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【ハイライト動画あり】昨季チャンピオン撃破!静岡ブルーレヴズが東芝ブレイブルーパス東京から4勝目。ジャパンラグビーリーグワン2024-25第5節
ラグビーレポート by 多羅 正崇
番狂わせが多い4年目のジャパンラグビーリーグワン。3勝1敗の静岡ブルーレヴズが大仕事をやってのけた。
東芝ブレイブルーパス東京のリーチマイケル主将は、ブルーレヴズの昨季との違いを問われると「イメージは一緒です」と回答した。
「粘るチームで、セットピースが強い。それがレベルアップしています。昨シーズンまでの積み重ねが、そのまま今シーズンに流れてきたのかなと思います」(ブレイブルーパス、リーチ主将)
2025年1月18日(土)、本拠地ヤマハスタジアムで開幕4連勝の2位・東芝ブレイブルーパス東京を迎え撃った3位・静岡ブルーレヴズ。
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開始直後はブレイブルーパスが好スタートを切った。
守備の要として好調のFL佐々木剛がスティール(旧「ジャッカル」)。相手の攻撃を弾き返すと、開始4分にカウンターパンチ。
試合開始直後の「簡単なトライ」は時に番狂わせの要因となることがある。例えば、2015年W杯南アフリカ戦や2019年W杯アイルランド戦。日本代表はスタート直後に比較的容易なトライを許したが、その後、世界を驚かせるアップセットを演じた。
ただこの日の直接的な要因は、静岡ブルーレヴズの充実だ。
攻防ラインの肉弾戦で一歩も引かない。迫力溢れるタテ突進で、「接点無双」を掲げるブレイブルーパスの守備線を押し込んでいく。互角以上のフィジカル勝負を展開した。
「最初からアタックしようということで、本当に選手がそれをしっかり体現してくれました。ずっとプレッシャーを掛け続けられたかなと思います」(ブルーレヴズ、藤井雄一郎監督)
さらにヤマハ発動機時代からの伝家の宝刀、清宮克幸監督時代に長谷川慎コーチとのコンビで本格強化が進んだスクラムで、昨季王者を圧倒した。
前半7分、ブルーレヴズが力強いスクラムでこの日最初のペナルティ。ここで敵陣に前進すると、HO日野剛を最後尾とするモールで前進する黄金パターン。
ここでFW勝負と見せかけて、SH北村瞬太郎がゴールラインにねじ込んだ。攻撃的スクラムハーフの1本目(G×)で5-7とした。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(1月18日)
【第5節 ハイライト動画】静岡ブルーレヴズ vs. 東芝ブレイブルーパス東京
さらにスクラムとフィジカリティの合わせ技で前進すると、初先発のWTBヴァレンス・テファレが2本目。前半25分にはSH北村が展開攻撃を警戒するスキを突いて3本目を奪い、17-7とリードを広げた。
一方のブレイブルーパスは敵陣ラックでの倒れ込み(ペナルティ)、スローフォワードのミスなどがあり得点が伸びない。高い決定力を誇るブレイブルーパスがプレー精度を欠いていた。
「ゲームプラン通りではありましたが、遂行力が欠けていました。チャンスが5回くらいあった中で、例えばボールが少し後ろにいってノックフォワードになったり、パスでズレがあったり、といった部分です」(ブレイブルーパス、トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ)
昨季王者もLOワーナー・ディアンズの鋭いロータックルからターンオーバー。FLシャノン・フリゼルが2本目を奪取して3点差(14-17)で折り返したが、ブルーレヴズは80分間の一貫性があった。
出色は両ウイングのディフェンス。2024年に日本代表デビューしたWTBマロ・ツイタマは後半開始直後、チョークタックルからパイルアップを誘う。WTB ヴァレンス・テファレと共にエリア両端をシャットダウンした。
フロントローはスクラムだけでなくフィールドでも活躍。PR山下憲太は決定機のパスを戻ってインターセプト、直後のHO日野はブレイクダウンでファイトして攻守交代を誘発した。相手が格上であろうが80分ファイトを辞めないチーム文化をみせた。
