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バドミントン コラム 2026年7月11日

【バドミントン ジャパンオープン2026 開幕まであと3日】女子シングルスはアン・セヨンが絶対女王、牙城を崩す者は現れるか

バド×レポ by 平野 貴也
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バドミントン ジャパンオープン2026 開幕まであと3日

バドミントン ジャパンオープン2026 開幕まであと3日

バドミントンの国際大会「ダイハツジャパンオープン」が、7月14日に東京体育館で開幕する。世界ランキング上位者に出場義務が課せられる、BWFワールドツアースーパー750の大会。過去の五輪や世界選手権のメダリスト、2028年ロサンゼルス五輪の注目株ら強豪選手が世界中から集結する。

連覇を狙うアン・セヨン、今季わずか1敗

2024年パリ五輪の女王アン・セヨン(韓国)

2024年パリ五輪の女王アン・セヨン(韓国)

女子シングルスは、2024年パリ五輪の女王アン・セヨン(韓国)が圧倒的な優勝候補。連覇を狙う彼女を止められる選手がいるかどうかという構図になる。アンは、今季の個人戦に7大会出場して、6大会で優勝。唯一、タイトルを逃した全英オープンでも準優勝している。コンディションに問題がなければ、まず間違いなく上位に来るだろう。韓国らしい、堅固なディフェンス力をベースにラリーをするが、ドライブ戦でも強く、近年は打ち下ろすショットも強化。攻撃力を増している印象だ。

25年には、2019年に桃田賢斗が男子シングルスで成し遂げた年間主要大会11タイトルに並ぶ活躍。今季は、4月にアジア選手権で優勝を果たし、五輪(24年)、世界選手権(23年)、アジア大会(22年)、BWFワールドツアーファイナルズ(21年、25年)といった世界、アジアの主要大会すべてに優勝者として名を刻むことに成功した。ジャパンオープンでは、2年連続3回目の優勝を狙う。

2年間でアンに勝った3人を含めた4強

陳雨菲(チェン・ユーフェイ=中国)

陳雨菲(チェン・ユーフェイ=中国)

2025年以降、アン・セヨンに勝った選手は4人しかいない。韓悦(ハン・ユエ=中国)は、試合途中でアンがリタイアしたことによる勝ち上がり。試合を制したのは、陳雨菲(チェン・ユーフェイ=中国)、山口茜、王祉怡(ワン・チーイー=中国)の3人だ。今季、唯一、アンの連勝を止めたのは、王祉怡。じっくりと相手を振り回すラリーを得意としており、全英オープン決勝では、準決勝の疲労が残るアンからミスを引き出して勝利した。

2025年には、21年東京五輪の金メダリストである陳雨菲が、シンガポールオープン(スーパー750)と世界選手権で2度、アンを破った。彼女もコートを広く使って丁寧にラリーをするタイプだ。選択肢を多く持てる体勢で打たせないラリーを続け、アンのテンポが落ちる場面を待つのが一つの勝利パターンだが、かなりのラリー力が必要となる。

山口茜(再春館製薬所)

山口茜(再春館製薬所)

そして、アンを破ったもう一人の選手が、山口茜再春館製薬所)だ。25年韓国オープンの決勝戦で2-0の勝利。つなぎ球のラリーになれば、小柄な山口は、不利な形で耐える形になってしまう。スピードを上げ、普段よりも上から打ち下ろす球を積極的に活用。アンにできるだけ低い打点で打たせることで主導権を握った。今季は、直近4大会すべてで決勝に進んで優勝2回と好調。「意図的にスピードを出さなければいけないと思わなくても、だんだん良い動きができるようになってきた。ミスショットをしないことよりも、戦術面にフォーカスできるようになってきた」と手応えのある状態で今大会に臨む。

今季も主要大会のほとんどで、アンと、アンを破ったことがある3人の4人が、上位を占めている。ダイハツジャパンオープンでも、構図は変わらない。他選手は、まず4強を止めなければ、道は拓けない。

宮崎、郡司、明地ら次世代は台頭できるか

4強の構図を崩しにかかる勢力の一つは、成長が見られる次世代だ。2028年ロサンゼルス五輪に向けて、この世代が4強の争いに加わっていけるかどうかは、一つの見どころとなる。ただ、現状では、24歳のアン・セヨン世代から下で注目株に挙げられる選手は少ない。日本の郡司莉子再春館製薬所)は、アンと同じ2002年生まれ。前回大会では、ベスト4に入ったが、同様の成績で安定しているわけではない。今季は、アジア選手権(スーパー1000相当)やスイスオープン、オルレアンマスターズ(ともにスーパー300)でベスト8。「何かを変えていかないといけない、危機感がある。上のレベルで試合に出続けることに対するタフさが、足りていない。ミスをしないようにショット自体に気を遣うのでなく、試合展開をどうするかに気を遣えるようにしたい」と上位大会のレベルに順応中だ。

宮崎友花(ACT SAIKYO)

宮崎友花(ACT SAIKYO)

アンより下の世代では、宮崎友花ACT SAIKYO)が最も安定して世界ランク上位に位置している。前回大会の時期は、自身のミスに対して感情をコントロールできず、自滅する試合が多かったが、今季は安定。コンスタントにベスト8入りを続けている。宮崎は「トレーニングを積んでいるので(体勢が)崩れない身体になってきている。あと、以前は自分の気持ちのコントロールが少し難しい場面が多かったけど、今年は、少し崩れないようになってきているのかなとは思っています」と手応えを語った。ただ、さらに上に進むためには、終盤の勝負所で相手がスピードを上げて来た歳の対応力などが必要だ。今大会は、1回戦の相手が世界ランク5位の韓悦。勝っても2回戦で元世界女王のプサルラ・V・シンドゥ(インド)と対戦する可能性がある組み合わせ。しかし、勝ち進めば準々決勝でアン・セヨンと対戦する可能性がある。宮崎は「やり慣れた方が勝てるチャンスも出てくるだろうし、トップの選手の球にもたくさん慣れていきたい。今回は、すごく苦しい組み合わせかもしれないけど、そこで1試合1試合を乗り越えていけたら、すごく成長できる大会なのかなと思っています」と上位進出に意欲を示した。1回戦でアン・セヨンと対戦する明地陽菜(再春館製薬所)も2005年生まれでアンより下の世代。ジャパンオープン初出場で金星を狙う。

健在のベテラン勢にも注目

奥原希望(東京都協会)

奥原希望(東京都協会)

一方、ベテラン勢も健在で、4強崩しに挑む。長身のシンドゥ(インド)は、今季、マレーシアオープン(スーパー1000)で4強入りを果たしている。同じく1995年生まれのラチャノック・インタノン(タイ)もインドオープン(スーパー750)で4強入りし、健在ぶりをアピールした。2人と同世代の奥原希望(東京都協会)も昨夏頃から復調。25年11月の熊本マスターズジャパン(スーパー500)で4強入り。今季もオルレアンマスターズ(スーパー300)優勝やインドネシアマスターズや豪州オープン(ともにスーパー500)で4強入りなど、競争力を示している。今大会では、初戦を勝ち上がれば、2回戦でアン・セヨンと対戦する可能性がある。

「やはり、さすがアン・セヨン」なのか「4強に数えられる3人がアンを倒す」のか、はたまた「若手の4強崩し」になるのか、いやいや「ベテラン復活の大躍進」があるのか。アンや4強を軸にしながら、どんなドラマが起きるか、楽しみになる種目だ。

文:平野貴也

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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