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スキー コラム 2017年3月13日

『北欧シリーズ霧のホルメンコーレン』スキージャンプFIS ワールドカップ 16/17 オスロ大会プレビュー

鳥人たちの賛歌 W杯スキージャンプ by 岩瀬 孝文
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バイキング魂で意地のある応援が団体戦でノルウェーを銀メダルに押し上げた

毅然とした軍楽隊の衣装もあでやかに、太鼓を軽やかに打ち鳴らすそのリズムは軽快そのもの。ノルウェーが好む赤色ウエアが目立つ観衆はワクワク感に包まれる。
あの音色を聞いたらすぐに『ホルメンコーレンにきた~』と安堵して、さらにどのような勝負になるのかと期待でいっぱいになる。
しかもスタートするときのプーというラッパ音が何とも言えず、それに合わせてレンズを構える。すべてが心地よいオスロ・ホルメンコーレンだ。

オスロ駅前から車で20分と少し、時間があるのなら地下鉄に乗って30数分でホルメンコーレン駅に着く。そこから、てくてくと歩くこと10分くらい、そこが名門ホルメンコーレンスタジアムだ。改修されて扇形になったラージヒル、クロスカントリーとバイアスロンの周回コース、山の中に続くクロスカントリースキーコース、やや北側に降りると山肌を舐めるようにノーマルヒルシャンツェがある。

しっかりと調子を上げてきた伊東大貴(雪印メグミルク)は実際にトロンハイムLHを得意としている

さすがノルディックスキーの聖地であるだけに観客はジャンプに詳しく、その飛びに一喜一憂する。そこでもあのリアル・レジェンド葛西紀明に対する応援がまた素晴らしく、いつまでたっても拍手が鳴りやまない。それも1993年頃には、あの英雄アンドレアス・ゴルドベルガー(オーストリア)と優勝争いを演じ、そこで勝利した歴史を持ちつつ、いまだ現役選手。ということでそれはもう大歓迎され、称賛されているのである。

たまに気温が上昇してくるとすっかりと霧に覆われて、それこそ何も見えない、勘だけが頼りのジャンプになる。それもホルメンコーレンの風物詩だ。
観客も、スタートのラッパ合図と、空中から聞こえるスキーの風切り音に、着地のザシっという雪の音だけで、よく飛んだと喝さいをおくっているのだから素晴らしい。
あたりは実際に真っ白くジャンプ写真にならなくて、いささか閉口させられるが、それもまたホルメンコーレンならでは、と、広い心持ちにさせられる。

とことん勢いの波に乗っているクラフト(オーストリア)の連勝も楽しみ

さてW杯終盤戦は、個人総合優勝が見えてきたシュテファン・クラフト(オーストリア)が中心に展開してくる。ラハティ世界選手権で得たノーマルヒルとラージヒルの金メダルを自信に果敢に飛ばし、さらに身長170cmそこそこの小柄ながら魅せるシャープなジャンプとふわりと浮くテクニックは彼ならではのもの。そこに高性能なスーツのことも加味してはくるが、その基本的に体幹が鍛え上げられた好ましいボディバランスは並大抵のものではない。
それにあのベイビーフェイスで笑顔を振りまき表彰台に上がる。それゆえ日本のジャンプファンにも人気が高い。

ヴェリンガー(ドイツ)と優勝したクラフトに促されて表彰台に上がったジラ

このところ頑張ってきているジラ(ポーランド)も北欧で表彰台を狙うひとり

仲の良いライバルのアンドレアス・ヴェリンガー(ドイツ)も表彰台を狙い、そこにアダム・マリシュひきいる強豪チームで絶好調ジラにストッフ、コット、クバツキの世界選手権団体戦金メダルメンバーも確実に上位入りしてくるであろう。
では、地元でひと暴れしたいノルウェーは、オスロをはじめに最大のターゲットはあのロングフライトが期待できるビケルスンのフライング台にあるようだ。そこでバイキング魂をいかんなく発揮する。そしてノルウェーの強さを世界に知らしめる、そういうストーリーを描いている。

これまで幾度か書き記しているが、日本チームはマイペースなジャンプ終始する。いまは、それが賢明な策であるからだ。タイトなスーツでぼたりと落とされる日本選手はもう見たくはないというのが本音だが、現存それはいたしかたあるまい。
ぐっと我慢の今季W杯終盤戦だ。

ときに強風で、しかも霧さえあるホルメンコーレン。 市内のほどよい山にこれほどのジャンプ台があるのは、鉄壁な競技運営を誇る札幌大倉山かジャンプ週間の伝統あふれるインスブルックであろう。

この地でW杯ジャンプツアー都会派の気品あるジャンプを堪能したい。

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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