人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

ラグビー コラム 2025年10月17日

ともに上昇のカギを掴みたい摂南大×近大。開幕4連勝へ、天理大は立命館大相手にも前へ出る。

ラグビーレポート by 田村一博
  • Line

 

大学の各リーグは9月に開幕し、はやくも中盤戦を迎える。関西大学Aリーグも10月19日(日)には第4節の2試合が天理・親里競技場で実施される。

第1試合の近大は11時45分のキックオフ。それぞれ3戦全敗、1勝2敗と、黒星が先行しているチーム同士の対戦だけに、両者とも必勝の気持ちで戦いに臨む。

J SPORTS オンデマンド番組情報

今季初勝利を狙う摂南大は前戦で昨シーズンの上位校、関西学院大に20-26と迫り、上り調子にある。
手応えを持って臨んだシーズンの序盤、京産大に0-60、天理大に5-57と大敗して選手たちの心は乱れた。しかし瀬川智広監督は一喜一憂するのではなく、目の前の「1分、1分に必死に取り組み、それを積み重ねることでしか(求める)結果は得られない」と伝え、選手たちの気持ちを上向きにした。

関西学院大戦は気持ちの切り替えが奏功した。最終的にはセットプレーやゴール前のプレーの確度の差が出て破れるも、自分たちの積み上げてきたものを出せた時間帯も。近大戦でも、その流れを大きくしたい。

瀬川監督は「学生たちには、用意したプレーをうまくやろうとするのではなく、一人ひとりが(判断して)自由にボールを動かし、ディフェンスの裏に出たらオフロードパスでつなぐなど、チャンスがあったら仕掛け、呼ぶプレーをしてほしい」と話す。
チームに勢いを与えるWTBカストン・マイケルズの走りや、チームを束ね、鼓舞するSO村上剛琉主将に期待を寄せる。

対する近大は、昨季はリーグ3位、全国大学選手権出場と充実の時間を過ごした。しかし今季は初戦の同志社大戦に12-29と敗れ、次戦の立命館大には35-24と勝利するも、関西大には27-30と負けて波に乗ることができていない。

シーズンに向けて強化してきたFWのセットプレーが結果に結びついていないと神本健司監督は分析する。関西大学戦では相手のラインアウトへの対応が良く、獲得率も低かった。しかし、試合は思い通りにならないことの方が多い。指揮官は、「ミスが出ても勢いを落とすのではなく、ボールを取り返し、攻める姿勢や対応力でプレーしてほしい」と選手たちに元気さを求める。

 

LO中田悠生主将は言動や態度でチームに影響を与えられる存在。リーダーシップを期待する。SH渡邊晴斗はチームの真ん中で冷静に、時には熱くプレーできる存在。自分たちのスタイルの発信源になってくれることを楽しみにする。

第2試合は天理大と立命館大の一戦だ。ここまでの結果を見れば3戦全勝と3戦全敗の顔合わせも、立命館大は春季トーナメントの優勝校。秘めた力はあるだけに、好ゲームが期待される。

天理大は今年6月に発覚した不祥事を受け、7月いっぱいの部活動の停止、小松節夫監督の3か月職務停止と、自らにペナルティを課した。
その影響もあり、8月の菅平での練習試合では明大に19-45、帝京大に19-43、早大に14-42と敗れた。しかし小松監督の目には、それらの試合を映像で見て「前に出るディフェンスができている時は戦えている」と映ったという。

同監督は、シーズンイン後も「自分たちはチャレンジャー。選手たちにも、ディフェンスで相手にどれだけプレッシャーをかけられるか」と呼びかけた。その方針がチームの進む先を示し、好結果に結びついている。3試合を戦い、許したトライは4つだけだ。

特にアリスター・サウララ、川越功喜の両FLが前に出て守り、全体を引き上げている。バックローだった太安善明はHOとしてプレーしており、セットプレーへの対応力の高まりとともに、本来のタックル力も目立ってきた。
共同主将を務めるSO上ノ坊駿介のゲームへのリードも影響力も試合を重ねるごとに強くなり、遅れていたチーム力の整備がシーズン中に速度を増して進んでいる。

 

春のトーナメント王者、立命館大は、そこで勝ったことで自信も得たが、シーズン序盤の硬さにもつながってしまったようだ。小寺亮太ヘッドコーチは、「学生たちに、勝たないといけない、という意識が出てしまった」と話す。

ただ、3戦目の京産大戦は24-47と敗れたが、試合内容は、2戦目までの良かった点と課題の修正をプレーに反映させ、次につながる点も少なくなかった。
怪我人が多く、「準備してきたプランを出せていなかった」状況からも脱出しつつある。精神的支柱のNO8島正輝主将の復帰はまだも、天理大戦ではWTB御池蓮二が戦列に戻る。ゲーム主将を務める中村颯汰も奮闘している。ボールを動かすスタイルの実現が進むか。

小寺ヘッドコーチは、天理大のSO上ノ坊、FBフィリモネ・サイアを自由に動かせないようにしないといけないと勝利へのイメージを描く。
チーム全体で自信を取り戻す80分を目指す。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