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宇野昌磨
4位はショート、フリーともに痛恨のミスをしてしまい、実力を出しきれなかった宇野昌磨。会場に来てから本番までの練習を見て、そして本人の「優勝したい」との宣言を聞いて、今大会でのいつもよりミスが多い演技は正直、意外だった。自分にプレッシャーをかけすぎたからか、全日本でケガした箇所がまだ完治されていないからか、本人ははっきりとコメントしておらず、ただ自分の弱さについて語り、「一から出直さないといけない」と決意を示した。技術力と表現面の問題ではなかったので、ぜひこの悔しさをバネに、メンタルの部分を調整し、来季の試合で会心の演技ができるように頑張ってもらいたい。
続いて5位はボーヤン・ジン。ショートで今までやったことのない4トゥーループ-3トゥーループのコンビネーションを予定し、こっちの方に集中しすぎたからか逆に得意とする4ルッツで転倒し9位に沈んだが、フリーではより完成度の高い演技を目指し、難易度を下げてうまくまとめた。シーズン前半は練習拠点のことでいろいろ悩み、バッシングをも受け精神面で落ち込んでいたそうだが、後半からは「ようやくいつもの自分に戻った」と調子が上がり、今大会での結果につながったという。男子シングルの難易度がどんどん上がり、複数の4回転ができるというジンのアドバンテージがなくなっている中、本人もジャンプの精度をより上げて、スケーティングにもっと注力したいと語った。これからの活躍にぜひ注目したい。
続いて6位から8位はミハイル・コリヤダ、マッテオ・リッツォ、ミハル・ブレジナと、欧州勢が並ぶ。「四大陸」の選手と比べて、やはり4回転を巡る技術力と本番に臨む勝負強さが足りていなかったと感じた。ベテランであるブレジナは8位でも十分満足しているようだが、もっと上を目指したいコリヤダとリッツォにとっては技術力と安定感が今後の大きな課題になるであろう。
ショート2位のジェイソン・ブラウンはフリーの4サルコウと3アクセルで失敗し、トータルで9位に沈んだが、新たなスタートを切った今シーズンを振り返ってみると、「大きな成長を遂げた」と笑顔で語った。今年諦めずに挑戦していた4サルコウを、いつか成功できるよう応援したい。
最後に14位に付けた田中刑事に拍手を送りたい。ホームで戦うプレッシャーからか、ショートで4サルコウが2回転に抜けて19位となってしまったが、フリーでは気を取り直し、完成度が高く自分でも納得の行く演技でまとめた。来季については「まだ自分にできるものがたくさんある」とコメントし、「もっと攻めるプログラムを作りたい」と意気込みを見せた。ぜひぜひ、頑張ってもらいたい。
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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