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ラグビー コラム 2025年3月17日

【ハイライト動画あり】事務機ダービー、超SH対決とも、ブラックラムズに軍配。イーグルスに競り勝つ

ラグビーレポート by 田村一博
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TJ・ペレナラ(ブラックラムズ東京)

試合後、ブラックラムズのロッカールームは盛り上がったようだ。株式会社リコーの社長と会長が選手たちのもとを訪れ、勝利をつかんだ者たちの奮闘を労った。

3月15日(土)に秩父宮ラグビー場でおこなわれたリーグワン、ディビジョン1の横浜キヤノンイーグルス×リコーブラックラムズ東京は、母体企業が業務面で競い合う関係性から『事務機ダービー』と呼ばれる。毎度、対抗心あふれる戦いとなる。

そのカードではイーグルスが直近5連勝と相性の良さを見せてきたけれど、この日は27-20とブラックラムズが久しぶりに勝利を得た。
両社の社員たちが多く足を運んでいたスタンドは、80分間熱を帯びていた。

バイウイークを挟み、ともにリフレッシュしてこの試合に臨んだ両チームは、立ち上がりから全開でプレーした。
特にイーグルスの選手たちは集中力高く戦い、最初からボールを動かして攻め込むシーンがあった。前半3分にはSO田村優のペナルティゴールで3点を先制した。

しかしブラックラムズは慌てることがなかった。少しずつ自分たちのスタイルを出す。試合前に立てたプランの遂行を実行していった。
タンバイ・マットソン ヘッドコーチ(HC)は、イーグルスがキックを蹴った後の展開に注力して準備をしてきた。蹴られたボールをどう確保するのか。そこが勝敗につながると考えていた。

そんな勝利へのプランを実行できた要因の一つに、FBメイン平の安定したフィールディングがあった。本人は「いくつかミスもあった」と振り返ったものの、安定してレシーブ。イーグルスSHファフ・デクラークのキックを効果的なものにさせなかった。
また黒衣の15番は安定したプレースキックも見せて12得点と勝利に貢献した。

指揮官のこの試合へのアプローチは冴えていた。それぞれのユニット間のコンビネーションを重要視してメンバー構成を考えたという。それが、試合を支配する大きな要素となるセットプレーの安定を呼んだ。

ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(3月15日)

【第11節 ハイライト動画】横浜キヤノンイーグルス vs. ブラックラムズ東京

この試合、ブラックラムズはスクラムで何度も押し込み、ラインアウトで空中戦を制した。その両基点で圧力をかけ、攻める。選手に安心感を与えていた。

ファカタヴァ アマト(ブラックラムズ東京)

最初のトライとなった前半33分のトライも、選手間の意思疎通が生きたプレーだった。
フリーキックからの攻撃でピッチ中央に意図的なラックを作ったブラックラムズは、攻撃の方向を変える。そこで、FLリアム・ギルとNO8ファカタヴァ アマトが息の合ったプレーで防御を突破。そのままトライラインを越えた。
タイミングとスペース感覚の共通認識が噛み合ったプレーだった。

前半は10-3とブラックラムズがリード。後半、イーグルスもチャンスに取り切る粘りを見せてスコアを広げられないように踏ん張ったものの、黒いジャージーが先手を取り続ける流れは最後まで変わらなかった。

ブラックラムズのベストトライは後半19分に出た。自陣の22メートルライン付近でのターンオーバーから攻めた攻撃は、SO中楠一期のキックパスを含む13のパスとそれぞれの思い切ったランで80メートルを攻め切るものとなった。最後はFLマイケル・ストーバーグがインゴールにボールを置いた。

20-17とリードしていた後半36分、その4分前に投入したブロディ・マクカランが試合を決定づけるトライを奪ったことも、起用が当たった例のひとつ。
個々の選手が自分の役割を果たしての勝利だった。

マットソンHCは泥臭い展開の中で得た勝利を喜び、シーズン序盤戦の課題だった「勝ち切る」ことを実行した選手たちを称えた。そして、「この先も一貫性を持って戦っていきたい」とした。

ゲームキャプテンを務めたTJ・ペレナラは、この試合の持つ意味を仲間に何度も伝えてキックオフを迎えた。
「自分たちの会社にとってどれだけ大事な試合か、と話してきました。そういう場でプレーできるのは光栄なこと。きれいな勝ち方ではなかったけれど、やるべきことをやったので勝てました」

TJは、選手たちが最後までコネクションを保ち続けたことを喜び、注目された相手SH、デクラークとのワールドクラス同士の対決も制して気持ちよさそうだった。

敗れたイーグルスの沢木敬介監督は「負ける時のイーグルスのパターン。相手に崩される前に自分たちから崩れた」と話した。
CTB梶村祐介主将が負傷交代した後にゲームキャプテンを務めた嶋田直人(FL)も「ラインアウト、スクラムが安定せず(全体的に)うまくいかなくなったとき、一人ひとりが、個人で取り返そうとしてしまった」。
ライバル対決の舞台で、自分たちのスタイルを出し切れなかったことを悔やんだ。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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