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バドミントン コラム 2026年9月11日

【レビュー】「15点」を制して全日本総合へ、社会人選手権で強さを見せた覇者の姿|全日本社会人バドミントン選手権大会 2026

バド×レポ by 平野 貴也
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秦野陸(トナミ運輸)が社会人初タイトルを獲得

秦野陸(トナミ運輸)が社会人初タイトルを獲得

15点制でも、強い者は強い。第69回全日本社会人バドミントン選手権は9月9日に最終日を迎え、5種目中4種目で初優勝者が生まれた。国際大会の中国マスターズが重なり、多くのシード選手が欠場。また、第1種全国大会の個人戦では初となる15点制採用により、各種目で混戦が予想されたが、終わってみれば、上位候補だった選手たちが優勝を飾った。

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男子単、15点制で輝きを増す秦野が社会人初タイトル

高い打点で強打を打ち込む秦野陸

高い打点で強打を打ち込む秦野陸

男子シングルスは、第2シードの秦野陸(トナミ運輸)が社会人初タイトルを獲得。2022年は準優勝、24年はベスト4とあと一歩で、同門対決に敗れてきただけに「絶対に金メダルを持ち帰りたいという気持ちを、大会が始まる前から持っていた。1個ずつ、1個ずつと自分の中で言い聞かせてやっていたので、うれしいです」と笑顔を見せた。決勝戦では、第1シードの武井凛生(NTT東日本)に2-1で逆転勝利。ファイナルゲームの終盤は、強烈なスマッシュを決めて勢いに乗り、一気にスピードアップ。「自分から球を落として、上がってきたら打ち込む。決まらなかったら、それを繰り返す。それをやらずして負けるよりは、という気持ちだった」と体力を惜しまず、できるだけ高い打点でシャトルを捉えて強打を打ち込むスタイルを徹底し、勝負を押し切った。

秦野は、6月の全日本実業団選手権でも、日本代表の渡辺航貴(BIPROGY)に逆転勝利を収めるなど、15点制の大会で以前より輝きを増している印象だ。来季の日本代表選考にも影響する、12月の全日本総合選手権も15点制が採用される。日本代表勢が国際大会で21点制を続ける間に、国内で先行採用された15点制のトーナメントを経験していることは、良い経験となる。終盤、スタミナ切れを恐れずに連続攻撃を仕掛けるパターンは、一つの必勝法になりそうだ。なお、この種目では元世界王者の桃田賢斗(NTT東日本)がノーシードで参戦し、ベスト16で全日本総合の予選出場権を獲得したが、準々決勝は棄権。秦野との対決は実現しなかった。

女子単、高橋が新スタイルで4年ぶり2度目の戴冠

高橋明日香(ヨネックス)が4年ぶり2回目の優勝

高橋明日香(ヨネックス)が4年ぶり2回目の優勝

女子シングルスは、第2シードの高橋明日香(ヨネックス)が4年ぶり2回目の優勝を飾った。上からの強打を武器とする元日本A代表の実力者。攻撃を焦ってミスから崩れる悪癖も持っていたが、今大会では粘り強さで勝つ新たな一面を見せた。決勝では、砂川温香(BIPROGY)に第1ゲームを奪われ、第2ゲームもチャンピオンシップポイントを2度握られる苦しい展開だったが、17-15でひっくり返すと、ファイナルゲームを制して逆転勝利。「スマッシュ、ネット前を繰り返すだけだときつかったので、一度、クリアーで相手を後ろに戻しながら得意なプレーを入れられて、我慢が効いた。いつもなら、焦ってずっと同じことをやってしまう。気持ちを整理できたのが大きい」と手ごたえを語った。昨年11月に負傷後、復帰するにあたり、自身のプレーに対する考えを見直したという。15点制について、準々決勝後に「自分のプレースタイル的に(点数が)短い方が、相手に慣れられる前に決めきれる展開になればいい。でも、攻める分、ミスになって自滅するパターンもある。15点では崩れたままだと、すぐにゲームが終わる。試合展開が早いので、プレーのやり方を変えて、自分のリズムに持っていければ強いと思う」と話していたが、今大会では攻撃スタイルとミスをせずにつなぎながら戦う部分の両立ができ、15点制を勝ち切った。

