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フライングW杯のバドミッテンドルフ(オーストリア)で、下からの吹き上げの風に乗って、ぐいぐいと飛距離を伸ばした葛西紀明が、暫定で6位に入った。
そしてしばらくすると、上位のひとりがジャンプスーツに関連する違反の発覚で失格。
ノリアキ・カサイ第5位に入賞!
あのクルムの狭い谷間に2万人が駆けつけた大観衆は、オーストリア国旗を盛んに振り回しながらカミカゼ・カサイの健闘を祝していた。それこそ地元出身の選手のように大声援を送ってくれた。さすがだ、スキー大国オーストリア。
こんなにうれしいことはない。
ちょうど土曜の夜、女子ジャンプの札幌W杯初戦を終えてめっぽう疲れ果て、夜22時が過ぎたころ。そうだ夕飯を食べなければ元気になれないと、ちょうど関西からジャンプ応援にきていたジャンプフリークMさんを誘った。元ジャンプ選手の千葉勝利さんが営む洋風居酒屋『モンドキッチン』へとカレー、サラダ、名物もつ煮、ビールを少しだけいただきに。
若者でにぎわう店内のテレビ大画面でタウプリッツFHの中継2本目となっていた。
サッツこそ、ほんの少しだけ力が入ったノリさんらしいジャンプで、ランディングバーンの後半に、きたきた下からのさっとした吹き上げが。こうなればもう葛西さんの範疇とノリである。そこからふわっと身体が浮き出して20mくらいも。それで5位となった。
若い選手であれば、怖くてしょうがない状況のフライングの浮きと急激なアップダウンかもしれない。そのとき葛西選手の顔に笑みが浮かんでいるのは言うまでもなかった。テレビは着地を正面から放映してほしく思うのだけど。
昔、ルール改正前の、左右のスキーの間から上半身が、下に飛び出し、しかも笑顔を見せながら飛んでいると欧州中から脅威に捉えられ、それがスローモーションでテレビ中継の巻頭を飾ったことがある。
以前にも書いたが、なぜ、あのとき笑顔になってと、問うと『飛び出た瞬間にいい風がきて、あ、これは飛距離がでるなあって、わかるから。その微笑みなんですよ(笑)』と。
風を呼ぶ男だからこそカミカゼ・カサイ、その異名をほしいままにしていた1990年代であった。
そのモンキチさんで、葛西選手の5位入賞をライブで観ることができ、こちらも元気が出てきて体調万全になり。そうだ葛西さんは国民の皆さんに幸せをふりまくことができるジャンパーなんだなと、しみじみと。
それはさておき、次の試合、名門のフライング台、アイストラックのアプローチに改修したオーベルスドルフ(ドイツ)で開催されたフライング世界選手権。
これはタフな大会だ。1日に2本ずつ合計4本フライングを飛んで、そのトータルで勝負を競うもの。空中に出て長ければ5~6秒も我慢して伸ばす200mオーバー。1本飛ぶだけでも疲弊感がすさまじい。
そこでも気分よく飛んだ葛西紀明が218.5mで4番手につけた。しかし、2本目にとんでもない風にやられて123.5mと、なんという運営なんだと怒り心頭にもなりそうだが、熟練の葛西は、まあ、そういうこともあると、どこ吹く風だ。
それを観ていた小林潤志郎(雪印メグミルク)と小林陵侑(土屋ホーム)の岩手県八幡平市松尾出身の兄弟は、良き経験を積まねばならないと、そこはベテランの妙で魅せるレジェンド・カサイの闘魂ジャンプに果敢に続いていった。
個人戦の勝者はタンデ(ノルウェー)、4本目は強風でキャンセルになったが、その勢いにあふれてノルウェーチームが団体戦を制した。
この団体戦に期待した日本のファンがたくさんいたが、竹内択(北野建設)が帰国の途につき、伊東大貴(雪印メグミルク)の招集はままならずザコパネからの復帰。であればフライング経験のある伊藤謙司郎(雪印メグミルク)や栃本翔平(雪印メグミルク)を急遽、呼び寄せてとは思うが、日本チームはしばしの休養を選択した。
さあ、ザコパネの長い台も葛西選手が得意としている。
そこはポーランドの南部クラコウ市からさらに南に降りた風光明媚な街、スロバキアの国境が近く国内屈指の避暑地であり冬場の保養地でもある。
順風の向かい風がやってきて長距離飛行が可能なスーパーな台。以前には小林陵侑がいきなりひとけた順位を記録したゲンの良いシャンツェだ。
気温が上がると、たまに霧に包まれたりするが、ポーランドの熱狂的な大観衆がそれを吹き飛ばしてくれるだろう。
さらに待ってましたとばかりに巨大に聳える北ドイツのビリンゲンW杯は、近年こそ、飛距離を抑えられるようになったが、往時のアホネン(フィンランド)やマリシュ(ポーランド)が150m超えに届きそうなくらいのフライトをみせたビッグヒル。ここでも葛西紀明は優勝したことがある。
気分よく、五輪に向けて調子の波を上げていこうわれらがジャパン!
五輪展望
ときとしてあのいまわしき風が吹き抜ける2月の五輪では、10日(土)に男子ノーマルヒル、12日(月祝)に女子ノーマルヒル、17日(土)に男子ラージヒル、19日(月)にラージヒル団体戦が行なわれる。 去年2月のW杯プレ五輪では、風のためラージヒルから種目変更となったノーマルヒルではクラフト(オーストリア)が勝利した。 あの巻き上がる読みにくい風、さてどのようなゲーム展開になるであろうか。
注目されるのはポーランド、ノルウェー、ドイツ、オーストリア、日本、スイスの各チーム。 連続の金メダルを狙う好調なポーランドのストッフにコットとジラやクバツキ、ノルウェーチームをリードする勢いのタンデとファンネメルにフォルファン、ドイツのフライタクとヴェリンガー、オーストリアのクラフトとハイバック。五輪招致活動に力を注ぐスイスのアマンも五輪メダルを持つベテランの意地がみられそう。 いよいよ輝きのメダル獲得めざす葛西紀明、満を持して復帰する伊東大貴、地元白馬で調整充分な竹内択、日の出の勢いがある小林潤志郎、その兄を追う小林陵侑の頑張りがありそう。
また12日のノーマルヒル女子ジャンプは、ルンビ(ノルウェー)とアルトハウス(ドイツ)の2強が中心。そこにウエイトコントロールに成功したフォクト(ドイツ)の集中力、まとまりあるスロベニア、ロシアの長距離砲アバクモワ、そこで巻き返してくる高梨沙羅(クラレ)に元気が良い伊藤有希(土屋ホーム)、蔵王W杯で船木和喜コーチによる指導で開花した勢藤優花(北海道ハイテクAC)、調子が上がってきている岩渕香里(北野建設)の伸びやかなジャンプに期待してみよう。
岩瀬 孝文
ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。
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