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ラグビー コラム 2026年6月22日

ラストプレーで明暗!伝統の定期戦は大激戦に!第54回愛知県ラグビー祭「明治大学×同志社大学」

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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ラストプレーで明治大学がスクラム選択。

ここで80分を知らせるホーンが鳴り、会場のボルテージは最高潮に。パロマ瑞穂ラグビー場(愛知)に自然と手拍子が沸き起こった。

6月21日(日)に「第54回愛知県ラグビー祭」で行われた87回目の「同志社大学×明治大学」の定期戦は、手に汗握る熱戦となった。

下馬評有利は、昨年度王者の明治大学だっただろう。

この日の明治の先発メンバーは、帝京大学戦や早稲田大学戦に先発したPR田代大介、FL大川虎拓郎主将、SO萩井耀司ら数名が不在。

1年生ハーフ団(SH岡元聡志、SO田中勝斗)の先発も一つのチャレンジだったはずだが、HO高比良恭介、LO物部耀大朗、No.8藤井達哉、CTB/WTB白井瑛人といった昨季決勝メンバーも先発に名を連ねる布陣。

同志社も主力数名を欠いており、日本代表宮崎合宿のトレーニングスコッドだった中谷陸人、U20代表にはPR李星河、SO丹羽雄丸が参加。条件は同様だった。

前半、風下の明治は快調に滑り出した。

ルーキーコンビのSH岡元聡志(京都成章)とSO田中勝斗(大分東明)が、高いスキルでピッチ幅一杯のワイド攻撃の起点となる。

ここで同志社を左右に揺さぶると、ショートサイドのバックドアで2年生FL瓜生丈仁が突破。父は九州電力で活躍した瓜生丈治さん、おじはサントリーなどでプレーした瓜生靖治さんだ。

そのFL瓜生の突破から、ラストパスを受けた1年生SH岡元が左隅へ。先制トライで5点をリードした。

一方の同志社も10番はルーキー。SO南悠介(常翔学園)は落ち着いた球さばきで、明治DFのブレイクを再三演出する。

しかし同志社はオフロードなどのパス精度に苦しみ、一つの突破が得点に繋がらない。カウンターラックを狙うDFブレイクダウンは、後半にこそ改善が見られたが、序盤は判断を誤り相手にオーバーラップ(数的優位)を与えてしまう場面もあった。

明治は前半10分、そのオーバーラップから1年生WTB平尾龍太(東福岡)が右隅で突破。昨季主力でCTB起用の3年生・白井瑛人が2本目を決め、リードを12点に広げた。

このまま明治が押し切るのか――。

しかし、この日の明治はラインDFと後退後のディシプリン(規律)に課題がみられた。

同志社はSO南が長短のパスと的確な仕掛けで、次々にランナーを突破させる。前半15分にはミドルエリアからロングゲイン。すると、ここで後退した明治がペナルティ。

初の得点チャンス。ここでモールを押し込み、HO荒川駿主将がグラウンディング。数少ないチャンスを見事にモノにした。(12-7)

同志社には確実にスコアする決定力があった。

得点直後に明治に1トライを奪われるが、明治のオフサイドから敵陣左奥へ。モールは止められたものの、紺グレ軍団が二の矢を放つ。

FWの近場戦からフォワードが散らばり、中央付近でラック形成。素早い球出しから順目に回り込み、カットインで防御を切り裂いたのはFB上嶋友也。ゴール成功。3点差(17-14)に詰め寄った。

同志社はFWの近接戦で強化しているフィジカルを生かして逆転(17-21)し、ハーフタイムへ。すると明治は後半開始から1年生ハーフ団を4年生ハーフ団(SH田中景翔、SO伊藤利江人)に変更。LO倉掛太雅も投入した。

すると相手ミスによるセンタースクラムで、いきなり押し込んでペナルティ。自慢のセットピースから前進すると、走り込んだPR檜山蒼介にSO伊藤がカットパス。後半開始3分での逆転トライを決めた。(24-21)

だが同志社はひるむどころか、高いアタッキング・マインドで攻め続けた。

その象徴の一人が、前半から好キャリーを連発していた3年生LO舩井結人だ。

まず同志社は、中盤でSH田中心温が背面パスからリターンを受ける美技で突破。ここでゲート外からスティールを試みたとして明治にペナルティ。

直後、相手の隙をついてLO舩井がゴール前から突進。ロータックルを低い姿勢でいなすスキルも織り交ぜながら、度胸満点の逆転トライ。明治から再びリードを奪い返した。(24-28)

モメンタムを得た同志社。

4点リードの後半15分にはCTBファイアラガ義信ダビデにキック「50:22」が飛び出す。直後にみずから豪快な突進でゲインラインを突破。

ここで相手FL瓜生にスティールを浴びるが、直後にもう一度スティール成功。次の瞬間、FB上嶋がクイックリスタート。ポール下にねじ込み、追加点となるトライ。

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明治の不意を突いた2連続トライで、同志社のリードは11点に広がった。(24-35)

同志社が明治を破るのか――。現実味を増してきた“アップセット”にどよめきが広がる。

それでも明治は後半28分にモールで1本を追加。確実なスコアで4点差(31-35)とするが、展開時のパスミスやノックフォワードが続き、攻撃権を失い続ける。明治に焦りが募る。

相手ペナルティで迎えた終盤の敵陣22m内のアタックでも、ラックで正当なコンテストをさせないオフフィート(ペナルティ)。過度にボールを守ってしまい攻撃権を失った。

昨季王者の撃破まで、あと少しの紺グレ軍団。

残り約2分。

自陣にいた同志社は危険エリアの脱出を選ぶ。ロングキックを蹴り返して、エリア中盤でのディフェンスを選ぶ――が、ラックで痛恨のペナルティ。最重要場面で精度を欠いた。そして、明治に敵陣5mラインアウトのチャンスがきた。

勝負のラインアウトは確保。モールを組んだ。そのまま崩れずにトライゾーンへ雪崩れ込んだが――トライ認定ならず。だが直前に同志社にペナルティ。

ここで明治は、優勢のスクラムを選択した。

同志社は金星まであと少し。このスクラム開始前に80分のホーン。手拍子が鳴り響く中、明治がスクラムでプレッシャーをかけた。

レフリーの手が明治側に上がった。アドバンテージを得た明治。思い切ったバックス展開から、鋭いステップで半身ずらしてブレイクしたのは――途中出場の神尾樹凛。スピードと俊敏性でトライエリアを奪ってみせ、歓喜の逆転トライ。

最後セットピースにモノを言わせた明治が、3点差(38-35)で、薄氷を踏む勝利を挙げた。

一方の同志社。スクラムは継続課題となったものの、強化中のフィジカル、高い攻撃性と決定力で、明治を最後まで苦しめた。同志社の奮闘もあって、伝統の一戦は興奮のうちに幕を閉じた。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある

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