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いよいよ冬本番、W杯ジャンプの季節だ。
今シーズンは欧州も国内も雪が深い、そんな好感触に包まれる11月。
かつて1994年に冬季五輪が開催された北欧の小さな街リレハンメル(ノルウェー)で、ジャンプW杯の開幕戦が行なわれる。
ここでの種目はノーマルヒル(NH)を使用した男女混合の団体戦と、男子ラージヒル(LH)そして女子NHだ。
たまにある下の谷間からの吹き上げに乗れれば、それはもう抜群の飛距離となるが、そうでなければ勝利は難しいジャンプ台。ここではバーダルやヒルデの地元
ノルウェー勢と順調な仕上がりにあるモルゲンシュテルンとシュリーレンツァウアー、コフラーなどのオーストリアが優位となる。
またヴァンクやフライタグにフロイントなど選手層が厚くなってきたドイツ勢も虎視眈々と上位をうかがう。伝統あるフィンランドは財政難に陥り、スポンサー
獲得のためにシビアなチームCFまで流してしまう状況、頼みのコイブランタは脚部のケガで離脱と元気がない。他にはテペシュのスロベニア、ストッフのポーラ
ンドあたりに注目だ。
日本選手は若さあふれる清水礼留飛(雪印メグミルク)や小林潤四郎(東海大)の伸びやかな一発に期待したい。
NH団体戦のオーダーでは、2012サマーグランプリ初優勝と同様な構成で、他国に重圧をかけたい。女子は高梨沙羅(グレースマウンテン・インターナショ
ナルスクール)と伊藤有希(下川商高→土屋ホームに入社内定)、そしてベテランで欧州中にその名が轟く葛西紀明(土屋ホーム)と中堅の長身ジャンパー渡瀬雄
太(雪印メグミルク)だった。
今回はエースの伊東大貴(雪印メグミルク)は右膝裏の故障回復に時間を要し、欧州遠征には帯同していない。この伊東にとって変わるのが上昇機運いっぱいの
竹内択(北野建設)だ。サマーグランプリ個人総合3位に入り、その夏場の好調を堅持している。
今季、大幅な変更になったジャンプスーツは、当初のサイズ-6㎝があまりにタイトなためにクロウチング姿勢に難がみられた。その結果、+2㎝の余裕が見出さ
れた。ただし、この+2㎝が曲者。ぴったりしたスーツにすぐ対応した日本、そして、サマーグランプリで優勝や上位入賞を重ねて成功した夏の日本勢である。と
なればスーツに余裕を持たせて、欧州勢が、太刀打ちできるようにとの配慮あるチェンジなのだろうか?
それにともない今季はパワー系のジャンプ? あるいは繊細なテクニックが要求されるのかは、この開幕戦リレハンメルで判明してくる。
(Text & Photo by 岩瀬孝文)
[写真左]この夏は新ルールに制定された身体に密着する-6㎝のジャンプスーツでしっかりと飛びこなしていたベテラン葛西紀明(土屋ホーム)
[写真右]長野白馬オリンピックシャンツェを練習ベースに飛び続けサマーグランプリで好調のまま個人総合第3位に入った竹内 択(北野建設)
岩瀬 孝文
ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。
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