリスト、2028年ロサンゼルス五輪の注目株ら強豪選手が世界中から集結する。
世界のトッププレーを見るチャンスだ。世界ランク上位の優勝候補は、総合力を示すだろうが、中でも注目すると、すごさが分かりやすくなるようなプレーがある。対戦経験がある日本の選手のコメントを交えながら紹介しよう。
劉聖書のバックハンドドライブ、松山「あれができるのは1人だけ」
劉聖書/譚寧(リュー・シェンシュ/タン・ニン=中国)
例えば、女子ダブルスの第1シードである、劉聖書/譚寧(リュー・シェンシュ/タン・ニン=中国)。昨季まで同種目のライバルだった24年パリ五輪銅メダリストの松山奈未(再春館製薬所)は、劉聖書のバックハンドドライブは、この種目で唯一のショットだという。
「腕っぷしが強い。初見では、まったく対応できない。男子くらい速くて強い。何度もやられた。女子は、バックハンドのドライブになったら、強さよりも精度を重視する選手が多い。でも、彼女の球は、強さで弾かれる。いつもとは違う準備を2人でしておかないと、撃ち抜かれる。あれができるのは、1人だけ」(松山)
パーリー・タン(マレーシア)
同じ種目で攻撃力が目立つ選手としては、25年世界選手権で銀メダルのパーリー・タン/シナーフ・ムラリサラン(マレーシア)のパーリー・タンが挙げられる。スマッシュの初速時速438キロは、女子最速のギネス記録となっている。福島由紀(岐阜Bluvic)は「ジャンプスマッシュの角度がすごいし、打って来るコースも予測しにくい。彼女は、レシーブも独特で、相手を惑わすのが上手」と評した。春に負傷して国別対抗戦のユーバー杯を欠場後、復帰して3戦目。コンディションが戻っていれば、楽しみな選手だ。
また、まだトップクラスには及ばなくても光るプレーを見せる選手たちもいる。第8シードで出場するシェー・ペイシャン/フン・エンツー(台湾)は、今季、全英オープン(スーパー1000)やアジア選手権(同格相当)で8強入りするなど、成績を挙げてきているペア。廣上瑠依(ヨネックス)は、後衛のフン・エンツーに注意が必要だという。「長身で左利き。ラリーの組み立て方や試合運びが上手。ほかの選手とは、テンポが違う。後衛から強打よりもカットで崩しに来る。(22年までは)シングルスもやっていたから、カバー力も高い。(昨季まで)ミックスダブルスもやっていて、前衛でもプレーができる」と、後衛からパワーショットの放つ一般的な後衛とは異なる特長を感じ取っている。
新世代アタッカーのフルスマッシュは、レシーブ練習も無意味?
男子シングルスにも、まだトップランカーとは言えないものの、光る武器を持つ選手がいる。2005年生まれの21歳、アユシュ・シェティ(インド)だ。195センチの長身から打ち下ろす強打は、ほかにはない角度で手元に到達する。西本拳太(ジェイテクト)が「一番良い状態で打たせたら、という話で言うなら、どんなレシーブ練習をしても意味がないと思う」と話すほどだ。強打で言うなら、21年世界選手権王者のロー・キンユー(シンガポール)の高速スマッシュも必見。以前、奈良岡功大(NTT東日本)は「彼のフルスマッシュは、バズーカ砲」と話しており、23年の熊本マスターズジャパンで対戦した桃田賢斗(NTT東日本)も「打ったと思ったら、もう、ここ(手元)だった」と驚いていた。
男子最速強打の持ち主は、守備陣形でも攻撃力抜群
サトウィクサイラジ・ランキレッディ/チラーグ・シェッティ(インド)
男子最速スマッシュのギネス記録を持つのは、男子ダブルスで活躍するサトウィクサイラジ・ランキレッディ(インド)。時速565キロは、東海道本線を走る新幹線「のぞみ」の最高速度285キロの約2倍の速さ。スピードは、映像では比較対象がないと分かりにくい。ぜひとも、現地で見てもらいたい要素だ。チラーグ・シェッティとのペアは、両者180センチ超の大型コンビ。ダブルスでは、縦に並ぶ形が一般的な攻撃布陣。守備では、横に並んでコート全体をカバーする。男子ダブルスでは、互いに横並びの状況で速いドライブを打ち合う展開が生まれるが、この2人は、高さを生かして早いタイミングで返球し、なおかつ打球速度で敵陣に押し込むことが可能。霜上雄一は「インドのペアは、低い展開で攻めて来る。2人とも大きいからできるプレー。サイドバイサイドで半面シングルスみたいな感じで前に詰めてくる」と、その圧力を表現した。
混合ダブルス、イェ・ホンウェイが見せる強打
混合ダブルスで、攻撃力のある男子選手といえば、世界ランク1位のフェン・ヤンジ/ファン・ドンピン(中国)のフェンだが、彼のほかにも注目すべき強打者がいる。世界ランク10位(7月7日更新時)のイェ・ホンウェイ(台湾)だ。ニコール・ゴンザレス・チャンとのペアで活動し、3月に全英オープン(スーパー1000)を優勝して、世界を驚かせた。左利きのアタッカーで、保原彩夏(ヨネックス)は「ここに強打が来るとコースが分かっても、角度とスピードがすご過ぎて、もっと手前に落ちる」と強い印象を持っていた。緑川大輝(NTT東日本)も「全体的に球が強くて、強打には一発がある。度胸もあって、守備でも、自分が打ったスマッシュを(後方に下がって返すのではなく、コート中央の)ハーフくらいの位置から(早いタイミングで)パーンと返球されることもある」と対峙して感じる脅威を表現した。
「来ると思っても取れない」元世界女王のカット
強打があるからこそ、効果を生むショットもある。女子シングルスで長く活躍しているベテランのラチャノック・インタノン(タイ)は、元世界女王。多彩なショットの持ち主で、ネット前に落とす球も得意だが、切れ味鋭いスマッシュも打つ。そして、同じポジションから打つカットは、切れ味が抜群。仁平菜月(ヨネックス)は「ラウンドからのクロスカットは、来ると思っても取れない。ストレートスマッシュの差し込みがすごいから、どうしても反応が遅れる。見ている人は取れそうなのにと思うだろうけど」と話したが、インタノンは、追い込まれた体勢からでも、驚くようなショットを放つ選手。もちろん、同じ種目で活躍し、ダイビングレシーブなど鋭い反応から反撃する山口茜(再春館製薬所)のように、日本にも信じられないプレーをする選手はいる。世界ランク上位、ネームバリューのある選手、日本の選手、さまざまな注目点はあるが、世界から多彩な個性を持つ選手が集う大会。特定の選手の得意プレーに注目するのも、一つの楽しみ方となる。
文:平野貴也
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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