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バドミントン コラム 2026年7月21日

【女子レビュー】声援を背に戦い切った山口が準優勝 | バドミントン ジャパンオープン2026

バド×レポ by 平野 貴也
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声援を背に戦い切った山口茜(再春館製薬所)

声援を背に戦い切った山口茜(再春館製薬所)

日本が世界を相手に戦うドラマと、世界トップの選手がプライドをぶつけ合う激戦に生まれるドラマ。バドミントンの国際大会「ダイハツジャパンオープン」(BWFワールドツアースーパー750)の女子種目は、2つのドラマが詰まった大会となった(※男子種目は別記事で紹介する)。

最終日の7月19日、女子シングルス決勝戦では、種目単独最多5度目の優勝を狙う山口茜再春館製薬所)が、決勝戦でプサルラ・V・シンドゥ(インド)と対戦。0-2(17-21、17-21)で敗れた。勝ったシンドゥは、2016年リオデジャネイロ五輪で銀メダル、19年世界選手権で金メダル、21年東京五輪で銅メダルと第一線で活躍してきた31歳のベテラン。24年のシドモディ国際(スーパー300)以来のワールドツアー優勝を飾った。

ガス欠でも声援を背に戦い切った山口

決勝戦は、勝ち上がり方の違いが、試合展開に大きく影響した。山口は、2回戦以降、緊張に苦しんで逆転勝利の連続。タフな試合が続き、決勝進出まで4試合で11ゲームを消化。対するシンドゥは、準々決勝が不戦勝。準決勝も2ゲーム途中で相手が棄権。決勝までに消化したのは、山口の約半分の6ゲーム弱だった。試合の立ち上がり、山口は、相手に低い位置や前方で球を拾わせてから後方へ追いやるラリーで主導権を握ったが、シンドゥが上から打つショットに付いていけなくなり、第1ゲームを落とした。第2ゲームは、シンドゥのショットで後方へ追いやられた。山口は、明らかにガス欠。生命線と話すスピードが上がらない。長いラリーに付き合うと甘い球を強打でたたかれた。それでも、4623人が集った東京体育館の大歓声を背に「イチかバチかというより、短いラリー、低い展開で勝負しにいくしかないなと思っていた」と低空戦で対抗。バテては、スピードを上げ直す繰り返しで粘ったが、最後は山口の打球が映像再判定でアウトとなり、敗戦が決まった。

全体的に低調な大会になったが「声援があって、周りの方がここからでもどうにかなると信じるのであれば、自分もそれを信じるしかないなと思ってやっていた」と話したとおり、連日、苦しい状況から逆襲。特に、準々決勝では、対戦成績10勝0敗だったキム・ガウン(韓国)に苦戦を強いられ、ファイナルゲームの前半を3-11で折り返す大ピンチ。山口にとっては、負ければ期待を大きく裏切る形になる状況だったが、粘り強いラリーで相手のマッチポイントもしのいで22-20で勝利。声援を力に変えることを可視化するような戦いぶりだった。日本のエースが、自国開催の大会で奮闘し、最終日まで観戦者を楽しませた。山口は、直近5大会すべてで決勝戦に進出。不調時でも成績につなげる力強さを示した。

表彰台で健闘を讃えあうプサルラ・V・シンドゥ(インド)と山口

表彰台で健闘を讃えあうプサルラ・V・シンドゥ(インド)と山口

女王アン・セヨンは、2回戦を棄権

女子シングルスは、世界ランク1位のアン・セヨン(韓国)が今季わずか1敗と圧倒的な強さを見せているが、2回戦を棄権。彼女を追う3強のうち、山口が準優勝。陳雨菲(チェン・ユーフェイ)は準決勝の試合途中で棄権。王祉怡(ワン・チーイー)は、次世代の筆頭格であるプトリ・クスマ・ワルダニ(インドネシア)に準々決勝で敗れた。女王不在の大会で、ベテランのシンドゥが優勝、若手のワルダニが4強入りで存在感を示した。

