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スキー コラム 2017年2月14日

『吹き荒れる風をものともせずに』スキージャンプFIS ワールドカップ 16/17 平昌大会プレビュー

鳥人たちの賛歌 W杯スキージャンプ by 岩瀬 孝文
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葛西紀明

応援してくれる皆さんの期待に応えたかった葛西紀明(土屋ホーム)

応援

ポーランドチームの親衛隊!? その大声援が選手の飛翔を後押ししていた

こんなはずではなかった。
平昌W杯プレ五輪を直前に控えた、注目の札幌W杯だった。
世界に誇るレジェンド葛西その土曜夜のゲームは、ものすごく良い風がき過ぎて幾度も待たされ、それがとまった時にブルーランプ。なんとかイケる、と思いきや、下の風がなく、ストンと落とされてしまった。そして迎えた問題の日曜日の試合だった。
サッツ付近は強すぎはしないが良風のまま、さっそうとスタートを切る。そこから飛び出す、だが、およそ30m付近で石狩方面の右斜め下からいきなりの“突風”が吹き抜けた。
葛西選手は「あ~」と大声をあげて、先行して左腕をあげて安全な着地へと瞬時に移行していった。 たくさんいた観客は茫然とした。
ましてや赤い吹き流し旗をみて風向をチェックしながら撮影していた、そのそばで葛西選手がすうーっと低空飛行で落ちていった。そんな光景を目の当たりにするとは…。

ロングジャンプの競演となった札幌W杯、日替わりの優勝者は3人。
土曜ナイトゲームのプレフツ(スロベニア)とコット(ポーランド)による同ポイント優勝、3位クラフト(オーストリア)、翌日曜日は優勝ストッフ(ポーランド)、2位ヴェリンガー(ドイツ)に3位クラフト。 この時点で強者がその実力を大いに発揮した試合であった。しかも低迷していたプレフツが、得意とする札幌大倉山で復調を果たしていた。
今季好調のポーランドは風邪で頭痛がひどかったストッフが朦朧とするなか優勝、しかもコットのW杯初優勝など、もはや盤石の構えに入った。
やはりポーランドは、シュテファン・ホルンガッヒャーコーチの明るさの手腕もあるが、総合的にそれを束ねるノルディックコーディネーターのアダム・マリシュのチームメイクと技術指導が功を奏してきている。

ストッフ

体調不良ながらしっかりと表彰台の中央に乗った強者ストッフ(ポーランド)

コット

予選から好調なジャンプを見せてW杯初優勝を遂げたコット(ポーランド)

来るべくしてくる選手が戻ってきつつあるW杯中盤戦、ターゲットはもちろんラハティ世界選手権のメダル獲得だ。

オリンピックシャンツェを使用する平昌W杯、以前から言われているのは、どこから強風がやってくるかわからないという、そこは防風ネットを駆使することになりそう。
葛西紀明ひきいる土屋ホームスキー部が、前年にトレーニング合宿に入ってオリンピック台の感触を確かめてはいた。しかしごく最近アプローチに改修が入り、そこに段差が生まれてしまうなどの問題が現れ、W杯複合で飛んだ選手たちは早くも戸惑いを見せてもいた。

伊東大貴

国内調整が成功して札幌W杯で8位に入った伊東大貴(雪印メグミルク)

何度も書くがいまの日本チームには悲感することはない。あまり表現はできないが現在は目的のためのステップを刻んでいる。いわゆるその状況にある。それは要するにマテリアルの細部に関すること。はてさてどこまでタイトなスーツを着用すればいいのかと? 
日本はミズノが世界最高峰の素晴らしい開発技術と縫製技術を持っている。だからJPNは不調でもなんでもない、そこになんら心配はない。
ゆえに葛西選手は、応援に来てくれたファンの皆さんのためにと、2本目に残れない悔しさをよそに、握手とサインと写メに快く応じていた、その数100人以上も。

平昌オリンピックスタジアムで、気になるのは荒れると言われている風、その強弱と方向、それに対する防風ネットに陽ざしなどチェックする部分はたくさんある。 そこで平昌W杯2試合を生中継するJ SPORTSでは、それらをつぶさにレポートする。どうぞお楽しみに。

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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