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試合序盤、法政大のディフェンスが、流経大の攻撃を封じた。
ハーフウェイライン付近で流経大がピッチ幅いっぱいにアタック。しかし法政大はバックファイブのみならずPR澤村勇介らフロントローも献身的に動き、50:50のプレー選択に追い込む。最終的にノックフォワードを誘った。
しかし流経大はこの日スクラムが武器になった。
全体2度目のスクラムから2連続でペナルティを誘発。セットプレーの攻防で先に流れを掴んだ。
すると流経大はWTB濱谷海斗が鋭いステップでボールキープ。SH幸妻怜治、SO青木鴻志の好判断もあって左隅で数的優位が生まれるが、ここはスローフォワード。球際のミスもあり序盤10分間はスコアが動かない。
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セットプレーで劣勢の法政大だが、粘り強い守備を見せる。
前半20分、エリア隅のブレイクダウンで圧力をかける流経大に攻め込まれるが、自陣ゴール前でリーグ戦屈指のタックラーであるFL大沢空が一撃でダウン。すかさずPR守安史成がこの日初スティールを決めた。
先発10番を託された佐川一眞(専大松戸)も直後にスティール。流経大のダイナミックラグビーを封じ込める。
均衡が破れたのは、前半35分だ。
法政大が劣勢のスクラムからボールを出すと、ノミネートミスからCTB田中大誠が突破。視野の広い冷静なコース取りで敵陣奥に入る。
法政大はボールが乱れるが、詰めた相手DFのギャップを見つけたゲームキャプテンのCTB田中が突破&先制トライを挙げた。
7点を追う流経大は前半終了直前にWTB加藤アディナンがスクラムから左隅を突破。クイックテンポでさらにゲインするが、法政大の集散もありオフロードパスが繋がらず。
捕球したプロップ守安が蹴り返してエリアを奪うプレーも飛び出し、流経大は前半無得点に終わった。
関東大学春季交流大会2025 Bグループ(4月20日)
【ハイライト動画】流通経済大学 vs. 法政大学
その一方で、法政大は前半43分に2トライ目。
起点は手応えを掴んだディフェンスから。相手スクラムからの一次攻撃でCTB渡辺圭祐がハンドリングエラーを誘うタックル。拾ったWTB福本耀が約50mを走りきった。
前半を14点リードで終えた法政大だが、試合は混戦となる。
反撃の狼煙は、この日初の敵陣ラインアウトモールから。流経大が着実に推し進めると、直前に投入されたばかりのFL原創之介がピックでトライエリアへ。チームを勢いづける一本(ゴール不成功)を奪った。(5-14)
法政大もすぐに反撃。
後半9分にはチェイスが奏功し、相手が不用意なキック。敵陣のカウンターからLO三浦幹太がギャップを見つけてダイナミックに突破。フォローしていたナンバーエイト起用の植浦慎仁がチーム3本目を奪った。
相手のディフェンスの整備不足を着実に得点に変えていく法政大。流経大のビハインドは16点(5-21)に広がった。
ゲームタイムの残りは約30分。
ここで逆襲のきっかけになったのはやはりスクラム。途中出場のHO小澤天、PR土屋英慈、PR長田士導を最前列として後半13分にスクラムペナルティ。ゴール前侵入の足掛かりとして、フォワードがラック脇の肉弾戦を制して2本目。
これで12点差(12-24)。
だが法政大も流れを渡さない。昨季東海大学からの金星(29-19)を支えた堅守は、今季も健在。フィールドの守備は高いスタンダードを維持。
後半23分には流経大のSO青木鴻志がファンブルしながら背面越しで捕球する珍しいプレー。ここから自陣22m内に攻め込まれるが、トイメンのSO佐川一眞が相手WTBにドミネートタックル。カウンターラックでオフサイドを誘い、ピンチを脱した。
だがモメンタムが生まれると攻撃力が増す流経大。
守備時にNO8ティシレリ・ロケティがボール奪取。ここからカウンターを仕掛け、松島幸太朗(東京SG)を彷彿させる好ランナー、WTB加藤がショートサイドを突破。
ここから相手ペナルティ&ラインアウトモールで後半32分に4本目。ゴール失敗で7点差(17-24)にじわりと詰め寄る。
と、この流経大のトライに至る過程で、法政大が相手スクラムハーフへ不当なタックル。イエローカードを受けて終盤に数的不利に。
そして、ここで流経大は残り約10分で2トライを重ねる。
数的不利の法政大は、ブレイクダウンのボールセキュリティに苦しむ。モールなどで時間を稼ぐセオリーを選択しなかったことが裏目に出て、自陣で守勢に回ってしまう。
すると流経大は後半32分に途中出場の原がピックで抜け出し、同点トライ。しかし勝ち越しのコンバージョンは決まらず24-24の同点に。
果たしてどちらが勝ち越すのか。
と、この場面で流経大はフィットネスの不足が顕著に。エナジー不足からか14人の法政大のキックゲームに付き合ってしまい、その間に有利な時間が過ぎていく。
一方の法政大はFL嶋崎汰星やLO三浦らが高いワークレートで動き続け、勝ち越しを狙う流経大のハンドリングエラーを誘い、モメンタムを奪い返す。
最終盤、法政大は自陣左10mのラインアウトからフェーズの度に押し込み、守備をしながら敵陣22m手前まで前進した。
ここで流経大がペナルティを犯すなどすれば法政の勝ち筋も見えたが、流経大は途中出場の紺井大士がミスマッチから大幅ゲイン。
敵陣に攻め入ると、左隅にポジショニングしたティシレリ・ロケティへ、すかさず配球。そのままパワフルに押し込んでいき、決定的な勝ち越しトライ。ノンメンバーの仲間の目の前での歓喜を味わった。
最終スコアは29-24。大会初戦を白星スタートで飾った流経大は、後半メンバーも含めて終始優勢だったスクラムが今季の武器になることが期待される。
ラインアウトモールもこの日トライパターンとして確立。セットプレーの優位が勝利の土台となったことは間違いないだろう。モメンタムが生まれた時に火力が増すアタック力も魅力大。ペナルティも10を下回る8つに抑えられた。
まだ4月であり、前半に無得点で終わったことやディフェンスの連携、フィットネス向上はこれからだ。
敗れた法政大だが、14人の時間帯も含めて質の高いディフェンスが光った。昨季に続き、チーム全体からタックルの高いスタンダードが感じられる。このスタンダードを属人的(特定の個人の能力に依存すること)なものにせず、チームの文化に昇華できるか。まだ春であり、安定性に欠けたセットプレーは伸びしろと言えるだろう。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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