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【RWC2023出場国紹介:スコットランド】総合力高く、世界ランキング5位 1991年大会以来のベスト4以上を狙う
ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一
現在の世界ランキングは5位。開催中のサマーネーションズシリーズでは、8月5日、世界ランキング2位のフランスを25-21で下した。この試合でキャプテンを務めたSOフィン・ラッセルは創造性豊かなプレーメイカー。キック、パスの精度、ディフェンスのギャップを一気に抜け出すランニングスキルも世界屈指だ。2017年に就任したグレガー・タウンゼントヘッドコーチは、元スコットランド代表で82キャップを獲得。SO、FBなどでチームを操った。就任後は展開力あるチーム作りに着手し、2019年のラグビーワールドカップ(RWC)では日本代表に敗れて決勝トーナメント進出を逃したが、その後も着実に力をつけている。総合力が高く、1991年大会以来のベスト4入りは現実的な目標だ。
スコットランドラグビーの歴史は古く、ラグビー協会創立は1873年。イングランド、ウェールズ、アイルランドを含む4つのラグビー協会は「ホームユニオン」と呼ばれ、世界のラグビー界の中心的役割を果たしてきた。1871年に行われたスコットランド対イングランドと戦いは、世界最古のテストマッチ(国代表同士の試合)として今も継続されている。胸のエンブレムは、スコットランドの国花であるアザミだ。
RWCは1987年の第1回大会からすべて参加しているが、1991年大会の4位が最高位。この大会のキャプテンは短い袖からのぞく太い腕がトレードマークだったPRデヴィッド・ソール。ホワイトシャークと呼ばれたFLジョン・ジェフリー、ロングキッカーのFBギャビン・ヘイスティングスら名選手を擁していた。しかし、全大会を通してみると戦績は振るわず、2011年、2019年大会ではプール戦敗退、それ以外の大会はすべて準々決勝で敗退している。選手層の薄さが一因だといわれる。
今年のシックスネーションズではイングランド、ウェールズ、イタリアを下して3勝2敗で5年ぶりの3位。優勝したアイルランドとは、7-22、2位のフランスとは21-32と敗れたが互角に戦える実力を示した。フランス戦はLOグラント・ギルクリストが開始早々にレッドカードを受け、その後、フランスにもレッドカードが出る荒れた展開だったが、両者の粘り強さが印象的な試合だった。
2023年大会はプールBに所属する。世界ランキング1位のアイルランド、4位の南アフリカがおり、これぞ「死のプール」。決勝トーナメント進出のためには、ここで2位以上の結果が必要で、スコットランドがこの難しい壁を乗り越えられるかどうか注目だ。大会を前に今年のシックスネーションズで代表100キャップに到達したFBスチュワート・ホッグが引退を表明。2015年、2019年と2度のRWCに出場し、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのメンバーに3回選出された(2013年、2017年、2021年)選手の不在は寂しいが、BKにはホッグを補うことがきる才能が揃っている。
フィン・ラッセル
既述のSOフィン・ラッセル(30歳)を軸に、ボールキャリー能力の高いCTBヒュー・ジョーンズ(29歳)、決定力あるWTBドゥーハン・ファンデルメルヴァ(28歳)、ダーシー・グラハム(26歳)らがおり、ホッグの後釜のFBも万能BKのブレア・キングホーン(26歳)が穴を埋める。FW第2列には身長206cmのリッチー・グレイ、ギルクリストらサイズのあるLOがいて、FW第3列にはキャプテンのFLジェイミー・リッチー、FLハミッシュ・ワトソンら機動力ある選手が並ぶ。プールBの第1戦は、9月10日(日本時間10日24:45)で南アフリカが相手だ。そして、10月7日(日本時間8日4:00)、プール最終戦でアイルランドと戦う。この試合がプール戦突破を決める戦いになる可能性が高い。スコットランドがどんな戦いを挑むのか興味は尽きない。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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