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伝統の試合、年末年始のジャンプ週間4ヒルズトーナメントが終了した。
個人総合優勝は前回のジャンプコラムの予想どおりプレフツ(スロベニア)が得た。
彼は、去年、僅差でのW杯個人総合2位の悔しさから、一転、この夏の激しいオフトレーニングによって這い上がり、その勢いにまみれてのジャンプ週間3連勝であった。
その技術はスピードジャンプが主軸となし、サッツからのハイスピードでジャンプの頂点まで突き進み、そこからは身体を前方へ寝かしていく軽やかな推進テクニックを持って、ぐいぐいと飛距離を伸ばしていた。
そこにはスロベニアチームの秘策ともいえる上半身の新しいカッティング形状にみられるNEWジャンプスーツの存在もあるのだが、そこまでに厳しき陸上トレーニングと技術のスキルアップがあったことは確かである。
というように今季は五輪や世界選手権などの大きなイベントがなく、マテリアルにおけるいろいろな試行がおこなわれてもいる。
これにはシーズン直前におけるジャンプスーツの股下の長さなどのルール変更も、一種のテストが重ねられる状況にあり、各国チームともに我先へと、せめぎ合いが続けられる。
このジャンプ週間を終えて、個人戦でいえばプレフツ、フロイント(ドイツ)、ガングネス(ノルウェー)らの有力選手を中心にW杯は進んでいきそうな状況だ。
そこにオーストリアで人気のハインバックとクラフト、さらにチーム力あるノルウェーのファンネメルとフォルファンなどが、鋭く上位につけてきている。
巨大なラージヒルで名を馳せるビリンゲンでは地元ドイツの英雄フロイントとW杯個人総合で首位を走るプレフツとの好勝負をメインに楽しみたいところ。
今季のW杯では、チーム力をはかる上で注目の団体戦が6試合ほどマッチメイクされており、ドイツ、オーストリア、ノルウェー、スロベニア、ポーランドに日本あたりが表彰台を狙えるポジションにある。そこには誰をラストジャンパーに据えるかなどというチーム間における駆け引きが頻繁にみられ、そういう観点を追うのも見応えのひとつとなる。
日本選手では、葛西紀明選手(土屋ホーム)が12月のエンゲルベルグ(スイス)で勇躍の3位表彰台から抜群の勢いを持ってジャンプ週間に突入、コンスタントにひとけた入りを繰り返しオーベル5位、ガル・パルは12位、インス7位とビショフ9位に入り、個人総合で第7位、W杯個人総合では現在9位で予選免除となるシードをキープしている。
ここにきて上昇機運が高いのは伊東大貴選手(雪印メグミルク)だ。当初の欧州遠征で、いくらか体調を崩し気味にあったが、それが回復するにつれアプローチでの集中力と空中の安定がみられるようになり飛距離が伸びてきた。それによりジャンプ週間において、ガル・パル10位とインス8位に食い込む健闘となった。
ともに迎える1月後半の札幌W杯では魅惑の表彰台となりそう。そのもの限りなくそう願いたい。
精鋭JPNは、ドイツのビリンゲンW杯をキャンセルして9日、10日、11日に札幌で開催される国内主要試合へ出場することになった。ジャンプ週間で、調子の波に乗れずにいた竹内択(北野建設)はここでじっくりと調整にあたる。
再び欧州へはフライング世界選手権のクルム=タウプリッツ、バドミッテンドルフ(オーストリア)からの出場となる。
ここはビショフスフホーフェンから東に進み、アルペンW杯で名高いシュラドミングを越えて、左方向へカットインした谷間に聳えたつ名門フライングシャンツェで、かつて葛西紀明が優勝している。それも現在はアイストラックの助走路となり、いくらかアプローチの形状も変わってきているが、いい風次第で表彰台の中央は可能だ。
日本チームは、この葛西をリーダーに作山憲斗(北野建設)のふたりを送り込む。さらに続くポーランドのザコパネW杯には、幾人もの若手メンバーを積極的に起用する予定だ。
であれば、とことん夢を持って応援していこう、そしてこの先に組まれるW杯、チームの実力とテクニックを問われるジャンプ団体戦は、限りなく日本らしさのまとまりの良さを見せて表彰台に昇りたい。
岩瀬 孝文
ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。
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