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後半開始直後、再三パワフルな突進をしていたNZのWTBケイリブ・クラークが坂手のタックルを振り切ってトライし、17-28となる。その後は日本がディフェンスで粘り失点を防いだ。ラインアウトのNZボールにもプレッシャーをかけ、モールの前進も許さない。「日本のディフェンスはラインスピードが速く、攻撃の時間とスぺースを奪われた。加えて、きょうの日本はフィールドの横幅全体をカバーし、バックフィールドも守ることができていた」(SOリッチー・モウンガ)。
ワーナー・ディアンズ
後半16分には、LOワーナー・ディアンズが相手SHフィンレー・クリスティーのキックをチャージし、そのままキャッチすると約40mを走り切ってトライを奪う。身長202cmの独走を大声援が後押しした。これでスコアは、24-28。ワンチャンスで逆転可能な点差に食らいつく。21分、NZのNO8ホスキンス・ソトゥトゥにトライされて24-35と差をつけられたが、日本は崩れなかった。後半36分には中盤のディフェンスで坂手が猛タックル。ミスでこぼれたボールを交代出場のゲラート・ファンデンヒーファーが蹴り、それを猛然と追いかける。そのままボールをキャッチしたモウンガを倒して反則を勝ちとり、チャンスが広がった。その後の連続攻撃で姫野がトライ。31-35として再び勝利の可能性が膨らむ。
リポビタンDチャレンジカップ2022 ラグビー日本代表テストマッチ
【ハイライト動画】日本 vs. ニュージーランド(10/29)
好プレーのたび盛り上がるスタジアムは日本代表選手の奮闘を支えていた。自陣から攻める日本代表だが、最後はペナルティーを犯し、PGを決められてノーサイド。31-38と7点差で敗れた。オールブラックスのサム・ケインキャプテンは言った。「タフな試合だった。日本には、ラインアウト、ブレイクダウンでプレッシャーを受けた。ただ、さまざまな状況で落ち着いてプレーできたので勝てたと思う」。これまで日本代表に大勝していたNZのキャプテンが勝因を語らなくてはいけないことこそ、日本代表の成長の証だった。
獅子奮迅の活躍だったリーチは「めっちゃ疲れました。全力タックルの連続だったから」と少し誇らしそうに語った。「細かいミスが失点につながったけど、チームとしてはいい方向に向かっています。ディフェンスもアタックも良かったし、あとは整備するだけです」。ラグビー王国の誇り高き代表オールブラックスと接戦。ミスでトライを獲り逃すシーンもあったが、スクラム、ラインアウトで互角に戦い、80分間粘り強く戦い抜いた。そして、選手たちは心底悔しそうな表情を浮かべた。10年前には想像もできなかったレベルに日本代表は達しているということだ。さらに成長し、次は勝利で世界を驚かせてもらいたい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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