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ラグビー コラム 2024年1月24日

黒船に驚かぬ者たち ~リーグワンに日本ラグビーの底力を見た~

be rugby ~ラグビーであれ~ by 藤島 大
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かたや河田の尻につくのは187cm・104kgの大戸裕矢である。向き合うロックのサイズはこんなに違うのに、もちろん静岡は一歩も引こうとはしない。セットプレーとは体重の合計でも代表キャップの総数でもないとわかる。

河田・日野・伊藤が肩を寄せるフロントロー人形が発売されたらぜひ購入したい。締め切りに追われるパソコンの近くに置けば気も引き締まる。

1月13日。その静岡の8人の塊をベンチより登場後、いささか揺さぶった若者がいた。東京サントリーサンゴリアスの23歳、右プロップの細木康太郎である。学生時代、モンスター的なスクラムで他校の周到な準備を無力化させた。問答無用の破壊はどうやら国内の頂点のリーグでも威力を発揮する気配だ。

そしてプロップをもうひとり。ディビジョン2、豊田自動織機シャトルズ愛知の左プロップ、南友紀は、開幕節の日本製鉄釜石シーウェイブス戦の前半33分、地面のボールを拾うや突然駆けた。ひとつスピン、もうひとつスピン、さらにもうひとつ、3、4人をかわし飛ばす。ちょっと静岡在住のおそるべき人(クワッガ・スミス)のようだ。

鋭くて速くて、体の幹はあまりにも丈夫だ。メンバー表には「172cm・96kg」と記される。筑紫高校ー立命館大学の30歳。ここにも背の高くない実力者はひそんでいる。もし自分がスーパーラグビーの採用担当なら、ボスに「知られざる逸材発見。クワッガのように走る。ジャパンの下部リーグに所属」とメールを打つ。

最後に最新の驚きを。三菱重工相模原ダイナボアーズのCTB、岩下丈一郎。1月20日の対東京サンゴリアスでチームのデビューを果たした。

試合前。ダイナボアーズの関係者が3人、別々の場所で、これから解説をする筆者に同じ内容を告げた。

「岩下、見てください。タックルします。いい男なんです」

タックルをした。トライもした。チャンスをつくって相手のチャンスの芽を摘んだ。きっと、いい人間だ。34―36の惜敗。もし白星なら、九州学院高校→関東学院大学→コカ・コーラ→宗像サニックス→ダイナボアーズ、経歴だけでこちらの胸がツンとなる27歳はヒーローだった。

文:藤島 大

藤島大

藤島 大

1961年生まれ。J SPORTSラグビー解説者。都立秋川高校、早稲田大学でラグビー部に所属。都立国立高校、早稲田大学でコーチも務めた。 スポーツニッポン新聞社を経て、92年に独立。第1回からラグビーのW杯をすべて取材。 著書に『熱狂のアルカディア』(文藝春秋)、『人類のためだ。』(鉄筆)、『知と熱』『序列を超えて。』『ラグビーって、いいもんだね。』(鉄筆文庫)近著は『事実を集めて「嘘」を書く』(エクスナレッジ)など。 ラグビーマガジン、週刊現代などに連載。ラジオNIKKEIで毎月第一月曜に『藤島大の楕円球にみる夢』放送中。

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