男子複、U24日本代表の川邊/松川が実力証明

U24日本代表の川邊悠陽/松川健大(日立情報通信エンジニアリング)

川邊悠陽/松川健大(日立情報通信エンジニアリング)

男子ダブルスは、U24日本代表の川邊悠陽/松川健大(日立情報通信エンジニアリング)が、初優勝を飾った。フル代表が参加していない中、追われる立場で臨んだが、きっちりと結果を残した。準決勝では、同じU24日本代表に追加された目崎駿太郎/奥優汰(トナミ運輸)に2-1で競り勝った。決勝戦では、日本ランキングサーキット準優勝の武井優太/中静悠斗(NTT東日本)と対戦。第1ゲームは、相手が得意とする低くて速い展開を出させず、スペースへかわして相手に下から拾わせる流れで15-11。第2ゲームは、4-8でインターバルを迎えたが、粘り強く相手のミスを誘発。5-9から10連続得点でひっくり返し、2-0のストレートで勝利を収めた。昨年10月のシドニー国際で15点制大会を優勝しており、15点制の経験値も多く積むことができている。間違いなく、フル代表を追う中では一番手。初めて15点制が採用される12月の全日本総合に向けて、松川は「ベスト4、優勝を狙える力はついてきたと思っている。先を見過ぎず、一戦一戦勝ち進みたい」と意気込みを語った。

女子複、鈴木/山北が課題直面もゴリ押し優勝

鈴木陽向/山北奈緒(NTT東日本)

鈴木陽向/山北奈緒(NTT東日本)

女子ダブルスは、日本代表経験ペアの鈴木陽向/山北奈緒(NTT東日本)が初優勝。第1シードだった高橋美優/中出すみれ(BIPROGY)が中国マスターズ出場で欠場した中、最有力候補として挑んだ大会で、実力を示した。鈴木は、安堵の表情を浮かべたが「日本代表がU24しか出ていない。優勝できて良かった。良い通過点になるようにしたい」と気を引き締め直していた。強くて速い打ち合いに強いペア。15点制の攻略法として、サービス周りから素早く攻撃に持ち込むことを意識していた。ただし、準決勝も決勝も第2ゲームは失った。決勝戦は、第3ゲーム終盤で逃げ切りに苦戦。16-14で辛くも振り切った。危なっかしい場面もあり、山北は「体育館の(空調の)特徴に慣れるのが遅くて、得意な部分をなかなか出せなかった。優勝はできたけど(もっと良い内容で勝てるはずだった)心残りも少しある」と課題と向き合っていた。流れをつかめば強いが、流れを手放す時間帯もある。フル代表を追うために、さらに安定感のある攻撃を目指して磨きをかけていく。

混合複、中静がまた優勝、山北眞とのペアでもタイトル獲得

中静悠斗/山北眞緒(NTT東日本)が初優勝

中静悠斗/山北眞緒(NTT東日本)が初優勝

混合ダブルスは、中静悠斗/山北眞緒(NTT東日本)が初優勝。決勝戦では、滝口友士(豊田通商)/松友美佐紀(東京都協会)に2-1で逆転勝利を収めた。中静は、5月の日本ランキングサーキットで田口真彩(ACT SAIKYO)とのペアで優勝。男子ダブルスでも準優勝しており、国内大会での存在感を増している。身体のサイズ、運動量、強打と高いスペックを誇り、緩急も使える。12月の全日本総合選手権では、両種目でダークホースとして注目される。山北眞は、五輪金メダリストの松友との対峙で、第1ゲームは劣勢に立たされたが、第2ゲームからは思い切って前で勝負。逆転勝利に貢献した。姉の奈緒は、日本代表経験者。「いつも姉が結果を残して、自分はあまり結果を残せないということが多かった。しっかり2人で優勝できてうれしい」と喜んだ。今大会で全日本総合選手権の本戦出場権を獲得。一段レベルが上がる大会でも活躍できるか期待される。いずれの優勝選手も、15点制への適応という課題と向き合いながら強さを誇示。全日本総合での挑戦が楽しみとなる大会となった。

文:平野貴也

無料動画

【男子シングルス 決勝 ハイライト】武井 凛生 vs. 秦野 陸|全日本社会人バドミントン選手権大会 2026(9月9日)#badminton

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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