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■出場停止処分からの復帰を支えたファンに感謝
周囲への感謝を伝えたい。その思いが大きかったのは、大失敗から救ってもらえた恩義があるからだ。桃田は、代表活動で一番印象に残っている大会として、世界選手権でもなく、ワールドツアーファイナルズでもなく、2018年のジャパンオープンを挙げた。桃田は、ジュニア年代から活躍。2015年に、年間成績上位者のみが出場するBWFスーパーシリーズ(現ワールドツアー)ファイナルズで女子シングルスの奥原希望とともに日本人初優勝を飾るなど、16年リオデジャネイロ五輪のメダル候補として注目度を高めていた。しかし、16年4月、違法賭博店の利用が発覚して、出場停止処分を受けた。17年に処分が解けた後、下位大会から世界ランクを上げ、ジャパンオープンに再び出場したのが18年だった。
「正直、応援されないんじゃないかなとか、ネガティブな気持ちもすごくあったけど、 いざコートに立つと、たくさんの人に応援してもらうことができ、いつも以上の力を出すことができたことをすごく覚えているし、日本で大きな国際大会で結果を出すことが、僕なりの恩返しの仕方だと思っていたので、それを形にできたのがすごく嬉しかった」
一番の思い出としたのは、復活を後押ししたファンに感謝を伝えられた瞬間だった。
■最後の国際大会へ「どん欲にコートを動き回りたい」
日本代表での最後の舞台は、トマス杯。「最近は、自分の結果と応援が合わないくらい、会場に行くと、たくさんの人に応援していただけて嬉しい限り。本当に自分の集大成なので、どん欲にコートを動き回りたい」と話した。代表活動引退後は、国内で活動を続ける方針。「バドミントンの楽しさを感じてもらえるようなイベントだったり、自分からどんどん発信していきたい」と地域貢献活動にも積極的に参加したい意向を示し、プライベートでは自動車の運転免許を取りたいとも話した。約1時間の記者会見で、桃田は終始、笑顔で話した。後悔しないかどうか、ずっと悩みながら戦い続け、やり切れた思いになれたのだろう。また、日本代表での活動を終えても、自分はバドミントン界に生きる人間に変わりはないという思いも感じられた。大失敗も大成功も経験し、頑張り続けた日本代表での10年。はにかんだ笑顔に、その充実感が表れていた。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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