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いよいよ始まるFIS W杯ジャンプ。
前年度個人総合チャンピオンのバーダル(ノルウェー)の連覇が破られ、そこに君臨したのは復調著しいシュリーレンツァウアー(オーストリア)だった。その強者オーストリアには心機一転のモルゲンシュテルン、ここ一番に強さを発揮するコフラー、ベテラン選手のロイツルなどが控える。対するノルウェーはヤコブセンにヒルデ、ベルタなど。ほぼ、互角の勝負になってきそうな勢いだ。
しかも請われてチームに復帰してきたアホネン(フィンランド)が一気に上位に割って入る状況ともみられる。さらに若手の成長が顕著なポーランドにスロベニアなどなど、W杯表彰台は試合ごとに上がる選手が変わる混戦模様にある。
明年の2月にはロシア南部の保養地ソチにて冬季五輪の開催が控える。
どのチームも、そこに向けての確かな調整がみられそうだ。となると年末年始のジャンプ週間は単なる通過点となるのか? いや、このジャンプ週間における上位入賞者が、そのまま五輪メダルへと完全移行する傾向が強いのだから面白い。
金メダリストでいえば、かつての船木和喜選手(1998長野五輪)や往年の笠谷幸生さん(1972札幌五輪)にみられるように、いずれもオーベルスドルフ(ドイツ)とガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ)、インスブルック(オーストリア)で好成績を持って、オリンピックに突入していった。この場合、さすがにあのだらだらアプローチで、日本選手が苦手とするビショフスホーヘン(オーストリア)は別にしてだが。
今季のW杯開幕はこれまでのクーサモ(フィンランド)から、珍しくクリンゲンタール(ドイツ)となった。
もともと雪が少ないシーズンインのことを考慮してのアーティックサークル(北極圏)に近いジャンプ台でのオープニングが例年続けられていたが、新式アプローチシステムにおけるアイストラックの導入により、アプローチの冷却とランディングバーンの人工降雪が確保された。これによって北欧スカンジナビア以外の欧州北部エリアでの早くからのジャンプ開催が可能となった。
日本選手はオープニングシリーズから5人の海外遠征が発表された。
竹内択(北野建設)、葛西紀明(土屋ホーム)、伊東大貴(雪印メグミルク)、清水礼留飛(雪印メグミルク)、渡瀬雄太(雪印メグミルク)の精鋭。特に葛西は夏場のサマーグランプリ白馬大会において優勝を遂げ、意気揚々と冬に突入している。
チーム戦略として日本は、各試合とも表彰台にひとりと、コンスタントなまでに誰かしらのひとケタ入りを望みたい。それをベースとしての先への展開となる。また、五輪代表選考に関しては、上位入賞が期待できる選手との基本方針がある。くれぐれも年内のW杯シーンでポイントアップを望みたい。
また女子チームでは五輪4枠がベースとなりそう。高梨沙羅(クラレ)と伊藤有希(土屋ホーム)の世界選手権金メダル組はほぼ当確の位置にあり、そこに山田優梨菜(白馬高)と岩渕香里(松本大)の長野勢と、昨年後半に絶好調だった茂野美咲(CHINTAI SC ライズJC)、夏から上昇機運にある小浅星子(ライズJC)らによる争いであろうか。
まずは12月、女子W杯開幕戦のリレハンメル大会(ノルウェー)、そして国内では北海道名寄大会、そこからのスタートとなる。
(Text & Photo by 岩瀬孝文)
[写真1]今季2013/2014シーズンのオーバーウエア日本チームモデル。
カラーリングはオレンジトップとライトブルーボトムの組み合わせで雪上に映える。
[写真2]個人総合優勝を奪回した王者グレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)のW杯2連覇に期待がかかる。
岩瀬 孝文
ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。
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