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スキー コラム 2018年11月16日

スキージャンプ シーズンレビュー『決意の葛西』

鳥人たちの賛歌 W杯スキージャンプ by 岩瀬 孝文
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レジェンド葛西紀明(土屋ホーム)はW杯開幕シリーズにかけている

レジェンド葛西紀明(土屋ホーム)はW杯開幕シリーズにかけている

秋風吹く11月、札幌のラージヒル三連戦を終え、蔵王温泉シャンツェでトレーニング合宿に入った葛西紀明(土屋ホーム)だった。そこでは夕刻からの入念な調整ジャンプを行ない最後の仕上げとした。そして14日にその葛西とともに精鋭日本ジャンプチームが欧州へ出発した。
向かうのは、昨今、W杯開幕戦が定着したWisla ビスワ(ポーランド)だ。そこでは大観衆が国旗を場内一杯に振りかざす姿が見られる。ここから北欧で心底冷えるKuusamo RUKA クーサモ・ルカ(フィンランド)へ、さらにドイツのW杯シリーズなどを転戦する。

日本チーム6人枠の陣容は葛西紀明(土屋ホーム)、小林陵侑(土屋ホーム)、伊東大貴(雪印メグミルク)、竹内択(北野建設)、小林潤志郎(雪印メグミルク)、中村直幹(東海大)となった。

ここまで順調に復調してきた伊藤大貴

ここまで順調に復調してきた伊藤大貴

欧州サマーグランプリで活躍した中村直幹(東海大)

欧州サマーグランプリで活躍した中村直幹(東海大)

世界にその名が轟くベテラン葛西には夏場に体重が落ちない苦悩があった。 夏の名寄サマージャンプでは62㎏のまま飛んでいたが、飛距離が出にくい印象でボタリと着地。それもベストウエイトは58㎏だからだ。いささか動きが鈍いのか、葛西の顔にいくらか曇りがみられた。
「アプローチスピードは上がりましたよ、もちろん重いからね(笑)」
と周囲を笑わせていたが、果たしてベストで、いちばん身体が動きやすい体重に戻せるのであろうか。名寄ピヤシリにきていた取材記者たちはしばし顔を見合わせた。

そこから8月後半のサマーグランプリでは国内選考において僅差で敗れ去り、10月後半の白馬全日本選手権では、可もなく不可もなくほどよい順位であった。
今季はスキーの長さを微調整したこともあり、余裕ある60㎏弱の体重での出場に落ち着きそうだ。あとは靴底に手を加えることをしてみた。ビンディングの取り付けなども加味して、その靴底のカエリを重要視してもいる。

左から佐藤幸椰(雪印メグミルク)、竹内択(北野建設)、伊東大貴(雪印メグミルク)、小林潤志郎(雪印メグミルク)

左から佐藤幸椰(雪印メグミルク)、竹内択(北野建設)、伊東大貴(雪印メグミルク)、小林潤志郎(雪印メグミルク)

今回のトップ遠征チームには6枠内においてメンバー変更の条件が付けられた。
『12月までのW杯で6番目になった選手は佐藤幸椰と入れ替える』
前年のW杯に出場、その小柄な体型が似ている岡部孝信コーチの指導を受けて着実に成長してきた佐藤幸椰(雪印メグミルク)が国内に控えていた。
そこで気になるのは、入れ替えメンバーは誰になるのかということ。

これもじつに、シリアスな状況にある。
「負けないから~」さらりとそう言って空港を出立した葛西だ。

冬、スタート時期の遠征がとても重要になるのは自分自身でもわかっていた。
もしW杯ポイントが取れない場合は、長年、続けていたジャンプ週間の出場が途切れてしまう。その時点で成績の良い選手がW杯に出場する。それは勝負の世界における不文律。その分かれ道に葛西はいま身を置いている。
案外、シニカルな彼のことだ。それを楽しむかのように。

今シーズンの海外勢では、やはり強豪のポーランドに注目が集まる。
POL ポーランドは意気軒高そのもの。開幕のビスワ団体戦で優勝を飾り、一気に勢いの波に乗っていこうと目論む。もちろん名選手アダム・マリシュヘッドコーディネーターのもと、チームのまとまりもすこぶる良い。王者ストッフを筆頭に、コット、ジラ、クバツキのトップ4人を軸にして若手数人が加わる見込み。
これに続くのはなかなかの個性派が揃うノルウェーだ。タンデやひげのヨハンソン、フォルファン、ガングネスなど幾人も長身を利したダイナミックな飛びが健在。
GER ドイツは、いよいよ勇者フロイントの復帰がみられる。膝の故障も癒えてあの荘厳なジャンプの復活となる。そこに絵心があるフライタクに明るくうららかなベリンガーと優しき軍人ヴァンクらが続く。
来年2月のゼーフェルト世界選手権の開催を控えて地元での好成績が望まれるオーストリア AUTは、新ヘッドコーチの手腕に浮沈がかかる。クラフトとハイバックの2トップが上手にチームをリードする。
一転、スロベニア SLOはプレフツが不調のまま開幕欠場となりそうで、立ち上がりのインパクトに欠ける状況からのスタート。

絶好調でシーズンインを迎えた小林陵侑(土屋ホーム)

絶好調でシーズンインを迎えた小林陵侑(土屋ホーム)

今季を技術的にみると、ジャンプの後半に身体からスキーを離していく新テクニックが、さらに顕著にみられそうだ。
これをすでにマスターしている小林陵侑、ストッフおよびノルウェー勢の空中姿勢に着目していきたい。

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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