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お互いに前戦でビッグパフォーマンスを出しての、今季リーグ最終戦だ。
全国大学選手権への出場権もかかっている。激戦、熱戦は約束されている。
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ラグビー 関西大学リーグ2024 近畿大学 vs. 関西学院大学
配信期間 : 2024年11月30日午前11:35 ~
今季開幕から5勝1敗の関西学院大は、勝ち点23で、今回の最終戦を残した時点でリーグ3位(京産大、天理大は勝ち点25)。勝てば全国大学選手権出場が決まり、リーグ2位となる可能性がある。
11月17日には昨季まで3連覇の京産大を45-21で破った。チームの空気は上々だ。
近大との決戦を控えHO平生翔大主将は、「勝敗は大事です。ただ、特別なことをするのではなく、積み上げてきたものを出し切るだけ」と話す。「自分たちのカルチャーである、ひたむきさを出して80分戦い切る」と断言した。
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京産大戦は、先に14点を先行される苦しい展開も、試合中にプレーと気持ちを修正して勝利をつかんだ。
レフリーの通信機器の故障によってできた時間に、ハドルを組んだ。その中で主将を中心に、「応援してくれている仲間がいる。チームの代表として、やってきたことを体現できるのは俺たちだから」と話したことで心がひとつになったという。
前半は19-21とリードを許したその試合。後半は自分たちのスタイルを出し切った。
全員が躍動した中でも、特に持ち味を出したのがバックスの精鋭たちだ。CTB松本壮馬がディフェンスを崩す走りを見せ、FB的場天飛が鋭く突破した(2トライ)。武藤航生、中俊一朗の両WTBも持ち味を発揮した。
FW陣も力強い。PR大塚壮二郎が奮闘するスクラムは、京産大の塊に対抗し、NO8小林典大は下のボールにも強い。
ここに名前を挙げた選手たちは、中以外は近大戦も先発する(山本快が先発出場。中はベンチスタートとなった)。
全国切符をつかむ一戦に向けての準備について、平生主将は「ひとつのキックチャージ、こぼれ球へのセービング、タックルからすぐに起き上がる。そういうことを練習からやっていきます」と言った。
試合の集中力で日々を過ごしている。
今季の各試合、楽に勝てた試合はほとんどなかった。しかし主将は、「それが自分たちの力になっている」と自信を持つ。
定めているターゲットは全国ベスト4。そのためにも、「目の前の試合にベストを尽くしていくことを重ねていきます」。
近大は前戦で天理大に競り勝った(28-26)勢いを持って、この試合に挑む。
勝てば3大会ぶりの全国大学選手権への出場となる(関西学院大が7点差以内の敗戦でボーナスポイント1を獲得して勝ち点で並んでも、当該チーム同士の勝敗で決めるため)。
前戦の天理大戦では、接点への強さ、得点力のある選手の働きによってクロスゲームに持ち込み、逆転勝ちを収めた。
特に後半、スクラムで圧力をかけたことが勝利を引き寄せる大きな要因となった。
スクラムをはじめとしたセットプレーは勝敗を大きく左右する。その現実にこだわり、時間をかけて土台を積み上げた。
それは、やがてチームのカルチャーとなった。スクラムの組み方のノウハウや前へ出る姿勢は、代々継承されるようになっている。
スクラムの中心となるのは3番の稲葉巧だ。猛烈なプッシュで相手を交代させ、仲間に安心感を与える。
バックローでは、チームの魂と言っていいFL中村志主将が仲間を束ねる。161センチと小さな体躯ながら、熱さと激しさで前に出る。
天理大戦の先発から変更があるのは11番だけだ。怪我の西端玄汰に代わって入るのは西柊太郎。インサイドで人を使うプレーもうまいが、外勝負できるスピードもある。
幅広く働くことが期待される。
嶋音輝は天理大戦で再三ラインブレイクを見せて活躍したCTBだ。WTB植田和磨もその試合で決定力の強さを見せた。
SH渡邊晴斗は積極的に動いて、チームに刺激を与えるタイプだ。
神本健司監督は関西学院大学のことを「素晴らしいチーム。バランスがとれている」とリスペクトとした上で、スクラムの安定感など、自分たちと似たところがあると感じているようだ。
そんな背景もあり、接戦を覚悟する。負ければシーズン終了。このチームの活動も最後となるだけに、指揮官は、部員たちの心に語りかけて試合を迎える。
「自分たちだけでなく、どのチームにも思い入れやドラマはあるもの。そういう戦いの中で、最後の最後、熱量の多い方が運もつかめるのではないか、と」
もちろん勝ちたい。が、結果を見て戦うのではない。
「悔いなく、持っているものすべてを出し切る」
そうすれば結果がついてくる、と信じて戦う。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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