女子ダブルス決勝は、1時間39分の激戦「30点目」で決着

女子ダブルスは、キム・ヘジョン/コン・ヒヨン(韓国)が、最終得点となる30点目で決着する激闘を制してタイトルを勝ち取った。決勝戦は、賈一凡/張殊賢(ジァ・イーファン/ツァン・シューシャン=中国)と対戦。第1ゲームを14-21で奪われたが、第2ゲームを21-15で取り返して、ファイナルゲームに突入。先にマッチポイントを握られたが、互いに譲らなかった。20-20以降は2点差をつけて勝利となるが、なかなか勝敗が決まらず、29-29で最終得点となる30点目を争う状況に。最後は、ツァンがカウンターでクロスへ狙った強打がアウト。映像による再判定でも覆らず、韓国ペアが1時間39分に及ぶ熱戦を制した。

この種目も、世界ランク1位で優勝候補の筆頭だった劉聖書/譚寧(リュー・シェンシュ/タン・ニン=中国)が、2回戦を棄権。世界最高峰のプレーを見られる機会が減ったことは残念だったが、観衆は、滅多に見られない大激戦を目の当たりにすることとなった。

日本の「フクマツ」は、準決勝で惜敗

福島由紀(岐阜Bluvic)/松本麻佑(ほねごり相模原)

福島由紀(岐阜Bluvic)/松本麻佑(ほねごり相模原)

日本勢では、福島由紀岐阜Bluvic)/松本麻佑(ほねごり相模原)のベスト4が最高成績だった。準決勝は、中国ペアに1-2(15-21、21-12、21-23)の激戦で敗れた。攻撃場面を多く作っていたが、ミスでリードを広げられずに第1ゲームをロスト。第2ゲームは、スペースに球を落として、相手に下から打ち上げさせてミスを誘って取り返した。第3ゲームは、きん差で追いかけ続ける展開。相手の強打を拾い続けて20オールで追いつき、会場を沸かせたが、最後は21-23で振り切られた。松本は「スマッシュミスが多く、もったいなかった」と反省。福島は、終盤に主導権を握られた点について「相手の方が(相手に高い球を上げさせるために)落とすのが上手かった。上げざるを得ない展開になったところも、どうにか打破しないと勝ちに結びつけられないという難しさをあらためて感じさせられた」と課題を挙げた。惜しい試合で決勝進出を逃したのは残念だったが、今季は成績が安定。個人戦7大会で優勝1回、準優勝1回、ベスト4が3回。敗れた試合もベスト8には入っている。今大会には、日本のペアが7ペア出場したが、日本勢対決も制して最高位。あらためて、日本のエースとしての存在感と、世界に通用する実力を示す大会となった。

混合複、日本勢は古賀/齋藤の4強が最高

4強入りした古賀輝(ジェイテクト)/齋藤夏(PLENTY GLOBAL LINX)

4強入りした古賀輝(ジェイテクト)/齋藤夏(PLENTY GLOBAL LINX)

なお、混合ダブルスは、世界ランク1位の馮彦哲/黄東萍(フェン・ヤンゼ/ファン・ドンピン=中国)が優勝。5月にペアを組み替えて、まだ世界ランクが118位のジミー・ウォン/チェン・スイン(マレーシア)が、ベスト4と躍進した。日本勢では、古賀輝(ジェイテクト)/齋藤夏(PLENTY GLOBAL LINX)が4強入り。1回戦で第8シードの中国ペアを破り、2回戦では渡辺勇大/田口真彩(ACT SAIKYO)との日本勢対決に勝利。齋藤は「(25年12月にペアを)組んで半年でスーパー750のベスト4に入れたのは、成長してきた実感がある」と手ごたえを示した。活動中の日本勢で最上位となる世界ランク14位(7月14日更新時)の霜上雄一日立情報通信エンジニアリング)/保原彩夏ヨネックス)、即席ペアで臨んだ緑川大輝NTT東日本)/松友美佐紀(東京都協会)は初戦敗退。「日本のエース争い」が混沌としているが、ステージを高めなければ、日本が目指す2028年ロサンゼルス五輪への2組出場は望めない。シンガポールオープン(スーパー750)で霜上/保原が準優勝、今大会で古賀/齋藤がベスト4。この種目では、同様の成績をコンスタントに狙えるようになれるか、今後、注目される。

文:平野貴也

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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