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H.グラネル(NOR)
表彰台の3選手が揃う試合後のFIS公式記者会見で、2位となったグラネル(NOR)に対して、下の120m付近からの浮き上りについて、なにか秘策を持っているのだろうか?と質問した。
「スピードが出ているから、そのまま最後に伸びていくんだよ」
これをどう解釈するのか、それを考えるとボルテージが上がってしまった。すなわちスーツのどこかにエアがたまる。そこに新規スーツのマジックがあるのだと認識させられた。優しくヒントをくれたグラネルさんありがとう、どうぞこの先ひたむきにクリスタルトロフィーを狙っていただきたいものだ
要するに60m前後でジャンプ写真を撮影して、すぐに選手の背中を追うとわかるのだが、ジャンプ後半にちょうどお尻の上部分が空中でぷっくりと膨らんでいることがあからさまになった。いわゆるカッティングは強豪国によって違いはあるが、一律に、エアは首の後ろから入ってくる。それが背筋から尻上に溜まり最後に腰が浮かび上がる構造だ。これらは以前から目にしていたが、今季におけるゆとりあるスーツサイズのおかげで、より明確に作られているのだ。それがわかりやすいのがクバツキ(POL)でもあった。
D.クバツキ(POL)
であるから、ジャンプ週間からグラネルの後半の長い浮きと右曲がりのクセが顕著に見られ、優勝を確実に手に入れていたのである。
このような状況下で小林陵侑選手は、少しも慌てず騒がず、静かに状況を分析してスーツ担当者とミーティングを重ねていた。そして素晴らしい札幌3連戦対応となるルール内の最新ジャパンモデルを作り上げ、ザコパネ大会をスキップ(欠場)し、日本へ帰国の路を選択したのだった。さらに国内での約2週間、コンチネンタル杯には出場せず、集中してスーツテストと技術チェックの時間に当てていた。もちろんリフレッシュとしての山籠もりや、“なまらあずましい(こころやすらぐ)”秘湯での瞑想など、じっくりと勝利の方程式を積み上げてもいた。その密かな戦略が大当たりだった。
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