かたやブレイブルーパスは、ガマン比べに負けたかのようなプレーがあった。アタックの大黒柱であるFLフリゼルが、自陣守備時のラックで寝たままボールを自陣側に蹴った。このプレーで後半9分、シンビン(10分間の退場)となった。
「試合で肝になった瞬間として、ひとつ大きかったのはイエローカードです。ただ失った流れをふたたび取り戻すというところで、選手たちは頑張ってくれたかなと思います」(ブレイブルーパス、ブラックアダーHC)
3点を追いかける局面で大黒柱のフォワードを10分間失ったことで、ブレイブルーパスは明らかな劣勢となる。
まずブルーレヴズは、イエローカードのペナルティから一気呵成のモールで1本目(24-14)。さらに8対7となったスクラムで優勢を決定的にすると、後半15分にはモール起点に初先発のWTBテファレが2連続トライを奪った。
「コンタクトが多くなると思ったので体の大きな選手(WTBテファレ)を使いたいという意図でした。ディフェンスも良くなっていますし、トライも取ってくれて、良い活躍をしてくれました」(ブルーレヴズ、藤井監督)
後半20分にはCTBチャールズ・ピウタウが後半3本目。FLフリゼル不在の間に3トライを奪う猛攻で、20点リード(34-14)を得た。
しかし、だ。
「あと1、2本トライを獲れそうなシーンもありアタックは良くなりましたし、ディフェンスも成長しました。しかし10分間ぐらいで2トライを取られたところは修正しなければいけません」(ブルーレヴズ、FLクワッガ・スミス主将)
フリゼルが戻って15人になったブレイブルーパスは、吹っ切れたような猛攻にでる。
自陣からの右隅突破で日本代表WTBジョネ・ナイカブラがゲインするなどし、後半25、29分に連続トライ。この日は2トライ差(4対6)ながら相手のゴールキック不調もあり、6点差(28-34)に詰め寄った。
さらにブルーレヴズは後半30分のラインアウト獲得失敗&ペナルティで自陣に後退。
やはり最後はブレイブルーパスが勝つのか――。そんな劣勢ムードを払拭したのはやはり、スクラムだった。
自陣左の自軍投入スクラムで、ブルーレヴズがまたもペナルティを強奪。フロントローが入れ替わってもなお強力な一貫性あるスクラムで、モメンタムを奪い返してみせた。
最後は敵陣でじっくりフォワード勝負。最後のペナルティゴールは外れ、相手に7点差以内のボーナス1点を献上する終わり方にはなったが、開幕4連勝の昨季王者に今季初めて、黒星を味合わせた。
「昨シーズンの最終戦、ここでボロ負けして(2023-24シーズン第16節/20-59)、そこからこの日に照準を合わせて、何とか自分たちのラグビーをしっかり出し切って勝ちたいなという思いがありました」(ブルーレヴズ、藤井監督)
順位は変わらず3位だが、最初のBYEウィークまでの開幕5戦を4勝1敗で駆け抜けた。
がぜん今後に注目が集まる結果となったのがブレイブルーパスだ。リーグ初の連覇へ挑む前チャンピオンの指揮官は、まずいつも通り「本当に80分を通して素晴らしい試合でした」と相手を称えた。
「試合序盤にチャンスを取り切るという遂行力の部分で上手くいかず、またブルーレヴズさんがセットピースで素晴らしいプレッシャーを掛けてきたこともありました。その中でもしっかりペースを取り戻し、試合の流れも掴み、何とか戦ってくれた選手を誇りに思います」(ブレイブルーパス、ブラックアダーHC)
リーチ主将も相手の強力スクラムを念頭に「セットピースのプレッシャーが非常に大きかった」として、「リフレッシュしてから三重ホンダヒート戦に向けて準備したい」と語った。
ブルーレヴズは2週間後の第6節、ヤマハスタジアムで今季初勝利を挙げた東京サントリーサンゴリアスと激突。ブレイブルーパスは翌2月2日、三重に遠征して今季フィジカル面で急成長した三重ホンダヒートとの対戦だ。
いよいよ群雄割拠の様相となってきたディビジョン・ワン。好勝負が連発するシーズンは、まだ始まったばかりだ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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