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松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)
舞台は東京・港区の秩父宮ラグビー場でも、長く『府中ダービー』を戦ってきたお互いのプライドのぶつかり合いは、熱いままだった。
2月15日におこなわれたリーグワン ディビジョン1、東芝ブレイブルーパス東京×東京サントリーサンゴリアスは43-33。両チームの得点合計が76点という、ボールがよく動く試合となった。
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ブレイブルーパスは7トライ、サンゴリアスは4トライ。80分で11トライの展開も、ディフェンスの甘さより、両軍の強い攻める意志が伝わってきた。
最初から最後までスタジアムは沸いた。
この日の戦いに、自分たちのいまの力を出し切る。
先にそのスピリットを伝えたのはサンゴリアスの方だった。試合開始のキックオフを蹴る。ブレイブルーパスが蹴り返す。そのボールをレシーブした後、全開で攻めた。
アタックの継続時間は2分30秒以上。22フェーズを重ねた攻撃には、自分たちがこの試合をどう戦うのか、何を積み重ねてきたのか、決意のようなものが表れていた。
しかしブレイブルーパスはそこで受けることなく、むしろ前に出た。そこにあるのは、府中ダービーへの強い気持ちと、先の優勝で得た王者の誇りと自信、経験値だ。
SH杉山優平は言った。
「試合の入り、サンゴリアスやな、と感じました。でも、(こっちは)東芝やぞ、と」
その気持ちは強気のアタックに勢いを与えた。
前半6分にペナルティゴールで先制を許したブレイブルーパスだったが、8分には一時交代で入っていたFL徳永祥尭が左中間にトライを挙げて逆転した。
そのトライはCTBセタ・タマニバルのオフロードパスを受けてのものだった。この日のブレイブルーパスは、タテへの武骨なアタックから外を攻略するパターンが多かった。
10分、28分と、SH流大の巧みなキックからサンゴリアスにトライを許すのだが、15分、24分とWTBジョネ・ナイカブラが決定力を見せつける。
この試合に向けて高めたパスワークを使い、外までボールを運ぶと、最後に背番号14が走り切る。スクラムからのサインプレーでナイカブラをフリーにしたシーンもあった。
19-18のスコアで迎えたハーフタイム直前の集中力もさすがだった。
前半36分のFB松永拓朗のトライはCTBタマニバルとSOリッチー・モウンガのコンビネーションで防御を翻弄。43分はモウンガの個人技で5点を追加した。
31-18とリードして終えた前半を、FLリーチ マイケル主将は「相手を分析して、どこにスペースがあるか理解していました」と話した。
まずボールを前へ。そして外で仕留める。そのプランを精度の高いプレーで遂行した結果、サンゴリアスが勢いを出しそうになるたびに、その流れを寸断した。
ハーフタイムに、「横の選手とのつながりをもっと密にしよう」とディフェンスを整備したサンゴリアスは、後半に入って自分たちのアタックスタイルを出す時間を長くした。
後半7分のFB河瀬諒介、11分のCTBイザヤ・プニヴァイのトライは、セットプレーから一気に攻め切ったもの。スコアを30点まで伸ばし、1点差まで迫った。
ロブ・トンプソン(東芝ブレイブルーパス東京)
しかし試合後、この日サンゴリアスのゲームキャプテンを務めたSH流大が「勝負所、ゲームのあやを分かっている選手が相手の方が多かった」と言ったように、大事な時間帯を制したのがブレイブルーパスだった。
後半30分にCTBロブ・トンプソン、同36分にはモールを押し切って勝負を決めた。
勝ったブレイブルーパスの選手たちの中で、そのパフォーマンスを注視してほしいのはベンチから投入された選手たちの躍動だ。それぞれが期待された役割を果たした。
後半14分から投入されたHO橋本大吾は何度も前に出て相手を押し下げ、後半36分にはラインアウトからモール→トライの流れを、正確に、力強く完結させた。
最後、自陣ゴール前まで攻め込まれた際にブレイクダウンで相手ボールをスティール。戦いを締めくくったのは後半31分からSHの位置に入った高橋昴平だった。
リーチ主将は、「(後半36分に)モールを押し切れたのは、重くて強い(LOアニセ)サムエラのお陰」と、後半21分から登場した38歳の働きも賞賛した。
全員が強みを発揮したブレイブルーパス。サンゴリアスも途中出場の選手も含め、若い選手たちが迷いなく動き、劣勢になりかけたチームを奮い立たせた。
府中ダービーの看板は、両軍の全員の闘志に火を点ける。毎回エキサイティングで当然だ。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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